2023.01.15

パイオニアとして道を切り開いた渡邊雄太…「日本の若い選手たちがあとを追ってほしい」

3Pコンテスト出場に期待が高まる渡邊雄太(右)[写真]=Getty Images
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「『NBA選手になりたい』と言ってもらえたら」…日本のバスケ界をリードする渡邊の願い

「願わくば出場したいです」。リーグ屈指のシューター陣が腕を競うNBAオールスターの名物企画、3ポイントコンテストについて、渡邊雄太ブルックリン・ネッツ)は前向きな姿勢を見せた。現地メディア『NetsDaily』が伝えている。

 先日放送された番組『FanDuel TV』では、著名記者のシャムズ・シャラニア氏にも3ポイントコンテスト出場を後押しされた渡邊。今季は新天地で目覚ましい活躍を残しており、今やネッツは日本で最も注目を集めているチームの1つと言っていいだろう。渡邊は「今季、僕は成功したシーズンを過ごせていると思います」と、『New York Post』に語っている。

「18歳でアメリカに来たとき、『パイオニアの1人になりたい』と言いました。結果を残して、日本の若い選手たちが僕のあとについてきてくれたらな、と。彼らが僕のプレーを見て、『NBA選手になりたい』と言ってくれることを願っています」

 ジョージ・ワシントン大学で4シーズンを過ごし、NCAA(全米大学体育協会)ディビジョン1(以下、D1)で奨学金を獲得した最初の日本人選手となった渡邊。「それまでは道が確立されていなかったんです」と、当時の苦難を振り返った。

「D1に行くには、どうしたらいいかも分かりませんでした。でも、今は多くの日本人選手がアメリカの高いレベルでバスケをしたいと思うようになっています。日本にとって良い兆候です。僕は(SNSで)応援の言葉も頂いていますし、日本のファンがサポートしてくれるのはとてもうれしいことですね」

「見ていて気持ちがいいね」。ネッツを指揮するジャック・ボーンヘッドコーチは、自身の幼少期を思い返しつつ、渡邊が日本の若手選手に与えている影響について触れた。「自分が子どもだった頃を思い出すと、いつか(ロサンゼルス・)レイカーズでプレーしたい、という夢がモチベーションにつながっていた。彼は日本の子どもたちに希望を与え、いつか自分もそうなりたいと思わせている」。

レイカーズでのプレーを夢見ていたというボーンHC[写真]=Getty Images

渡邊の活躍に沸く日本…自身も「ファン層は拡大しています」と注目を実感か

 渡邊の人気は数字でも視覚化されている。『New York Post』のブライアン・ルイス氏によると、現地1月2日までに『NBA Rakuten』のストリーミングサービスでネッツは最も観戦されたチームとなり、視聴者数は昨季から83パーセントも増加しているという。渡邊がコートに立つと視聴率は約2.5倍に跳ね上がるとも言われているのだから、その注目度はすさまじいだろう。

 NBAアジア地区マネージングディレクターのラメズ・シェイクマネージングディレクターも、渡邊が日本のNBA人気を高めており、なかでも今季のインパクトは目を見張るものがあると反応。「雄太個人の活躍だけでなく、イースタン・カンファレンス上位に位置するチームで重要な役割を担っています」。

 2021年の東京オリンピックでは、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)とともに、NBAプレーヤーとして存在感を発揮した渡邊。昨年にさいたまスーパーアリーナで開催された「NBAジャパンゲームズ2022」は2試合ともチケットが完売するなど、国内の人気上昇に彼らは大きく貢献しているだろう。

日本のバスケ界をけん引する渡邊(左)と八村(右)[写真]=Getty Images

 渡邊も「日本のファン層は拡大しています」と、注目を肌で感じている様子。「野球やサッカーは日本で大きな存在ですが、僕と塁がNBAでプレーしていることは大きな影響を与えています。Bリーグも良い働きをしていると思いますし、ここ数年で日本のバスケットボールは良い方向に向かっています」と、明るい兆しに期待を寄せている。

 日本時間1月13日のボストン・セルティックス戦でも長距離砲を射抜き、今季の3ポイントシュート成功率を51.9パーセントとした渡邊。日本人初となる3ポイントコンテスト出場に向け、持ち前のシュート力でぜひとも挑戦権を勝ち取ってもらいたい。

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