2023.11.20

カイリー・アービングがパレスチナ支持を表明か…民族衣装“クーフィーヤ”を着用し会見出席

ダラス・マーベリックスのカイリー・アービング[写真]=Getty Images
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 11月19日(現地時間18日、日付は以下同)、敵地で行われたミルウォーキー・バックス戦を終えたダラス・マーベリックスカイリー・アービングが記者会見に応じた。会見自体は試合に関する内容に終始していたが、会見時にアービングが着用していた服装が物議を醸している。

 アービングは、「クーフィーヤ」と呼ばれるパレスチナの伝統的なスカーフを頭上に纏って会見の場に登場し、約4分間記者の質疑に応じた。「クーフィーヤ」はパレスチナ人の団結や連帯を示す象徴とされているため、海外メディアやSNS上では「アービングが服装によってパレスチナの支持を明確に示した」として、物議を醸している。

 今回のアービングの服装は、イスラエル/パレスチナでの戦争(イスラエル軍とパレスチナのガザ地区を支配するイスラム組織ハマスの紛争)に対して、自身がパレスチナを支持している姿勢を示したものと見られている。アメリカ政府は今回の紛争においてイスラエルを支持しており、NBAも10月に発表した声明の中でハマスのテロ行為を非難した上で「イスラエル国民の側に立つ」と表明している。アービングの今回の服装は、アメリカ政府およびNBAとは反対の立場への支持を仄めかしているものとされているが、アービングは今回の服装、およびイスラエル/パレスチナの紛争に関して会見では一切発言しなかった。

 アービングは18日にマブスが公開したチーム練習の写真の中で、「もう虐殺をやめてくれ(No More Genocide)」とペンで手書きされたシューズを履いている様子が確認されている。また、自身のSNSでも「クーフィーヤ」を着用している姿を投稿している。

 アービングのこのような政治的言動による騒動は今回が初めてではない。昨年の10月、当時ブルックリン・ネッツに所属していたアービングはSNSに反ユダヤ主義的内容が含まれる映画のリンクを投稿し、すぐに謝罪・撤回の意を表明しなかったことで、5試合の無給出場停止処分を受けている。なお、アービングは当時の言動をきっかけにナイキとの契約も解除されている。その後11月に謝罪を表明しチームに復帰したが、2023年2月にマブスへトレードされた。

 現時点でNBAおよびマブスは、今回のアービングの服装に対するコメントを公表しておらず、翌20日にホームで行われたサクラメント・キングス戦もアービングは先発出場している。ブルックリン・ネッツ在籍時は、新型コロナウイルスのワクチン接種を拒否し続けて試合の欠場が続いたり、移籍をめぐって古巣ボストン・セルティックスのファンから強い反感を買ったりなど、コート外での話題に事欠かなかったアービング。引き続き彼がコートでプレーすることを期待しつつ、何よりも戦争が一日でも早く終結することを願うばかりだ。

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