2019.05.27
1996-97シーズンから2015-16シーズンまでの20年間。コービー・ブライアントはロサンゼルス・レイカーズ一筋でバスケットボールにすべてを捧げ、歴代有数のレジェンドとして申し分ないキャリアを送ってきた。
5度の優勝をはじめ、2度のファイナルMVPやシーズンMVP(1度)、オールスターMVPには歴代トップタイの4度も輝き、NBAファイナルという頂上決戦には7度も勝ち進んだ実績を持つ。
00年から02年まではシャックことシャキール・オニール(元レイカーズほか)と共に3連覇を達成。09、10年には自身が中心となって2連覇を成し遂げたのだが、レイカーズで真のリーダーとなるにあたり、ターニングポイントがあったことを明かした。
07-08シーズン。レイカーズはシーズン途中にメンフィス・グリズリーズとのトレードでオールスタービッグマンのパウ・ガソル(現ミルウォーキー・バックス)を獲得して戦力増強に成功。ウエスタン・カンファレンストップの57勝25敗をマークし、コービーは自身唯一となるシーズンMVPを獲得。
レイカーズはプレーオフを順調に勝ち上がり、このシーズンにリーグベストの66勝16敗を挙げたボストン・セルティックスとの頂上決戦に挑んだのだが、相手の老かいなディフェンスと巧みなチームオフェンス、ポール・ピアース(元セルティックスほか)の粘りに遭い、2勝4敗で敗退。下馬評ではレイカーズ有利と予想する識者もいただけに、予想よりも早くシリーズは終わりを迎えていた。
その時だった。コービーは自身のメンター(助言者)と呼ぶMJことマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)からレイカーズのリーダーになるように言われたことを明かした。3月30日(現地時間29日)に『YouTube』へアップされた『SiriusXM』の動画の中で、コービーはこう語っている。
「俺たちがセルティックスに敗れたあと、マイケルが僕に言ってくれたんだ。『いいかい、君は個人として持ち得るすべてのツールが備わっている。今はどうやってチームメート1人1人を結び付けていくかを理解しなきゃいけない。そして彼らのベストを引き出すんだ』とね」。
その時点で、コービーは2年連続で得点王に輝いた実績を誇っており、リーグのベストプレーヤーと言っても過言ではないほど驚異的なパフォーマンスを見せていた。しかし、チャンピオンシップを勝ち取るためには名実共にリーダーへと成長することが求められていた。コービーは言う。
「(リーダーになるということは)チームメートたちへ、ただ単にボールをパスして彼らを良くしようとすることじゃない。彼らをベストな状態へと引き上げるべく、どうやって正しいボタンを押せばいいのか、それを理解しなければならないということだったんだ」。
当時のレイカーズにはガソルのほか、ラマー・オドムやデレック・フィッシャー、アンドリュー・バイナム(いずれも元レイカーズほか)、トレバー・アリーザ(現ワシントン・ウィザーズ)といった有能な選手が所属しており、コービーは彼らのベストを引き出すべく、チームとして成長することに尽力。そして「俺がどうやったかって? 俺はそのことを理解したことで、09、10年でチャレンジに成功したってわけさ」とコービーが誇らしげに言及した。
コービー率いるレイカーズは、翌08-09シーズンにウエストトップの65勝17敗を挙げてファイナルへ返り咲き、ドワイト・ハワード(現ウィザーズ)擁するオーランド・マジックを4勝1敗で下して優勝。翌09-10シーズンもウエスト首位の57勝25敗を残し、セルティックスとの頂上決戦へ。2勝3敗へと追い込まれたものの、意地の2連勝で最終戦の末にセルティックスを撃破し、2連覇を達成している。
NBAで優勝することは並大抵のことではない。NBA史上、少なくとも10本の指には入るコービーでさえ、時には苦しい局面を乗り越えて頂点までたどり着いてきたのである。
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