2019.07.02
5月5日、NBAメンフィス・グリズリーズと2way契約を結ぶ渡邊雄太が、約2週間の日本帰国を終えてアメリカに出発した。出発前、渡邊は成田空港でメディア対応を行い、改めてルーキーイヤーとなった昨シーズンを振り返り、来るべくシーズンに向けての抱負を語った。
1年前と比べて自分の置かれている立場を聞かれた渡邊は、「NBAとGリーグで経験した1年はすごく自分にとって大きかったし、成長もできたと思います」と語り、さらに「自分がNBAで生きていくために何が必要なのかも明確になってきた貴重なシーズンでした。ただ、満足や達成感は一切になかったですし、それもまた新たなモチベーションとして来シーズンにつなげていかないといけないと思っています」と決意を新たにした。
短い期間だったが、日本ではテレビ出演やCM撮影など忙しい時間を過ごした渡邊。その中で一番印象的だったのは2日の東京ドーム、巨人対ヤクルトの際の始球式だったという。
「ブルペンではなかなかいい球が投げられていたと思っていたのですが、さすがにあれば大暴投でした」と苦笑いを浮かべた渡邊。「(NBAの時と)全然違いました。NBAの試合でも、多少の緊張感を持ってプレーしていますが、それほど緊張することもないのに、あれだけ緊張して体が堅くなったのは生まれて初めての経験でした」と笑顔で振り返った。
日本に戻って、テレビ出演やCM撮影などで忙しい時間を過ごした。「それも声をかけていただけるうちが華」と本人は答えたが、Bリーグの試合会場に赴いた際、肌で感じた日本のバスケの盛り上がりを、NBA選手としてコートの外からでもアシストできればと考えているという。
渡邊はアメリカに戻り次第、明日からはグリズリーズの練習施設を使って個人練習を始めるとのこと。ただ、チームのジェネラルマネージャーが交代したなど、自身の置かれている立場が不鮮明な部分もあるのも確かだ。
「それも含めてNBAだと思います。僕自身、現在のポジションに満足してしまったら、先はないでしょう。契約がある、ないにかかわらず油断はできないところです。ここでアピールしないと次はないという気持ちでやっていかなければいけないと思っています」と自身を奮い立たせた。
そして、「一日一日成長して、明日からの練習を大事にしたいと思います。NBAのサマーリーグでしっかりアピールして、トレーニングキャンプ、プレシーズンマッチを含めて、自分が成長している姿を、コーチをはじめとするフロント陣に見せていきます。そして、直近の目標はチームとの本契約。そこに向けて頑張ります」と、最後は決意を込めた表情を見せた。
渡邊は今後大切な夏に向けての準備を始めることになるが、その他にも日本代表としてFIBAワールドカップ出場も控えている。それにも「まだ勝ったことのないヨーロッパのチームにも日本がこれだけ強くなったというところを見せたい」と意欲を見せる。充実した時を過ごす渡邊から目を離すことはできない。
文=入江美紀雄
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