2019.06.04

第2戦でラプターズにボックス&1を敷かれたステフィン・カリー「うれしく思ってるよ」

第2戦に勝利し、ファイナルの戦績を1勝1敗としたウォリアーズのカリー[写真]=Getty Images
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後半に成功させたフィールドゴール22本すべてがアシストつきという快挙を達成

 6月3日(現地時間2日)に行われた「NBAファイナル2019」の第2戦。ゴールデンステイト・ウォリアーズは、5点ビハインドで迎えた後半開始から怒濤の18連続得点で一気に逆転。終盤に2点差まで追い上げられるも、ベテランのアンドレ・イグダーラが放った値千金の3ポイントで逃げ切った。

 この試合でウォリアーズのステフィン・カリーは23得点3リバウンド4アシスト3スティールを挙げたのだが、試合前に「今日は気分が良くない」ともらすなど、決して本来の調子とは言えなかった。

 この日カリーが放ったフィールドゴールは17本。そのうち11本をミスしてしまい、成功率は35.3パーセント。3ポイントでも10投中7本がリムに嫌われており、ヒューストン・ロケッツとのウエスタン・カンファレンス・セミファイナル第6戦から続いていた連続30得点以上の記録も6でストップ。

 それでも、カリーは第2クォーターだけで12得点を挙げ、後半もラプターズのディフェンスを引き付けていたことは間違いない。

 また、ウォリアーズは第2戦の後半に成功させた22本のフィールドゴールをすべてアシストつきで決めるという流麗なボールムーブを披露。『Elias Sports』によると、1976-77シーズン以降では2004-05シーズンにデトロイト・ピストンズとのファイナルを戦ったサンアントニオ・スパーズ以来初の快挙だったという。

見事なボールムーブでラプターズのディフェンスを攻略したウォリアーズ[写真]=Getty Images

ラプターズのディフェンスに解説陣も困惑、「中学生じゃん」という意見も

 そんな中、ラプターズはウォリアーズとの点差を縮めるべく、第4クォーターに驚きのディフェンスを敷いてきた。それはカリーをフレッド・バンブリートが密着ガードし、そのほかの4選手はゾーンのような陣形で四角形を構成する“ボックス&1”だった。

 このディフェンスを見た際、『ESPN』で解説を務めるジェフ・バン・ガンディは「以前、NBAで同じようなディフェンスをしたチームを私は思い出せない」とコメント。NBAアナリストのマーク・ジャクソン(元インディアナ・ペイサーズほか)は「私はサンアントニオ・スパーズがやっているのを見たことがある。だがあくまで控えめなものだった」と語っていた。

 WNBAロサンゼルス・スパークスのスター、キャンディス・パーカーにいたっては、自身のツイッターで「8年生(日本の中学2年生)のバスケットボールしてるじゃん。ウケる」とツイートする始末。

 だがこのディフェンスが徐々にウォリアーズとの点差を縮め、ラプターズは2点差まで詰め寄る要因の1つとなったことは否定できない。

 試合終了後、カリーはラプターズがどれだけの思いで自身をシャットダウンしようとしたのかを感じ、驚きと共に『The Athletic』のマーカス・トンプソン記者へこう語っていたという。

「彼らがやっていたディフェンスを見たかい? 僕からすれば、すごくうれしく思ってるよ。『ありがとう』と言いたいね」。

バンブリート(右)をはじめ、ラプターズの密着マークに遭ったカリー(左)[写真]=Getty Images

 ラプターズにとって、カリーが要注意人物なのは間違いない。クレイ・トンプソンが左ハムストリングの張りのためコートを去ったとはいえ、カリーがコートにいる限り、なんとしてでもストップしなければいけない選手として見ていたのだろう。

 この試合はベンチメンバーの活躍もあり、なんとかモノにしたウォリアーズ。カリーは「この(ファイナルという)ステージになれば、チームのDNAに流れているものが現れるものさ」と語っていた。

 試合前にもらした「気分が良くない」件については「どうして気分が悪くなったかは本当に分からないんだ。ただそう感じただけ」と振り返るも、「第3戦までに回復させる時間はたっぷりある」と口にしており、6日(同5日)の第3戦に向けて切り替えていくことが期待できる。

 ファイナル初戦で4本の3ポイントを沈めたカリーは、前人未到となるファイナル通算100本以上の3ポイントを成功させた選手となった。第2戦終了時点で成功数105本に到達したカリーは、成功率こそ39.5パーセントで惜しくも4割に届いていないものの、1試合平均11.1本放ち、4.4本も決めていることを考えれば驚異的な数字と言っていいだろう。

 NBA史上4チーム目となる3連覇、そして自身4個目のチャンピオンリング獲得に向けて、カリーは勝利を目指して今後も戦い続ける。

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