2022.01.28

プールが重責“シックスマン”の難しさを語る…カーHCとトンプソンは才能に太鼓判

今季MIP候補に挙がる活躍を見せているジョーダン・プール[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 今シーズン最優秀躍進賞(MIP)の議論に名を連ねるジョーダン・プール(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)。ミシガン大学出身のシューティングガードは、キャリア3年目を迎えた今シーズン確かな自信とともにコートで印象的なプレーを連発している。

 平均16.7得点3.0リバウンド3.3アシストはすべてキャリアハイのスタッツで、フィールドゴールやフリースローの精度も向上。ゴールデンステイト・ウォリアーズが主力不在の影響を全く感じさせない理由は、プールの劇的な成長があるからに他ならない。

 だが、クレイ・トンプソンが怪我から復帰したことで、プールは再びベンチからのスタートを余儀なくされている。誰しもがプールのスタータークラスの活躍を認める一方、ウォリアーズの覇権奪還のためには大爆発の可能性を秘めたスプラッシュブラザーズの次男が1日でも早く試合感を取り戻す必要があり、それを優先した結果スティーブ・カーはプールにシックスマンという重責を任せることにした。

 しかし、新たな役割を与えられたプールはベンチスタートになってから突然流れに溶け込めないゲームが続き、ダイナミズムと躍動感を失い欠けた。それでも、1月26日(現地時間25日)に開催されたダラス・マーベリックスとの一戦では、26分間のプレーで17得点をマーク。これまで抱いていたスターターとしてのメンタリティをシックスマンへと還元する片鱗が垣間見えた。
 
 今、22歳の若武者の前には大きな壁が立ちはだかっている。プールは現在の課題を以下のように受け止めている。

「コートに送り込まれた時は、些細なリズムや試合のペースを感じ取らなければいけません。僕がプレーしている時間帯に得点を重ねて相手を上回ることもあれば、失速することもある。だから、どこに自分がフィットするかを見極める努力をしています。それはボールがよく回っている時でも、そうではない時もです」

「積極的な姿勢を崩さず、オープンであればシュートを放ち、与えられた役割を全うする。そして、ただ自分のゲームに終始するよう心がけています」

カーHCとトンプソンは大きな期待を寄せる

 カーHCは、トンプソンの復調と同様に、プールのベンチからの貢献にも大きな期待を寄せている。

「もし、(プールが)ベンチからの出場でもアグレッシブにプレーできれば、ステフ(・カリー)がフロアにいない時間帯のセカンドユニットに破壊力をもたらします。彼をステフやクレイと組み合わせることができれば、チームがこれまで見てきたラインアップとは180度異なるコンビネーションが可能になるでしょう」

「彼にとっては難しい役割になるかもしれませんが、それに慣れていかなければいけません。マーベリックス戦は、彼がシックスマンを担える良い兆候でした」

カーHCは 「ステフやクレイと組み合わせられれば、180度異なるコンビネーションが可能になる」と期待を寄せる[写真]=Getty Images


 また、これからケミストリーを構築するトンプソンも若手の台頭に興奮している様子だ。

「一人の選手があれほどまでに自分のパフォーマンスを気にかけている姿を見ると、本当に感動するよ。彼は素晴らしい努力家だから、成長に驚きはないけどね。でも、彼はもっと成長するだろう。まだ22歳だし、本当に長く活躍してくれることを期待しているよ」

 それでも、シックスマンとしての役割に慣れることを問われた際のプールの沈黙とその後の当たり障りのない返答は、すべてを物語っている。それは一瞬のできごとに過ぎなかったが、NBA最高のバックコートコンビを前にしてもベンチスタートに納得することはないという、並々ならぬ情熱と向上心の表れだった。

 本格的に才能が開花しつつあるウォリアーズの背番号3。ハングリー精神に溢れ、底知れぬポテンシャルを秘めた発展途上の大器は、偉大な先輩を前に、遥かな高みを見据えている。

 文=Meiji

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