2022.02.11

“王”の一声…ジョン・ウォールとウェストブルックのトレードを拒否したのはレブロン?

チーム構成にも大いに関与していると言われるレブロン(左)がウェストブルック(右)のトレードを止めたと言われている [写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 2月11日午前5時(現地時間10日)、冬のトレードマーケットが締め切りを迎えた。最終日にはフィラデルフィア・セブンティシクサーズのベン・シモンズとブルックリン・ネッツのジェームズ・ハーデンの超大型トレードをはじめ、スペンサー・ディンウィディー(現ダラス・マーベリックス)とクリスタプス・ポルジンギス(現ワシントン・ウィザーズ)など、水面下で進行していたと思しき予期せぬトレードも成立している。

 各球団のマーケットでの動向は、まちまちだ。ワシントン・ウィザーズのように変化を求めて積極的に動いた球団もあれば、ゴールデンステイト・ウォリアーズのように静観しているチームもある。

 不振にあえぐロサンゼルス・レイカーズはウィザーズ同様、カンフル剤が必要なチームのひとつだった。しかし、テイレン・ホートン・タッカーの放出など長らく噂されたトレードが実現することはなく、ロスターには一切の変化がもたらされなかった。

 今季の戦犯のひとりとして白羽の矢が立てられているラッセル・ウェストブルックにもトレードの可能性があったと言われている。無論、今季のラスはチーム最高額の4400万ドル(約51億円)を受け取っていることから、トレードは決して容易なものではなく、アセットは非常に限定的だった。

 そのなかで候補の一人に挙げられていたのが、新天地を探すジョン・ウォール(ヒューストン・ロケッツ)だ。ウェストブルックとウォールはほぼ同年数・同額の契約が残っていること、そして同じポイントガードを主戦場とすることから、1対1でのトレードが成立する数少ない候補だったと言える。

 しかし、最終的にレイカーズとロケッツの間で話し合いがまとまることはなかった。その要因の一つには、『ClutchPoints』が言及していたタッカーやドラフト指名権を絡めてクリスチャン・ウッド(ヒューストン)を獲得するというプランが交渉を複雑化させたとも推測できるが、実際にはレイカーズのフロントが球団で実権を握る“あの男”の承認を得られなかったからかもしれない。

『Bleacher Report』のエリック・ピンカスによると、ウェストブルックとウォールのトレードは、レブロン・ジェームズが「ウォールの方がロスターにマッチする」と判断した場合のみGOサインが出たという。

 ケンタッキー大学出身のエリートガードは今季、ロケッツとの交渉の末、一度も試合に出場していない。それでも一昨年はプレータイムが1分もなかったにもかかわらず、2020−21年シーズンは平均20.6得点3.2リバウンド6.9アシストとその輝きが失われていないことを証明。しかし、5度のNBAオールスターは長年ケガに悩まされ続け、2017−18年シーズンからの直近5シーズンで出場試合数はわずか113試合に止まっている。

 レブロンはプレーオフでエースガードを失うリスクやウォールの試合勘の欠如、短期間でのケミストリー構築の苦労などを考慮して、ウォール獲得を見送ったのかもしれない。

 一方、ウェストブルックは自信を失っている一方で、スタッツは決して低調とは言い難い。ミスター・トリプルダブルの今季の成績は18.3得点7.8リバウンド7.6アシスト(2月11日現在)。確かにオクラホマシティ・サンダー在籍時のようなダイナミズムは影を潜めているが、それは個人の不調ではなく、プレースタイルとレイカーズの戦術のミスマッチとの見解も強い。

 いずれにせよ、レブロンはウォール獲得ではなく、ウェストブルック残留という決断を下した。果たして、プレーイン圏内に沈むレイカーズに秘策は残されているのか。現戦力を信じたLALのシーズン終盤の巻き返しに期待がかかる。

文=Meiji

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