2022.04.06

“史上最高”からの熱い喝…テイタムがデュラントから怒られたエピソードを明かす

昨夏行われた東京オリンピックでアメリカ代表として共闘したデュラント(左)とテイタム(右)[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 もし、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)がシーズン序盤からエンジン全開であれば、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)やニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)と肩を並べ、MVP候補として議論されていただろう。

 3月序盤には54点ゲームを含め、5試合平均39.8得点という驚異的な時期もあり、直近で20得点を下回った試合は2月9日(現地時間8日)のブルックリン・ネッツ戦まで遡らなければならない。シーズン前半は勝ち星に恵まれなかったセルティックスだが、テイタムのパフォーマンス向上もあって現在は混戦模様のイースタン・カンファレンスで2位まで上り詰めている。

 テイタムが覚醒した理由には、意外にもケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)の存在があるかもしれない。2人は東京オリンピックのアメリカ代表でチームメートとなり、優勝に貢献。2人は代表で初共闘を果たしたが、テイタムによると日本へ飛び立つ前の練習時にデュラントからお叱りを受けたという。

「ラスベガスで練習をしていた時のスクリメージの初日のことだね。選抜チームと対戦したんだけど、僕たちは調子が悪くてコテンパンにされたんだ。その試合中の一コマで、僕がウイングに降りてきて、チームメートからパスをもらった。もしセルティックスであれば、僕はシュートを打っていたと思う。ただ、KDが僕の右側にいたから、僕は彼にパスをしたんだ」

「そうしたら、彼に怒鳴られて『おい、俺を見るな。お前らしくプレーしろ。俺はお前に消されても構わない』と言われたよ。『畜生』と思ったね。その時初めて『彼は僕にもスコアしてもらいたいんだ』と感じた。それがKDだろうと関係ない。僕らは同じチームで、僕は彼にこのチームで必要とされていたんだよ」

テイタムはデュラントに「お前らしくプレーしろ」と指摘されたという[写真]=Getty Images


 もし、史上最高のスコアラーと称されるデュラントがオープンだったら、誰もが瞬間的にパスをしたくなるだろう。その感覚はオールスターであるテイタムにさえ植え付けられているほどだ。

 しかし、デュラントは一人のプレーヤーとして、テイタムの才能を買っている。KDは過去にもテイタムに度々言及しており、オリンピック期間中には期待をあらわにしていた。

 また、デュラントは昨年夏に『The ETCs』に出演した際にもテイタムを手放しに賞賛していた。

「テイタムはプレーオフでずっとガードしていたけど、反則級だった。彼は腕が長く、ドリブルも上手で5、6回のドリブルとヘジテーションから簡単にフィニッシュされてしまう。とてもタフだよ。同じカンファレンスにいるのが嫌になるね(笑)」

「13、14年間リーグにいる中で、対戦相手やシリーズ、ともにプレーした選手に“印”を打つようになったんだ。コービー(・ブライアント)、レブロン(・ジェームズ)、ティム・ダンカン、メンフィス・グリズリーズなどね。そのなかにはジェイソン・テイタムも入っている。彼は23歳(※当時)にしてすでにエリートレベルのプレーヤーで、僕には彼の明るい未来が見えている」

 同じスコアラーとして、KDから底無しのポテンシャルを絶賛されるテイタム。もしかすると、偉大な先輩からの一声が才能の開花を後押ししたのかもしれない。

 文=Meiji

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