2025.06.28

初の海外で見せた“走る司令塔”の片鱗…京都精華・吉田ひかりの挑戦

吉田のリードパスから京都精華の速攻はスタート [写真]=NBAライジングスターズ・インビテーショナル
バスケットボールキング編集部

 6月27日、シンガポールで行われた「NBAライジングスターズ・インビテーショナル」女子予選グループの試合で、京都精華学園高校(日本)がヒンファ高校(マレーシア)を109-15で下し、開幕2連勝で準決勝進出を決めた。

 大会初の100点ゲームとなったこの試合では、スタメン起用された吉田ひかりが12得点を挙げる活躍を見せた。京都精華のテンポあるバスケを支える司令塔として、攻守にわたり存在感を発揮している吉田にとって、今回の遠征は自身初の海外経験となる。

「生まれて初めて海外に来ました。最初の試合はめっちゃ緊張しました」と、パスポートを初めて取得して臨んだ国際舞台。その緊張を振り切るように、「自分が走らないと周りもついてこないので、走りました」と攻撃の先導役を担った。

 2日目の試合では体も動くようになり、「ディフェンスも昨日より足が動きました」と手応えを語る。吉田の持ち味は、何といってもスピード。ポイントガードとして、「バックコートからフロントコートまでファストブレイクができるように早く運んで、相手のディフェンスが準備する前に、ゴール下の選手にパスができるところです」と自身の役割を語った。

 得意なのは何と言ってもドライブ。「ジャンプシュートはまだ練習中なんです」と苦笑しながらも、得点よりもチームを生かすパスと展開力に強みを持つ。「自分がボールを保持しすぎたら周りの選手が生かせないと思うので、ボールをどんどん動かして、自分はトップから指示をしっかり出せるようにしたいです」と語るように、冷静な視野と判断力がチームのリズムを作っている。

 京都精華のポイントガードといえば、歴代にも強力なタレントが並ぶ。「今年卒業された林咲良さん(現白鷗大学)、その上の堀内桜花さん(シャン粗化粧品シャンソンVマジック)がいらっしゃって、本当にすごかったです。全然比べ物にならないですけど、ちょっとずつ、そういう選手になれるように頑張りたいです」と語るその表情には、敬意と強い憧れ、そして向上心がにじんでいた。

 確実に2試合を勝利し、京都精華は準決勝進出を決定。スピードをウリとする司令塔・吉田ひかりが、オーストラリア、中国、韓国のチームとどのようなプレーを見せるのか、楽しみだ。

 6月28日から決勝トーナメントがスタート。京都精華は準決勝で予選Bグリープ1位の清華大学附属高級中学(中国)と対戦する。これまでの相手とは比べ物にならない質と高さ、強さを持ったチームだけに、ここからが大会本番と言えるだろう。試合開始予定は16時(現地時間15時)、その模様はバスケットLIVEで中継される。

文=入江美紀雄