2022.10.01

八村塁が子どもたちへメッセージ「いろいろ挑戦して、高い目標をもってやってほしい」

試合後の会見に応じた八村[写真]=伊藤 大允
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「ホームでやるプレッシャーは感じましたか?」と聞かれて会見場を笑いに包む

 9月28日夜にアメリカから日本へ到着し、翌29日にチーム練習をこなして迎えた30日の「NBAジャパンゲームズ2022」の第1戦。ワシントン・ウィザーズ八村塁は先発起用で日本のコートへ立った。

「去年もオリンピックで帰ってきて、このさいたまスーパーアリーナでやったんですけど、その時は観客がいなくて、今回はこうやって日本のファンの皆さんの前でNBAとして試合ができることは、すごい僕としてもうれしかったですし、日本とNBAが身近に近づいてきているなと感じるので、すごい良かったなと思います」。

試合前の練習時の八村[写真]=伊藤 大允

 試合後の会見で八村がそう話したとおり、今回のジャパンゲームズの会場となったのは、昨夏の東京オリンピックと同じさいたまスーパーアリーナ。だがほんの1年前は新型コロナウイルスの影響によって無観客開催となり、これまでとは違う雰囲気の中で戦わざるをえなかった。

 だが今回は2万497人ものファンが会場に集結。日本へ凱旋となった八村は得意のジャンパーやボールプッシュからレイアップを決め切るなど、いずれもチームトップの13得点9リバウンドを記録。

 ただ、「ホームでやるというプレッシャーは感じましたか?」という質問には「ホームなんですかね」と切り出して表情をゆるませてから「皆さん、結構ウォリアーズの応援していたような気がするんですけど」と会見場を笑いに包んだ。

 対戦相手のゴールデンステイト・ウォリアーズは昨シーズンのNBAチャンピオン。そして昨季ファイナルMVPを獲得したステフィン・カリーと共に、試合前にコート中央で会場に集まった観客へ挨拶した八村は、自身のブランド『Black Samurai』のワインをプレゼント。

「ウォリアーズという、皆さん知ってのとおり去年勝ったチームなので、そういうチームが日本に来てくれて対戦できることは、僕にとってもチームにとっても、日本にとってもバスケ界にとっても大きいことなので、感謝の気持ちも含めて渡しました」と、八村はNBAでも1、2を争うスーパースターへの感謝を口にしていた。

カリー(左)へワインを渡して記念撮影した八村(右)[写真]=伊藤 大允

「2ウェイプレーヤーをずっと目指してきた」八村が得た守備面の手ごたえ

 プレシーズン初戦、しかもトレーニングキャンプ開始からわずか数日後ということもあり、ジャパンゲームズ第1戦は両チームともフィールドゴール成功率が40.0パーセント未満、3ポイント成功率も30.0パーセント未満に終わったものの、コートに立った選手たちはリバウンド争いで身体をぶつけ合い、ルーズボールへ飛び込むなど会場を沸かせていた。

 その雰囲気を作ったのは他ならぬ八村だった。試合序盤にドリブルしているカリーからスティールし、センターコートを超えたところまで走って最後はダイブするハッスルプレーを見せ、会場に駆けつけた2万497人の観客を興奮へと誘ったと言っていい。

 今季でNBA4年目を迎えた24歳のフォワードは、ディフェンス面の手ごたえについて「オフェンスもディフェンスもできる2ウェイプレーヤーをずっと目指してきたので、そういうところでは今日いい活躍ができたんじゃないかなと思う」と自信を見せ、さらには「試合には負けてしまったんですけど、これからはもっと意識してやっていきたいなと思います」と今季に向けて意気込んでいた。

ディフェンス面でもさらなる成長が期待される八村[写真]=伊藤 大允

 そしてバスケットボールをプレーしている子どもたちへのメッセージとして、八村はこう話していた。

「日本のバスケとNBAが近づいていることは、僕の小さい頃と比べて、日本で育ってバスケをやってきて感じるので、こうやってどんどん、もっとNBA選手が出てきたりしたら僕もすごいうれしいので、いろいろ挑戦して、高い目標をもってやってほしいなと思います」。

 2日の第2戦を終えると、ウィザーズとウォリアーズの両チームはアメリカへ戻り、それぞれプレシーズンゲームをこなし、レギュラーシーズン開幕戦へ備えていくこととなる。

 NBAのレギュラーシーズンは、全米とカナダ(チームによっては海外で公式戦開催もあり)を飛び回って約半年間で82試合をこなすというハードスケジュール。プレシーズンはあくまで公式戦に向けた調整期間のうちではあるものの、そんな彼らがこの時期に日本で実際にコートへ立ってプレーしてくれることは、時間が進むにつれてさらにありがたいことと思えるのではないだろうか。

 文=秋山裕之

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