2021.04.14

キングスのオーナーが選手やコーチの給料の一部をビットコインで支払う計画を明かす

キングスの選手・コーチの給料の一部がビットコインで支払われるようだ[写真]=Getty Images

 時代はキャッシュレス。現金至上主義は衰退の一途を辿り、近頃はスマートフォン1台あれば、日常生活で困ることはほとんどなくなった。さらに、法定通貨(日本円やアメリカドルなど)に代わるかのごとく急成長を続ける暗号通貨(仮想通貨)の登場により、資産のあり方にも大きな変化が訪れている。

 サクラメント・キングスのオーナーを務めるヴィヴェク・ラナディベは先日、ベンチャー キャピタリストのティム・ドレイパーが主催するクラブハウスのトークルーム内で、選手やコーチ陣の給料の一部をビットコインで支払う計画を明らかにした。

「私は数日以内に、選手を含むキングスの組織に所属する全ての人に対して、必要な分の給与をビットコインで支払う旨を発表するつもりです」

 キングスは、プロスポーツの世界において、いち早く暗号通貨の導入に着手した球団として知られている。2014年からチケットやチームグッズはビットコインで購入可能。また、2018年には本拠地「ゴールデン1センター」にイーサリアムのマイニング装置を設置するなど、積極的に暗号通貨との共存に取り組んできた。

『Coindesk』によると、ラナディベの計画が現実となれば、キングスは主要なプロスポーツ球団史上初めて、暗号通貨で給与支払いをする球団になるという。

NBAと暗号通貨の未来

 NBAは、新型コロナウイルスの対策をはじめ、様々な観点においてプロスポーツの見本・指針となっている。

 無論、暗号通貨の導入についても業界をリード。最近のハイライトでは、ダラス・マーベリックスの球団社長のマーク・キューバンが、チケット・グッズ購入にドージコインの採用を発表。また、仮想通貨取引所のFTXは、マイアミ・ヒートの本拠地の命名権獲得にともない、19年で1億3500万ドル(約148億円)を支払うことが報じられてた。

 さらに、デジタルトレーディングカードゲームとして成長著しい「NBA Top Shot」にも暗号通貨と密接な関係にあるブロックチェーンが用いられている。マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)やケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)を含む投資家たちから新たに3億500万ドル(約337億8000万円)の資金調達に成功した「NBA Top Shot」は、2020年末のサービス開始にもかかわらず、すでに5億ドル(約553億7000万円)以上の売上を記録。レアカードはマーケットプレイスで2000万円以上の高値で取引されており、「NBA Top Shot」はNFT(非代替性トークン)市場において、今後も先頭を走り続けることが期待されている。

 ワシントン・ウィザーズのオーナーを務めるテッド・レオンシスもまた、デジタルチケットが今後、リーグの増収の大きなファクターになると『Forbes』に語った。

 果たして、キングスの新たな試みは、リーグにどのような影響を与えるのだろうか。契約締結時、「マーベリックスがルカ・ドンチッチと5年1000BTCで契約更新」というような発表になる日もそう遠くはないのかもしれない。

 文=Meiji

ヴィヴェク・ラナディベの試みはリーグにどのような影響を与えるのだろうか[写真]=Getty Images