2020.04.23

カニエ・ウェストが一癖ある独自の言い回しで親友のコービー・ブライアントに敬意を示す

親交が深かったカニエ・ウェストとコービー[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 故コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)の訃報には、シカゴ出身のラッパーであるカニエ・ウェストもひどく心を痛めている。

 カニエは、米ファッション誌「GQ」5月号の表紙に登場。同誌のカバーストーリーでは、仕事や政治、信仰など、現代カルチャーシーンのアイコンである彼の独自の価値観が紐解かれたが、その一節では彼のコービーへの想いが語られた。

 この収録が行われたのは、2020年1月末。そう、コービーが天へと旅立った直後のことである。未だショックを隠せないまま取材へと挑んだヒップホップ界のスーパースターは、自分とコービーが同時期に現れた同志であると前置きをし、彼らしい言い回しで、こう言った。

「コービーは、俺のバスケットボールバージョンで、俺はコービーのラップバージョン。これは間違いない」

 カニエとコービーは、ともにトレーニングをするほど親しい関係にあった。まだカニエがナイキと契約し、AIR YEEZYを展開していた頃、2人はナイキのCMでも共演。#KOBESYSTEMと題した『KOBE 8』のCMシリーズで、コービーは新製品発表をする登壇者、カニエはそれにまつわる質問をする記者役を演じた。

 また、コービーが引退した2016年、カニエはアルバム『The Life of Pablo』をリリース。この際、カニエは「I FEEL LIKE PABLO」のテキストをプリントしたマーチャンダイズ(関連商品)を発売したのだが、コービーの引退にともない「I FEEL LIKE KOBE」というオマージュアイテムを製作しており、引退試合でもコートサイドからコービーの最後の勇姿を見守っている。

ラマ―・オドムとともにコービーの引退試合を観戦するカニエ[写真]=Getty images

 カニエは、偶然にもコービーのヘリコプター墜落現場から程近い、ロサンゼルス西郊カラバサスにドーム型の住宅を建設していた(現在は取り壊しが決定)。つい最近まで現場へ赴いていたカニエは、通勤の道中でコービーが試合に臨む姿勢と同じ心持ちになっていたという。

「あの道を車で走るたびに、必ずコービーと同じような決意をするんだ。『ゲームの時間だ。やらないという選択肢も、待つという選択肢も存在しない』ってね」

 カニエは日頃からコービーを人生のロールモデルに掲げ、モチベーションを引き出し続けている。そう、カニエも我々と同様、レイカーズのレジェンドに刺激を受け、マンバメンタリティを胸に、人生やビジネスに果敢にトライしているのだ。

「俺たちは皆、コービーがチャンピオンに導いたレイカーズの一員だ。全員で一丸となり、チャンピオンシップを勝ち取るというコービーの姿勢は、俺が今、人生で見ている景色に通ずるものに他ならない」

「もしかすると、俺は色々なことを叫び続けて、名声を獲得してきたかもしれないな。でも、今の俺はどんな批判にも心を乱すことはない。俺たちは人類のためのパラダイムシフトを起こそうとしている。俺たちは批判をする奴らに付き合っている暇はない。俺たちはトロフィーを家に持ち帰るんだ」

 相変わらずのカニエ節。しかし、他人に流されることなく自分を強く持ち、とにかく前を向いて挑戦し続けること。そして、ともにその道を進む仲間を重んじる気持ちは、どのようなシーンにも応用することのできる精神であり、人生の糧になるはずだ。そこに成功者か否かの線引きは存在しない。カニエはコービーの親友として、今一度、彼からのメッセージを伝道してくれているのかもしれない。

文=Meiji

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