2022.09.15

ロスターへメスを入れたジャズのCEO「選手たちは互いを信じていないと私には映った」

2019年当時のエインジCEO[写真]=Getty Images
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 9月13日(現地時間12日)。ユタ・ジャズのダニー・エインジCEO、ジャスティン・ザニックGM(ゼネラルマネージャー)が記者会見に応じた。

 今夏のジャズはロイス・オニールをドラフト1巡目指名権との交換でブルックリン・ネッツへ、ルディ・ゴベアを複数の選手たちと複数のドラフト1巡目指名権の条件でミネソタ・ティンバーウルブズへトレード。

 さらにはドノバン・ミッチェルコリン・セクストンラウリ・マルッカネン、ドラフト1巡目指名権複数との交換でクリーブランド・キャバリアーズへトレードし、ロスターへ大幅なメスを入れた。

 ボストン・セルティックスで長年バスケットボール運営部代表兼GMを務めてきたエインジは、昨年12月にジャズのCEOへ就任。当時ジャズは19勝7敗の好成績を残していたものの、シーズンが進んでいくにつれて、エインジの目にはあまり良い兆候が見られなかったという。

「シーズン中、このグループの選手たちは互いのことを本当に信じていないと私には映った。報道されているよりも、互いのことが好きだったと私は思っていたんだが、そのことを確信できなかったんだ」

「このチームがプレーオフへ進んだ時、私が思ったのはプレーオフで何か失望してしまうというものだった。私は彼らに対して(疑いはあるが)とりあえず信じてみることにした。だがプレーオフでまたもや良いパフォーマンスができなかった」

 ジャズは昨季、ウェスタン・カンファレンス5位の49勝33敗でレギュラーシーズンをフィニッシュ。ダラス・マーベリックスとのファーストラウンドではルカ・ドンチッチがケガのため最初の3戦を欠場も1勝しかモノにできず、2勝4敗で敗退。

 ミッチェルとゴベアを中心とした布陣で、昨季まで6シーズン連続でプレーオフまで駒を進めたものの、直近4年間で3度も1回戦敗退を喫しており、カンファレンス・セミファイナルの壁を突破できずにいた。

 新陳代謝の激しいNBAでは、長期間にわたってコアメンバーを擁して優勝候補であり続けることは困難で、現体制が限界に近づいていたと受け取ることもできる。

 昨季終了後、8シーズン指揮を執ってきたクイン・スナイダーHC(ヘッドコーチ)が辞任し、ウィル・ハーディーHCが新たに就任。マイク・コンリージョーダン・クラークソンボーヤン・ボグダノビッチルディ・ゲイといった昨季所属していた選手たちも複数残ってはいるものの、今季は再スタートと言っていい布陣で臨むこととなる。

「(逆境に直面した時に)私は個人として彼らには決心があると思う。だが(チーム全体として)まとめて見ると、彼らにそれがあったとは信じられなかったんだ」とエインジは言う。

 現時点における予想スターターは、バックコートにコンリーとセクストン、フロントコートにはボグダノビッチにマルッカネン、ウォーカー・ケスラーという布陣。ベンチにはクラークソンやマリーク・ビーズリーニキール・アレクサンダー・ウォーカーテイレン・ホートン・タッカージャレッド・バンダービルト、ゲイ、スタンリー・ジョンソン、イタリア代表のシモネ・フォンテッキオが控えている。開幕までにベテラン陣が放出される可能性もあり、そうなれば全く新しいチームになると言っていい。

「我々にとって最も大切なのは、タイトルを争うためのドアが広がったということ。オーナーシップ、組織、コミュニティ、そしてここ3年間でタイトルを獲得すべく、我々をサポートしてくれたことに感謝したい。私たちは及ばなかったということ」とザニックGM。

 昨季までの48シーズン。ジャズはカール・マローンとジョン・ストックトンを中心とした布陣で1997、98年にウェストを勝ち上がってNBAファイナル進出を飾ったものの、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズの前に敗退。

 通算6度のカンファレンス・ファイナル進出を果たしたとはいえ、07年を最後に滞っており、カンファレンス・セミファイナルで姿を消している。はたして、セクストンやマルッカネンといった新戦力たちがこのチームを新たなステージへと引き上げる主役へ躍り出ることができるのか。

 今季の予想は困難ではあるものの、ハーディー新HCの下でどんなチームとなっていくのかは気になるところだ。