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『B MY HERO!』
2023年のNCAAトーナメントは、波乱の展開となっている。ベスト8に第1シード校の姿がないのは、トーナメント史上初のこと。ベストプレーヤーの1人として名高いブランドン・ミラーを擁するアラバマ大学や、前回王者のカンザス大学は軒並みアップセットで涙を呑み、まさに“マーチ・マッドネス”の名に相応しい番狂わせが続いている。
しかし、トーナメントにはまだタレントが残っている。『Bleacher Report』はトッププロスペクトが去ったエリート8から、ドラフト指名が有力視される5選手をピックアップ。以下リストの中にはファイナル4進出を決めている選手もおり、終盤戦の注目選手としてご活用いただきたい。
ポジション:シューティングガード
昨今のバスケットボールにおいて、3ポイントシュートは最重要のオフェンスオプションだ。このようなトレンドから、コネチカット大のオフェンスをけん引するホーキンスは、1巡目指名の可能性が極めて高い選手と言える。
メリーランド出身のシューティングガードは、国内で最も生産性のあるオフスクリーンシューターの1人。オープンスペースへのポジショニングとクイックなリリースは、ゴールデンステイト・ウォリアーズのスプラッシュブラザーズを彷彿とさせ、その安定感と自信からは積み重ねてきた練習量がうかがえる。
ゴンザガ大学との一戦では、3ポイントを10本中6本成功させ、ゲームハイの20得点をマークしてベスト4進出に大きく貢献。アシスト力のあるプレーメーカーを主軸とする球団は、必ずスカウティングレポートに彼の名前を刻んでいることだろう。
ポジション:スモールフォワード
八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)の後輩は、大学3年間で着実な成長が確認されている。今シーズン、ストローザーがマークした1試合平均15.2得点6.2リバウンド、3ポイント成功率40.8パーセントはいずれもカレッジにおけるキャリアハイの成績だ。
ゴンザガ大学の背番号0もまた、ホーキンスと同様にアウトサイドに定評のあるプレーヤーである。得点パターンはスクリーナーを活かしたアウトサイドショットと、ドライブからのフローターが中心。キレのいいステップワークも目を見張るものがあり、状況によってはディープスリーもいとわない。
NBAでも起用イメージが湧きやすいプレーヤーである一方で、ディフェンスには課題が残る。また、1試合で40得点を記録する爆発力もあれば、ベスト8では持ち味の3ポイントが1本も決まらないなど、得点のムラも改善の余地があるだろう。
ポジション:シューティングガード/スモールフォワード
コネチカットの指揮官を務めるダン・ハーリーヘッドコーチや、チームメートのアレックス・カラバンは、背番号44を“変人”と形容する。シーズンスタッツこそ1試合平均6.8得点6.4リバウンド4.7アシストと突出する箇所はないが、裏を返せば、このプレーバランスの良さこそ、ジャクソンJr.がアンセルフィッシュであることの証明である。
ジャクソンは、チームの潤滑油のような存在であり、相手につかみどころを与えない独創性がある。ペース、コートビジョン、パスセンス、さらにはブレイクダウンでのハンドリング、派手なダンクなど、豊富なスキルセットはNBAレベルのトレーニングでさらなる進化を遂げるポテンシャルを秘めている。
アウトサイドの脅威こそないものの、ジャクソンはイージーバスケットやチームメートにオープンショットを生み出し、ディフェンスでもリーダーシップを発揮してコネチカット大の勝利に貢献してきた。1巡目指名が確実かと問われると言葉を濁さざるをえないが、コネチカット大の躍進により、モックドラフトでの想定順位が上がることは間違いない。
ポジション:シューティングガード/スモールフォワード
『ESPN』のパワーランキングで30位につけるカンザス州立大学がエリート8進出を達成した背景には、ジョンソンの加入が挙げられる。
2019-20シーズンにフロリダ大学で躍動したバージニア州出身のフォワードは、2020年12月12日のゲームでコート上に倒れ、一時昏睡状態に。幸いにも半月後にはチームに合流したものの、リスクが伴うことから、3年次と4年次にプレーすることはなかった。しかし、ジョンソンは危機的状況からの再起をかけて、カンザス州立大学に転入。そして、自身に残された1年間のオーバータイムを見事にものにし、選手としての真価を示している。
今シーズンのジョンソンは、同17.4得点6.8リバウンド、フィールドゴール成功率51.6パーセント、3ポイント成功率40.5パーセントと、スタッツでもチームをリード。持ち味は、プレーメーカーと呼吸を合わせたカッティングからのキャッチ&フィニッシュで、最短距離の得点がメインウェポン。加えて、ペイントアタックやポストプレーも難なくこなすほか、ボールムービングでも素早い判断と正確なパスを繰り出せるなど、得点効率の高さはドラフト内での指折りの存在だ。
また、198センチ104キロの強靭なフィジカルも兼ね備えており、溢れるエナジーとディフェンス面での優位性もスカウトが評価するポイントとなるだろう。
ポジション:パワーフォワード/センター
チェット・ホルムグレン(オクラホマシティ・サンダー)のあとを任されたエースは、ゴンザガ大学らしい堅実なインサイドプレーヤーだ。基本に忠実なステップワークとボールフェイクが織りなすオールドスクールなポストプレーが代名詞で、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)やアルペラン・シェングン(ヒューストン・ロケッツ)に似た巧さがあり、得点のコツを熟知している。
今シーズンの同21.2得点7.5リバウンドは、いずれもチームハイ。61.6パーセントのフィールドゴール成功率は控えめに言っても印象的で、同3.2アシストの数字からもわかるように、パス性能とバスケットIQも及第点以上だ。爆発力こそ感じられないものの、スタッツのムラも少なく、4年生らしい安定感が魅力と言える。
課題はアウトサイドと、ディフェンススキルの向上か。クイックネスは相手パワーフォワードと対峙するには十分だが、ガードとのマッチアップはマイナス。また、リムプロテクターとしての性能は、先輩のホルムグレンには及ばない。オールスタークラスへの成長は今後のキャリア次第だが、質の高いロールプレーヤーとして長くリーグで活躍する未来は想像に難くない。
文=Meiji
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