2024.01.22

「俺は何を成し遂げていないんだ?」デュラントが自身を含まないGOAT論争に不満

某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 ケビン・デュラントは、誰しもが認める歴代最高スコアラーの1人である。2度のNBAチャンピオンとファイナルMVPに輝き、2014年にはシーズンMVPを受賞。さらに、新人王、4度の得点王、6度のファーストチーム、4度のセカンドチーム、13度のオールスター選出など、タイトルや個人功績の欄は溢れるほどに埋め尽くされ、アメリカ代表でも3度のオリンピック優勝に貢献している。

 これほどまでの存在だが、なぜデュラントはGOAT(史上最高)論争に名前が挙がらないのだろうか。

 マイケル・ジョーダンは、約10年前にコービー・ブライアントレブロン・ジェームズのどちらが優れた選手かを問われた際に、デュラントの名前を口にした。

「彼はキテるね。コービーとジョーダンについて論争を繰り広げている間に、ケビン・デュラントが裏口から忍び込んでくるだろう」

 デュラントが活躍するというバスケットボールの神様の予想は見事に的中し、その後は既出のタイトルを総嘗めにしてみせた。今シーズンも思うような結果に恵まれないフェニックス・サンズで圧巻の活躍を披露しており、このペースが続けば、シーズン終了後にはキャリア総得点数で9位のカーメロ・アンソニー、8位のシャキール・オニールを上回ることが予想される。また、アメリカ代表での総得点は文句なしの歴代1位であり、3位のジェームズの273得点、2位のアンソニーの336得点を遥かに上回る435得点を記録していることも忘れてはならない。

 デュラントは『The Republic』のインタビューにおいて、自身がGOAT論争に巻き込まれないことについて、いくらかの不満を漏らしている。

「(GOAT論争で名前が挙がらないのは)俺がウォリアーズに行ったからだろう。なぜ、俺がその中にいてはいけないんだ?それこそ、君が尋ねるべき質問だよ。なぜダメなんだ?俺が何を成し遂げてないっていうんだ?」

ともにNBAを代表するスターとして活躍してきたレブロンとデュラントを比較すると…[写真]=GettyImages


 同じ現役である盟友のレブロンとデュラントの功績を比較してみよう。キングは4度のNBAチャンピオンを経験し、その全てでファイナルMVPを獲得。受賞回数ではそれぞれ2度、KDを上回っている。また、4度のシーズンMVP、13度のファーストチーム、19度のオールスター選出と、これらのカテゴリーでもレブロンはデュラントを凌駕しているほか、5度のオールディフェンシブ・ファーストチーム、1度のアシスト王、そして新たに称号に加わった初代インシーズン・チャンピオンと同大会MVPなど、デュラントにはない名誉も数多く手にしている。

 加えて、レブロンは行く先々でリーダーを担い、球団にタイトルをもたらしてきた一方、デュラントは王朝時代のウォリアーズを除くと、オクラホマシティ・サンダー、ブルックリン・ネッツのどちらでも優勝を成し遂げることはできなかった。

 しかしながら、ウォリアーズ移籍がGOAT論争に名前の挙がらない理由ではないように思える。優勝できる戦力のいる球団への移籍は、ドウェイン・ウェイドやクリス・ボッシュとビッグ3を形成したレブロンも同様だ。また、仮にデュラントが2019年のNBAファイナル第5戦でアキレス腱断裂のケガを負わなければ、ジョーダンやコービーと並び、スリーピート達成クラブに入会していたかもしれない。

 デュラントがGOAT論争に加わるためには、個人タイトルを追加しながら、サンズに球団史上初のタイトルをもたらすことが絶対条件となるだろう。デビン・ブッカーブラッドリー・ビールはキャリア全盛期にあるスター選手であり、ビッグ3が上手く機能すれば連覇さえ夢ではない。

 果たして、デュラントは自らの存在をより高次元で証明し、GOAT論争に名乗りをあげることはできるのだろうか。

文=Meiji

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