2019.11.01

【現地レポート】八村塁がホーム開幕戦デビュー!ファン殺到で地元は“ルイ・フィーバー”

ホーム開幕戦で23得点を奪取した八村塁[写真]=Getty Images
日本のテレビ局で報道の編集・取材を経験。2017年にワシントンDCへ来て以来、バスケットボールをはじめとするアメリカのスポーツ文化や街ネタなどを中心に取材しています。

 日本時間10月31日、今シーズン自己最多の23得点を決め、華々しいホーム戦デビューを飾ったワシントン・ウィザーズ の八村塁。活躍が続く大物ルーキーを迎えた本拠地キャピタル・ワン・アリーナはどのような雰囲気に包まれていたのだろうか。

文・写真=岡田由美子

 ワシントンD.C.の中心部に位置するウィザーズ の本拠地、キャピタル・ワン・アリーナ。ホーム開幕戦の日は、夕方から降り出した雨で外は肌寒かったものの、背番号8のユニフォームやTシャツを着た多くの日本人ファンが詰めかけていた。

 ワシントン近郊のメリーランド州から来た家族は「八村選手が点を決めるのが楽しみ。ぜひオールスターに出られるよう活躍してほしい」と話す。

 また、ワシントンD.C.に住む会社員の男性は自作の応援ボードを持参。「たくさんの日本人が応援に来ているので、できればダンクやスリーポイントなど派手なプレーを見せてほしいですね」とコメント。この日は、同じくワシントンD.C.に本拠地を置くメジャーリーグベースボールのワシントン・ナショナルズがまさに世界一の座を巡って戦っている最中だったこともあり、「ウィザーズ も、ナショナルズのように優勝争いができるようなチームになってほしい。そのためにも八村選手にはチームを導いていくような存在になってほしいですね」と大きな期待も寄せていた。

 会場にはこの日の試合を見るためにわざわざ新婚旅行にワシントンを選んだという夫婦の姿があった。「日本人として頑張っている八村選手の姿を生で見たいと思って来たので、すごく楽しみ。ヒューストン・ロケッツはスター揃いなので厳しい試合にはなると思うけれど、ジェームズ・ハーデンとのマッチアップを期待しています」と興奮気味に語っていた。

〈左上〉メリーランド州から来た小学生の兄弟〈右上〉ワシントン在住の夫婦〈左下〉新婚旅行で来た夫婦は即席でボードを作成〈右下〉集まった日本人ファンは200人以上 [写真]=岡田由美子

 

 アリーナ内のウィザーズ公式ストアを覗くと、ユニフォームやTシャツの他に八村の顔写真がプリントされたペナントや靴下など、他の選手と比べて多彩なグッズが並んでいる。その前で多くの人が足を止め、レジ前にできた長蛇の列も多くの人が八村グッズを手にしていた。

 地元の報道によると、キャピタル・ワン・アリーナの収容人員は2万476人で、この日のチケットは売り切れ。チケットの価格は対戦相手などによって変動するが、一番安い3階席は手数料を含めて20ドル(約2,160円)くらいから購入することができた。

 なお、チケットに関していえば、アリーナにはチケット窓口もあるが、オンラインでの入手が主流で、ウィザーズ の公式サイトからticketmaster(チケットマスター)というオンライン販売サイトを経由して購入ができる。他にもStubHub(スタブハブ)やGametime(ゲームタイム)など同様のサイトもあるので、できるだけ安く抑えたいという人は価格をそれぞれのサイトからチェックして値段を見比べてみるのもいいだろう。

 満員御礼の会場では、杉山晋輔駐米大使をはじめ、ワシントンの日本大使館や日本商工会の関係者ら200人以上の日本人応援団が見守る中、20時に八村の本拠地デビュー戦が始まった。

ワシントン・ウィザーズのホーム開幕戦は満員御礼[写真]=岡田由美子

 ティップオフ前に行われたオープニングセレモニーではチームリーダーのブラッドリー・ビールとともに八村がコート中央に立つと「みなさんこんにちは、八村塁です」と異例とも言える日本語でのあいさつ。これには大きな拍手と歓声が沸き起こった。

 そして、「今日は日本人がいっぱい、ここにいるということで僕もすごく嬉しいです。今シーズンもすごく良くなると思うので、みなさん応援よろしくお願いします」と八村は、にこやかな表情であいさつを続けた。

 濃紺のユニホームに初めて身を包んだ八村は、攻守にわたって躍動し、時には感情を爆発させながら地元ファンを魅了。試合開始4分に記録したホーム初得点を皮切りに、次々にポイントを量産していく姿に、客席からは拍手とともに「ルイ!ルイ!」と声援が上がった。

 さらにデビュー4戦目にして初めて3ポイントシュートが決まると、ファンもガッツポーズをし、一際大きな拍手で祝福した。アメリカ人ファンからも「すごい日本人選手だ」「八村、好きだなぁ」といった声があちこちで上がる。そして八村にボールがわたるたびに、「何かやってくれる」といった期待感で会場は包まれていた。

 チームは惜しくも敗れてしまったが、あらためて大きな存在感を発揮した八村。地元メディアからも称賛が相次いだ。

 地元紙のワシントン・ポストは「ドラフト1巡目指名のルイ・ハチムラは4戦目で23得点」とビールに次ぐチーム2番目の得点力を評価。また、ホーム開幕戦の中継を放送したアメリカのテレビ局・NBCスポーツは、ジェームズ・ハーデンとのマッチアップについて「エクセレント!エクセレント・ディフェンス!」と八村のディフェンスを褒める場面も。さらに、第3クォーターで八村が逆転となるシュートを決めた際には「コンニチハ、ルイ!」と実況から日本語が飛び出た。NBCスポーツのWeb版でも「ハチムラはPJ・タッカーを交わしフェイドアウェイシュートを放つ。まるでNBA8シーズン目のベテランのよう」と高く評価していた。

 4戦を終えて1勝3敗となっているウィザーズ。次なる試合は日本時間11月3日、ホームのキャピタル・ワン・アリーナにてミネソタ・ティンバーウルブズと対戦する。

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