2020.12.30
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。シーズン再開は早くても6月中旬から下旬にかけてと現地メディアが報じている中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階
イースタン・カンファレンス(セントラル・ディビジョン)
総合評価:S
■ここまでの戦績
今季戦績:53勝12敗(勝率81.5%/イースト1位)
ホーム戦績:28勝3敗(勝率90.3%)
アウェー戦績:25勝9敗(勝率73.5%)
■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:118.6(1位)
平均失点:107.4(8位)
平均リバウンド:51.7本(1位)
平均アシスト:25.9本(6位)
平均スティール:7.4本(20位)
平均ブロック:6.0本(3位)
オフェンシブ・レーティング:112.3(6位)
ディフェンシブ・レーティング:101.6(1位)
■主要スタッツリーダー
平均出場時間:ヤニス・アデトクンボ(30.9分)
平均得点:ヤニス・アデトクンボ(29.6得点)
平均リバウンド:ヤニス・アデトクンボ(13.7本)
平均アシスト:ヤニス・アデトクンボ(5.8本)
平均スティール:ドンテ・ディヴィンチェンゾ(1.4本)
平均ブロック:ブルック・ロペス(2.4本)
■主な開幕後の選手またはコーチの動き
加入:マービン・ウィリアムズ
退団:ドラガン・ベンダー(解雇)
昨季から不動の4選手(ヤニス・アデトクンボ、クリス・ミドルトン、エリック・ブレッドソー、ブルック・ロペス)にウェスリー・マシューズを加えたスターター陣で迎えた今季、バックスは昨季(リーグベストの60勝22敗)を上回るハイペースで勝利を重ねた。
開幕4戦こそ2勝2敗だったものの、翌23試合で18連勝を含む22勝をマークしてリーグトップに浮上。その期間、ミドルトンやブレッドソーをケガで欠いたものの、2年目のドンテ・ディヴィンチェンゾがスターターに入って主にディフェンス面で好カバー。
ベンチにもジョージ・ヒルやカイル・コーバー、パット・カナトン、アーサン・イリヤソバ、ロビン・ロペスという適材適所のプレーヤーを擁し、3月上旬まではNBA史上3チーム目となるシーズン70勝も狙えるペースだったが、大黒柱アデトクンボの欠場もあり、3連敗でシーズン中断を迎えた。
とはいえ、得失点差はリーグ断トツ首位の+11.2を記録しており、勝率5割未満のチーム相手に38勝2敗と取りこぼしなく勝利し、2シーズン連続でリーグベストの戦績を残している。
今季のバックスは、第3クォーター終了時点でリードしていた試合は48勝1敗、これがアウェーだと22戦無敗と、相手チームに逆転を許さない堅実な戦いぶりが光る。2月にはベテランのマービン・ウィリアムズを加えたことで選手層を厚くすることに成功。
もしシーズン再開となれば、イーストではファイナル進出の最右翼、リーグ全体で見ても優勝候補に挙がることは間違いない。
プレーオフを見据え、マイク・ブーデンホルザーHC(ヘッドコーチ)はアデトクンボでさえも平均出場時間を30.9分に抑えており、ほかに平均30分以上を残しているのはミドルトン(30.1分)のみ。7選手が平均20分以上をプレーしているほか、計13人が平均14分以上プレーしており、選手層の厚さが光る。
2年連続のシーズンMVPが有力視されるアデトクンボのほか、ミドルトンも自己最高級の成績を記録。爆発的なプレーが持ち味のブレッドソー、チームメートから絶大な信頼を得ているディフェンス面におけるアンカーのブルック・ロぺス、3ポイントとディフェンスを着実にこなすマシューズと、スターターのバランスも良く、リーグ最高のディフェンス力がチームを大崩れさせていない要因の1つ。
そのバックスが優勝を狙ううえで不安要素となるのは、フランチャイズプレーヤー不在時の戦いだろう。アデトクンボが欠場した試合でも5勝3敗と勝ち越しているものの、ロサンゼルス・レイカーズやフィラデルフィア・セブンティシクサーズ、トロント・ラプターズなど、アデトクンボに対する刺客を複数抱えるチーム相手とプレーオフで激突した場合に4勝してシリーズを突破できるかどうかは気になるところ。
もっとも、アデトクンボを軸とするバックスのケミストリーはシーズンが進むにつれて醸成されている。4月4日に『ESPN』へ掲載された記事の中で、アデトクンボは現状についてこのように話している。
「NBA選手の多くは家にコートかそれに代わるものがある。でも今の僕は家でひたすらワークアウトをしてる。バイクに乗ったり、ウェイトを上げたりして身体をシャープな状態にキープしてるんだ。でもバスケットボールはしていない。(シーズン中断という期間に)家族との時間を過ごせるのは最高なこと。シーズン中はそう多く取れないからね。でも結局のところ、このチームの皆が、バスケットボールができなくて寂しがってると思うよ。チームとしてプレーできないことが恋しいのさ」。
シーズン再開の具体的な目途が立たない中、バックスの選手たちはそれぞれの自宅でフラストレーションをためているのかもしれない。だがチャンピオンシップ獲得を現実的な目標と捉えて、それぞれが準備していることだろう。
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