2023.08.28

バスケW杯で1次ラウンド敗退が決まったフランス代表…「恥ずかしい」「すごくつらい」

ワールドカップで2連敗を喫したフランス[写真]=fiba.com
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■近年の国際大会でメダル組の常連だったフランスが覇権争いから脱落

 試合時間残り数秒。右ウイングから相手ディフェンダーをフェイクで交わし、シルバン・フランシスコが逆転をかけた3ポイントシュートを放つもリングに吸い込まれることはなく、フランス代表の金メダル獲得をかけた戦いは早くも終わりを告げた。

 8月27日。「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」は大会3日目を迎え、インドネシア・アリーナ(ジャカルタ)ではグループHのフランスがラトビア代表との重要な一戦に臨んだものの、2点ビハインドで迎えた終盤に逆転できず、最終スコア86-88で敗れた。

 25日のカナダ代表戦で65-95の大差で敗れていたフランスは、ラトビア戦も落としたことでグループフェーズのファーストラウンドで0勝2敗となり、この時点でセカンドラウンド進出は絶望。29日のレバノン代表戦を前に、17位から32位までを争う順位決定戦へ臨むことが決定。

「僕らはたくさんの人たちを失望させてしまった。準決勝や準々決勝で負けるのとは違う。(それなら)少なくとも競い合ったことになる。けど僕らはファーストラウンドさえ突破できなかった。高い期待を背負っていたんだ。恥ずかしいよ」

 試合後にそう口にしたのはニコラ・バトゥーム(ロサンゼルス・クリッパーズ)。この試合で34歳のベテランフォワードは13得点4リバウンド2アシストを残すも、メダル争いどころか、セカンドラウンド進出さえも果たせなかったのだから悔しかったに違いない。

バトゥーム(写真)やフォーニエらが奮闘も勝利ならず[写真]=fiba.com

 カナダ戦でチームトップの21得点を残し、ラトビア戦では両チーム最長の33分38秒コートに立ち、ゲームハイの27得点を奪ったエバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)は「すごくつらい」と苦しい胸の内を明かしていた。

「ものすごくタフだ。(それ以外に)言えることはない。僕らはこんな形でトーナメントから去るなんて思ってもいなかった。この負けから学ばなきゃいけない。そして来年戻ってこなければ」

 フォーニエが話したとおり、フランスがファーストラウンド2戦を終えた時点で優勝争いから脱落すると予想した人は皆無に等しかったはず。というのも、フランスは2014、2019年のワールドカップでいずれも銅メダルを手にしており、2021年の東京オリンピック、昨秋の「FIBAユーロバスケット2022」では銀メダルに輝いていたのだから当然だろう。

 大会直前に『FIBA』が公開したワールドカップの出場国パワーランキング第3弾でも、FIBAランキング5位のフランスは3位という高評価で、優勝候補の一角に挙がっていた。

 フランスにとって望みとなるのは、来年の「2024年パリオリンピック」ではビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)に加え、もしかするとジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)も加入するかもしれないということ。彼らが加われば、フランス代表はさらに恐ろしいチームと化すはずだ。

 とはいえ、来年のオリンピックがどんな結末になるかは別として、フランス代表は順位決定戦を戦い抜いてフランスへ戻ることとなるため、バトゥームはこう漏らしていた。

「僕は家に帰るのが怖い。だって僕らは多くの人たちをがっかりさせてしまったんだ。国全体、それにあの国にいるたくさんの人たちが僕らに対してなにか特別なことをしてくれると信じてくれていたのに、それができなかったのだから」

 今から2連敗という結果を覆してセカンドラウンドへ進むことは不可能。そのため、フランス代表はレバノン戦に続き、順位決定戦でも勝利を重ねて、少しでも最終順位を上げてこの大会を終えたいと思っていることだろう。