2020.04.13

歴史に残る日本開催の2006年世界選手権。スペイン、ギリシャ、アルゼンチン、ドイツの激闘を見よ!<後編>

2006年に日本で開催されたFIBA世界選手権をプレーバック [写真]=Getty Images
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

「ギリシャの美しいピック&ロールの前に散ったアメリカ」準決勝ギリシャvsアメリカ

Greece 🇬🇷 v USA 🇺🇸 – Classic Full Games | FIBA Basketball World Cup 2006
URL:https://youtu.be/3gvmPqCDPPg
ギリシャ 101ー95 アメリカ

 ギリシャがアメリカをアップセット。さいたまスーパーアリーナにいた観客が歴史の証人となった。試合前、マイク・シャシェフスキーヘッドコーチ(コーチK、デューク大学HC)はギリシャが誇るゾーンを織り交ぜたディフェンスを警戒していたが、蓋を開けてみれば、翻弄されてしまったのはギリシャのピック&ロールを主体とした華麗なオフェンスだった。アメリカは101ー95という予想外のハイスコアで敗れたのだ。勝った瞬間、ボールを高く蹴り上げた司令塔のテオドロス・パパルーカスと円陣を組んで回り続けるギリシャ代表。アメリカを倒すことが、いかに大変なことかを表すラストシーンで映像は終了している。

 ギリシャは自国開催の1998年世界選手権や2004年アテネ五輪で経験を積み、ヨーロッパ王者として日本に乗り込んできた。ただ、NBA選手が不在であることや、死の組(リトアニア、ブラジル、トルコ、オーストラリア、カタール)に属していたことから、大会前の下馬評はそこまで高くはなかった。激戦地帯のグループ戦を全勝で制し、決勝トーナメント1回戦で中国を完膚なきまでに叩いてから上昇気流に乗り、力を結集したのが準決勝のアメリカ戦だったのだ。

 2メートルのサイズと変幻自在のゲームメイクを持つシックスマンの司令塔、パパルーカスや得点源のヴァシレイオス・スパヌリスらガード陣と、『ベイビー・シャック』の異名を持つ巨漢センター、ソフォクリーク・スコーツァニーティスが繰り出すピック&ロールは必見。試合後にコーチKが「彼らは美しいバスケットボールをした」の言葉はギリシャに対する最大の賛辞と言えるだろう。

『ベイビー・シャック』ことソフォクリーク・スコーツァニーティスが大活躍 [写真]=Getty Images


 アメリカはこのギリシャ戦での敗北を最後に強化プログラムを向上させ、2019年ワールドカップ準々決勝のフランス戦に敗れるまで、NBA選手で構成された国際大会で58連勝を築くこととなる。

「ノビツキー47点!大会史上初の3度の延長を制したドイツ」グループC予選ラウンド ドイツvsアンゴラ

Angola 🇦🇴 v Germany 🇩🇪 – Classic Full Games | FIBA Basketball World Cup 2006
URL:https://youtu.be/m07D_GncKLY
ドイツ 108ー103 アンゴラ

 広島グリーンアリーナで開催された日本と同組のドイツとアンゴラの戦い。この一戦で勝利したほうがスペインに次ぐグループ2位を決める試合だった。

 当時、日本は初戦のドイツにチャレンジして70ー81と健闘、2戦目のアンゴラ戦で勝利するシナリオを描いていたが、62ー87で完敗。アンゴラの老獪さと力強さの前にアフリカ勢の強さを知ることになる。そんな日本を下した両国がトリプルオーバータイムの激闘を演じた。とりわけ、ドイツの大黒柱であるダーク・ノビツキー(元ダラス・マーベリックス)のパフォーマンスは際立っていた。

 ノビツキーは2002年の世界選手権でドイツを銅メダルへと押し上げて大会得点王とMVPを獲得。2005ー06シーズンのNBAファイナルではダラス・マーベリックスをチーム創設以来初となるファイナルに導いている。すでにヨーロッパ最高選手との称号を手にしており、ドイツ代表は『ノビツキー依存』と言われるほど、その存在感は絶大だった。

 この試合でノビツキーが記録した47得点は、2006年大会における1試合最多得点であり、世界選手権史上でも5位(当時)の偉業。フリースローを17本すべて決め、オーバータイムだけでも22得点稼いだノビツキーの一挙手一投足に観客は釘付けとなった。

ダーク・ノビツキーはこの試合で47得点を記録 [写真]=Getty Images


 実はこの大会のノビツキーはNBAファイナルまでプレーしたことで、疲労からかやや精彩を欠いていたことを本人も認める出来だったのだが、それでも大会総得点1位、アベレージ23.2得点はヤオ・ミン(中国、元ヒューストン・ロケッツ)の25.3点に次ぐ2位、リバウンド平均9.2本で4位という突出したスタッツを残している。

◆ワールドカップドキュメント The History of the FIBA World Cup
URL:https://www.youtube.com/watch?v=I0hJ4QC5Fpc

◆FIBA Classic Gamesストリーミング スケジュール
URL:http://www.fiba.basketball/news/fibaーtoーstreamーclassicーgamesーdaily

前編はこちら

文=小永吉陽子