2022.04.29

NBAはスーパースターも“チャリ通”の時代…トンプソンがプレーオフに自転車で出勤

リーグトップクラスの選手に数えられるトンプソン。その移動方法は意外と庶民的?[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 デンバー・ナゲッツを下し、カンファレンス・セミファイナルに駒を進めたゴールデンステイト・ウォリアーズ。シーズン終盤の失速は何処へ。ジェームズ・ワイズマンの負傷を除き、遂にスティーブ・カーの望むロスターが完成したダブネイションは、完成されたバスケットボールを披露し、王朝復活を高らかに宣言した。

 ウォリアーズ三銃士の一人、クレイ・トンプソンの復帰は、サンフランシスコに莫大な戦果をもたらしている。ファーストラウンドの5試合平均は、22.6得点、スリーポイント成功率42.8パーセント。2年間のブランクを感じさせない素晴らしいカムバックに、ファンからは幾度となく大歓声が挙がっている。

 スプラッシュ・ブラザーズの次男は、2019年の契約更新により、2023-24シーズン終了時までウォリアーズとマックス契約を結ぶスーパースターだ。しかし、そのトンプソンが大事なプレーオフの試合で、チェイスセンターに自転車で登場する姿が話題になっている。


 
 トンプソンがユーモラスな男であることは、“レポーター・クレイ”の愛称で話題となった離脱期間中の解説業やインスタグラムの日々の更新からご存知の方も多いことだろう。

『Gear Patrol』によれば、トンプソンが“チャリ通”に使用しているこちらの自転車は、1974年にカリフォルニアで創業した老舗自転車メーカー「KHS」の“EXTENDED 2.0”という9段変速の電動モデルのようだ。耐食性、強度に優れた6061アルミニウム製のフレームには、504ワットアワーのリチウムイオンバッテリーを搭載。変速機やシフターなどには、大阪の大手アウトドアスポーツメーカー「シマノ」のパーツが採用されており、価格は2199ドル(約28万7000円)に設定されている。

 トンプソンの趣味がアウトドアアクティビティであることは、意外と周知されていないかもしれない。同選手は2020年、契約ブランド「アンタ」とのQ&Aセッションにおいて「パンデミック期間中、リハビリ以外で何に時間を費やしているか」という質問に対し、以下のようにコメントしている。

「幸運にも、良いボートを所有しているから、それを運転したり、釣りをして過ごしている。あと、自転車でたくさん走り回っている、マウンテンバイクでね。バスケットボールのコートにいること以外だと、この2つが僕の趣味。めちゃくちゃ楽しいね。僕はアウトドアが大好きなんだ」

 果たして、これが自宅から乗ってきたのか、エントランス付近から乗り出したパフォーマンスなのかは明らかになっていない。しかし、後者であればわざわざ電動である必要もないことから、「本当に自宅からチェイスセンターまで自転車で来たのでは?」と推測する者もいる。トンプソンは直近の2年で左ひざ前十字靭帯断裂と右足アキレス腱断裂という致命的な大怪我を負っており、自転車での通勤が試合前のウォームアップの一環だとすると、それも説明がつく。

 いずれにせよ、ファンたちは「この男は環境にも配慮している」「プレーオフに遅刻したくなければ、自転車に乗るべし」など、トンプソンの自転車での登場を喜んでいる。

 もし一言、サイクリング・クレイにメッセージを伝えられるのであれば、信号と交差点からの急な飛び出しだけには注意してもらいたい。

文=Meiji

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