2021.10.22

イバカが子ども向けアニメを制作…貧困や障害を経験したアスリートの成功の軌跡を描く

イバカが自身の人生をアニメ化[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 NBA選手のオフコート活動は十人十色だ。例えば、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)はスポーツチームのオーナーに俳優業、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)は少女カテゴリーにおけるバスケットボール支援や酸素水メーカーのオーナーなどを務めている。

 サージ・イバカ(ロサンゼルス・クリッパーズ)は、子どもたちに力強いメッセージを発信している。今年2月に発足した「ART」プロジェクトは、音楽の力で子どもたちを含む全ての人に他人への感謝と恩返しの大切さを伝え、フランス人ラッパーのニノーを客演に迎えた“Champion”はYouTubeで1200万回以上の再生を記録している。

 そんなクリッパーズのベテランセンターの次なる一手は、アニメ制作のようだ。

 ハリウッドのエンタメサイト『Deadline』は、イバカがグローバルメディア企業「Studio71」と契約を結び、子ども向けのアニメを制作すると報じている。

『Overcoming』と題した同アニメシリーズでは、世界中の偉大なアスリートを特集し、スポーツ以外の人生における最大のチャレンジを紹介。各エピソードごとに異なるアスリートにスポットライトを当て、偏見、貧困、障害、健康問題など、彼らが成功に至るまでに直面した葛藤や逆境を描くという。

 第1話は、イバカ本人が登場。イバカは未だ悲惨な内情を抱えるコンゴ共和国の出身で、子どもの頃は第二次コンゴ戦争で父親が投獄されるなど、過酷な幼少期を過ごした過去がある。同エピソードでは、イバカがこのような逆境を乗り越え、トロント・ラプターズでNBAチャンピオンになるまでのストーリーが題材だ。

イバカは2018-19シーズンにラプターズでNBA制覇を果たした[写真]=Getty Images


 イバカは今回の発表にともない、以下のとおりコメントしている。

「僕はいつも、自分のストーリーが若者へのインスピレーションになると感じていました。そして、このシリーズで他のアスリートが乗り越えてきたストーリーを共有することで、大きなインパクトを与えることができると信じています」

「成功までの道のりは決して真っ直ぐなものではなく、僕らの多くはモチベーションを維持し、自分を信じなければならない多くの障害に直面してきました。このシリーズの成功は、1人でも多くの子どもたちに夢を諦めない気持ちをもたらすことです」

 また、「Studio71」のマイケル・シュライバーも同アニメシリーズの配信を心待ちにしている様子だ。

「『Overcoming』は、世界中の子どもたちに、どんな状況や困難に立たされても夢を諦めないというインスピレーションを与える作品です。サージ・イバカのストーリーはその好例であり、彼をはじめとするアスリートたちが目標を達成するためにしてきた経験を、人々に深く理解してもらえることを楽しみにしています。『Overcoming』は、サージのようなアスリートが世界中の人々にとってヒーローである理由を示してくれるはずです」

「Studio71」は『ブラック・パンサー』で悪役キルモンガーを演じたことで知られるマイケル・B・ジョーダンのプロダクション企業「Outlier Society」と共同で、大人向けのコメディアニメ『Obi』を制作するなどの実績を持つ。彼らの作品から推測するに、イバカのシリーズもポップで親しみやすいタッチの作品に仕上がることだろう。

 なお、放送開始日や配信プラットフォームについては明かされていない。続報については、イバカや制作会社のSNSをフォローしていきたい。

 文=Meiji

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