2023.08.17

【ワールドカップ注目選手】ルディ・ゴベア(フランス代表)「悲願Vへ鍵握るNBA屈指のビッグマン」

フランス代表の主力として期待がかかるゴベア[写真]=Getty Images
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

8月25日から9月10日にかけて開催される「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会で活躍が期待される注目選手をピックアップした。

文=秋山裕之

■ 攻守に存在感放つNBAスター

 1992年6月26日にフランスのサン・カンタンで生誕したゴベアは、7フッター(213センチ)で元バスケットボール選手の父、美容師の母を両親にもつ。両親が離婚した1995年からは母とともに暮らし、フランス代表のジュニアチームの一員として2010、2011、2012年に「ユーロチャンピオンシップA」に出場してきた。

 2010-11から2012-13までの3シーズンをショレ・バスケット(フランスのクラブ)でプレーし、2013年のNBAドラフト1巡目27位でデンバー・ナゲッツから指名。そのドラフト当日のトレードでユタ・ジャズへ移籍し、NBAキャリアをスタートさせた。

 キャリア2年目の2014-15シーズン中盤から先発センターへ定着し、2016-17シーズンには平均2.6ブロックでリーグトップに立つ。ジャズは2017年からプレーオフ常連となり、そのチームでゴベアは主に守護神として活躍を続けた。

 ゴベアは2016-17から2021-22まで6シーズン連続でオールディフェンシブファーストチームに選ばれ、オールNBAチームにも4度選出。そして2018、2019、2021年には最優秀守備選手賞に輝いた。同アウォードを3度も受賞したのはNBA史上4人目という快挙だった。

 昨年夏、大型トレードでジャズからウルブズへ移籍したゴベアは、昨シーズンに平均13.4得点11.6リバウンド1.2アシスト1.4ブロックを記録し、ウルブズのプレーオフ進出に貢献。

 216センチ117キロの高さとウイングスパン236センチという長さを誇る31歳のビッグマンは、高確率に決め切るフィニッシュだけでなく、ディフェンス面でも依然としてペイントエリアで相手チームの脅威となっている。2018年1月に現地メディア『Hoops Hype』へ公開された記事のなかで、ゴベアは自身の狙いとして「ブロックショットをすれば、それはいいことだ。でも僕のゴールはブロックを決めるかどうかではなく、いいディフェンスをすることにある。それがターンオーバーや悪いショットを誘発するのさ」と話していた。

■ 金メダルへ期待高まるワールドカップ

長距離砲にもトライするゴベア…今大会はコート上で進化した姿にも注目[写真]=Getty Images


 ゴベアは2014年の「FIBAワールドカップ」を皮切りに、フランス代表として複数の国際大会を経験してきた。なかでも2021年の「東京オリンピック」、2022年の「FIBAユーロバスケット」ではいずれも銀メダルを手にしており、念願の金メダル獲得へと着実に近づいていると言えるだろう。

 今月25日からスタートする「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」で、FIBAランキング5位のフランス代表はグループHに入っており、インドネシアのジャカルタでカナダ(同15位)、(同5位)、ラトビア(同29位)、レバノン(同43位)とグループフェーズを競い合うこととなる。

 ゴベアは現地時間8月2日に行われたモンテネグロ代表との試合でプロ入り後初となる3ポイントシュートをトップ下付近から成功。その後コーナーやウイングからも長距離砲の練習をしており、フランス代表へ新たなオプションを加えることになるか注目だ。

 フランス代表は、有明アリーナで17日に「SoftBank CUP 2023 東京大会」日本代表戦、20日にはオーストラリア代表と国際強化試合で対戦する。ゴベアは自身のX(旧Twitter)アカウントから日本語で来日を予告し、8月7日には日本バスケットボール協会(JBA)のアカウントを通じて「こんにちは、みんな」と流暢な日本語を披露。最後も「ありがとう」と日本語で締めくくるなど日本のファンへ向けて話していた。

 そのゴベアやニコラ・バトゥーム(ロサンゼルス・クリッパーズ)、エバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)らを擁するフランス代表が、今夜どんなゲームを見せてくれるのか、是非とも注目していただきたい。

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