2019.05.04
今から約19年前の2000年のこと。あふれんばかりのアスレティック能力を武器に、マクドナルド・オールアメリカンに選出され、将来を嘱望された選手がいた。
男の名はデショーン・スティーブンソン(元ワシントン・ウィザーズほか)。カンザス大学への進学を表明していたスティーブンソンは、当時流行していた“高卒でNBA入り”へと切り替え、00年のNBAドラフトにアーリーエントリー。
00年ドラフトで、スティーブンソンは1巡目23位でユタ・ジャズからドラフト指名されるも、ルーキーシーズンは40試合の出場で平均7.3分2.2得点と不発に終わる。その後、ジャズからオーランド・マジックへトレードを経験した03-04シーズンに自己最高の平均11.4得点を残した。
その後キャリア中盤に在籍したマジックとウィザーズで、スティーブンソンは3シーズン連続で平均2ケタ得点をマーク。10-11シーズンにはダラス・マーベリックスの一員としてチャンピオンリングを獲得したものの、12-13シーズンを最後にNBAから姿を消し、現在は3×3のプロリーグ『BIG3』でプレーしている。
スティーブンソンがNBAキャリア13シーズンで残した記録は824試合(うち先発は542試合)出場で平均22.3分7.2得点2.2リバウンド1.6アシスト。ドラフト1巡目下位指名の選手としては、決して悪いキャリアではない。
だがスティーブンソンの場合、NBA入り前に現地メディアがNBA歴代最高級のレジェンド、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)と比較していただけに、期待外れに終わったと見る者もいるだろう。
3月18日(現地時間17日)、現地メディア『Hoops Hype』のアレックス・ケネディー記者とのポッドキャストが公開され、スティーブンソンはジョーダンと比較されていたことについてこう語っていた。
「そりゃあ、すごいプレッシャーだったよ。でも実際のところ、俺はそのことについて考えることはなかった。俺はどちらかというとNBA入りすること、そしてNBA選手になることの方が心配だったんだ。だからそのこと(ジョーダンとの比較)について、フォーカスしてはいなかったね」。
スーパースターを求めるメディアやファンは、これまでに何度も“ネクスト・ジョーダン”というフレーズで数多くの選手を持ち上げてきた。グラント・ヒル(元デトロイト・ピストンズほか)やアンファニー“ペニー”ハーダウェイ(元マジックほか)、マイケル・フィンリー(元マブスほか)、ハロルド・マイナー(元マイアミ・ヒートほか)といった選手たちが該当する。彼らの中にはオールスター入りした選手やバスケットボール殿堂入りした選手もいたのだが、特にキャリア序盤はジョーダンという重圧に苦しめられてきた。
コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)の場合は自らジョーダンのプレーをまねして複数のスキルを身に付けたことを明かしたものの、レジェンドとの比較に苦しんだことがあったことは言うまでもない。
そうした環境の中、スティーブンソンはジョーダンとの比較に悩まされることなく、NBAを生き抜くためにディフェンス力を磨き、3ポイントの向上に励んだ。好不調の波があったことは否定できないものの、11年に優勝したマブスではレギュラーシーズンに出場した72試合のうち54試合で先発出場。
さらに、プレーオフでは21試合のうち18試合でスターターを務めて39.7パーセントという高確率で平均1.3本の平均3ポイントを沈めた。マブスの主力の1人としてチャンピオンシップ獲得に貢献したことは、スティーブンソンのキャリアの中で最も印象的な瞬間の1つだと言っていいはずだ。
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