2020.04.16

【トッププレーヤーの高校時代】宮崎早織「桜花に負けて、もっと上に行きたいと思うようになった」(中編)

強豪校での1年目に思いをはせる[写真]=Basketball King
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春は出会いと別れの季節、特に中高生にとっては入学や進級などで環境が大きく変わる時期だ。
新たな生活に大きな期待を抱く一方で、同じくらいの不安を抱く生徒も多いだろう。
そこでバスケットボールキングでは、BリーグやWリーグの選手たちに、高校時代を振り返ってもらうインタビュー特集をスタート。
トップリーグで活躍する選手たちの高校時代の話を、今後の学生生活の参考にしてほしい。
第1回はJX-ENEOSサンフラワーズのスピードスター宮崎早織が登場。全国大会で大きなインパクトを残した聖カタリナ女子高校(現聖カタリナ学園高校)時代についてのインタビューを、全3回にわたってお届けする。

インタビュー・文=峯嵜俊太郎
写真=バスケットボールキング編集部、伊藤 大允

1月に行われたWリーグオールスターに2年連続2回目の出場を果たした宮崎[写真]=伊藤 大允

――宮崎選手は、埼玉県の与野東中学校から愛媛県の聖カタリナ女子高校(現聖カタリナ学園高校)に進学されていますが、全国レベルの強豪に入って驚いたことなどはありますか?
宮崎 最初は、「なんでこのチームに来てしまったんだろう……」って思いました(笑)。それまでは考えてバスケットをしたことがなくて、感覚というか、自分の好きなようにプレーしていたんです。でもカタリナでは、体の動かし方とか、ここにディフェンスがいたらこっちにパスを出すとか、決まりごととかもたくさんあって。考えながらバスケットをしなくてはいけないということにすごく戸惑って、最初の頃は怖かったですね。

――当時は一色建志先生(アイシン・エィ・ダブリュウィングス ヘッドコーチ/2019-20シーズンをもって退団)がチームを率いていました。
宮崎 一色先生は「なぜそういうプレーをしたのか」という質問が多いんです。その質問には、自分でしっかり考えてプレーしていないと答えられない。最初の頃はそういう部分ですごく戸惑いました。

――「一色先生に教わりたい」という思いで聖カタリナ学園高校に進学されたそうですが、実際に教わり始めてからの印象はいかがでしたか?
宮崎 怖かったですけど、それ以上に面白かったです。いきなり冗談を言ったと思ったら、いきなり怒り出したりして、喜怒哀楽がとても激しい(笑)。そして、選手の動きをすごく見ていて、ちょっとでもサボったらすぐにバレるので、そこは怖かったですね(笑)。

――当時の上級生には、現在Wリーグでプレーする選手もいました。先輩たちの印象は?
宮崎 特に1つ上の先輩たちとは関係が深くて、田村さん(田村未来/デンソーアイリス・2019-20シーズンをもって退団)や熊さん(熊美里)の偉大さはすごく感じました。後輩にすごく気を遣ってくれて、本当にやりやすいようにやらせてくれました。一緒にいてとても楽しかったですね。

――考えるバスケットに戸惑っていたという話ですが、1年生で迎えた夏のインターハイではメンバー入りしています。
宮崎 ちょうど熊さんがケガをしてしまって、代わりに私が入ったんです。初めての全国大会で、今までテレビでしか見たことがなかった桜花学園高校(愛知県)とも対戦して、とても緊張しました。「考えるバスケット」も身についていなかったので、あの大会では好きなようにやらせてもらったという感覚があります。それをチームのみんなが受け入れてくれたという感じでした。

――そのインターハイではベスト16で桜花学園に敗れることとなりました。初めての全国大会を経て、心境の変化などはありましたか?
宮崎 それまでは「勝ちたい」とか「試合に出たい」という気持ちがあまりなかったんですけど、全国大会に出て、桜花と試合をして、初めて「勝ちたいな」とか「もっと上に行きたいな」と思うようになりましたね。

――強敵との試合が刺激になったんですね。そんな中、U16女子日本代表に選ばれて、「第2回FIBA ASIA U-16女子バスケットボール選手権大会」に出場することとなりました。
宮崎 本当に突然の話で、「えっ、私?」みたいな感じでした。他に選ばれていたのは、酒井(彩等/アイシンAW)や山田(愛/元JX-ENEOSサンフラワーズ)、(馬瓜)エブリン(トヨタ自動車アンテロープス)とかで、中学生の時に対戦したことはあるけれど、レベルが違う選手たちだと思っていました。まさかその選手たちと一緒にやることになるとは思ってもいなかったので、かなり驚きました。

――初めての国際大会はいかがでしたか?
宮崎 また緊張で気持ち悪くなったり、お腹が痛くなったりしたんですけど、この大会は決勝で中国に勝って優勝したんです。みんなで泣きながら喜びました。私たちの代は背が小さかったので、メンバーを入れ替えながらとにかく前からプレスを掛けるバスケットをやっていて。チームを率いていた林先生(林慎一郎/足羽高校コーチ)が「あと1分頑張れ!」と言うので頑張るんですけど、そこから5分くらいたっても交代してくれないんです(笑)。すごくきつかったんですけど、そうやって頑張ったおかげで勝てたので、私自身かなり鍛えられました。

――その後、ウインターカップにも1年生でメンバー入りを果たしました。
宮崎 ウインターカップは、インターハイと比べて会場の雰囲気が全然違いました。すごくたくさんの人が見に来て、緊張感とか圧迫感がすごかったです。姉が出場したウインターカップを見に行っていた時は全然感じなくて、成徳がメインコートで戦っていても「がんばれー」と無邪気に応援していたんです。この年は3回戦で岐阜女子高校(岐阜県)に負けてしまい、だからこそメインコートで試合したいなと思うようになりました。

PROFILE
宮崎早織(みやざき・さおり) JX-ENEOSサンフラワーズ
スピードあふれるプレーを持ち味とするガード。聖カタリナ女子高校(現聖カタリナ学園高校)2年次に、インターハイやウインターカップで準優勝を経験。3年次にはウインターカップで3位入賞を果たし、自身は大会ベスト5に選ばれた。高校卒業後の2014年からJX-ENEOSサンフラワーズでプレーし、2018-19シーズンから2年連続でWリーグオールスターに出場している。

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