2021.01.19
BリーグやWリーグの選手たちに、高校時代のことを振り返ってもらうインタビュー企画、
第9回は福岡県の福岡大学附属大濠高校出身の金丸晃輔だ。
稀代のシューターと称される金丸選手が、どのようなきっかけでバスケットを始め、
どのような学生時代を過ごしたのか。前編・後編にわたってお届けする。
インタビュー・文=山田智子
写真=B.LEAGUE
――半強制的に始めて、いかがでしたか。
金丸 太っていたので、本当にキツくて。なんでこんなに走らないといけないんだとずっと思っていました。何回もやめたくなりましたし、サボって釣りに行ったりもしました。めちゃくちゃ怒られましたけどね(笑)。
――それでも続けてこられたのはなぜですか?
金丸 バスケットというよりは、ボールをリングに入れることが段々楽しくなってきて、そこからのめり込んでいった感じです。身体が大きかったので、センターをやっていたのですが、ゴール下はちょっとつまらなくて。遊びでアウトサイドシュートを打つのが楽しくて、運動場や外のリングでずっと練習していた記憶があります。
――子どもの頃からアウトサイドシュートに楽しさを感じていたのですね。進学した那珂川南中学校は強かったのですか?
金丸 全然強くなくて、地区大会で負けるような学校でしたね。体育館を使えない日もあったので、グラウンドでバスケをしたり、そんな感じでした。
――当時のプレースタイルは?
金丸 中1の終わりには身長が186センチあったので、ずっとゴール下にいる大黒柱的な存在でした。
――2年生の時にジュニアオールスターに出場します。セレクションには自分から応募したのですか?
金丸 地区の中で僕が一番身長が高かったので、ウチの監督や他の学校の先生が推薦してくれたみたいなんです。それで選考会に呼ばれて、そこで橋本竜馬(レバンガ北海道)と出会ったんですよ。竜馬は審査員の席に座っていたので、スタッフの一人だと思っていたんですけど、まさかの同期で。竜馬は既に前の年に選ばれていて、怪我をしていたので審査員席にいたらしいんですけど、後から聞いた話では、竜馬が僕のことを結構押してくれていたみたいで。それで選ばれました(笑)。
――実際に福岡選抜に参加してみてどうでしたか?
金丸 僕の地区からは僕一人だけだったので、誰も知り合いがいない中に投げ込まれて、一人でポツンとしていましたね。でもあれがなかったら大濠にも行けてなかっただろうし、ジュニアオールスターが分岐点になったと思います。
――“審査員のような同期”たちとの練習はどうでしたか?
金丸 毎週末合宿があったんですけど、それがめちゃくちゃキツくて。毎週行きたくなかったです。練習の内容や取り組み方など、僕が知らないことだらけでしたし、コーチも怖くて。ビクビクしながら合宿を耐えていたことを覚えています。
――その時は逃げて釣りに行ったりはしなかったんですね。
金丸 怖くて、逃げられなかったです(笑)。
――その後、福岡大学附属大濠高校に進学しましたが、きっかけは?
金丸 ジュニアオールスターの合宿で大濠や(福岡)第一などで練習させてもらっていたので、声をかけていただきました。大濠は進学校なので、学業面が心配で最初は断ったんですけど、その時に竜馬が電話してきて。勉強は何とかなるからということだったので、「じゃあ、分かった」と二つ返事で大濠に決まりました。
――ジュニアオールスターのセレクションといい、金丸選手の進路には橋本選手が大きく関わっているんですね(笑)。
金丸 そうですよ(笑)。後で聞くと、竜馬が田中(国明)先生から「金丸も誘ってこい」と言われていたらしいです。
――入学後はすぐに高校のレベルについていけましたか?
金丸 1年生の時はキツかったですね。1年生の仕事もあるし、練習も全国レベルなので。ついていけていたかは分からないですけど、それで精一杯でした。
入学前は長時間練習すると勝手にイメージしていたのですが、休みの日は午前中2時間くらいでチーム練習が終わって、あとは個人練習という形だったので、それは少し意外でしたね。今はどうか分かりませんが、僕の時は短期集中だったので非常に助かりました。
――短期集中は金丸選手に合っていそうですね。
金丸 はい、僕には合っていました(笑)。
――大濠高校の名物練習はありますか?
金丸 試合がない期間は外を走るんですけど、大濠公園の隣にある西公園を走るのが僕は本当に嫌でしたね。山道なのでアップダウンが激しくて、坂道ダッシュとか長い階段があって、それを何セットか連続でやるんですけど、足をつる人が続出するくらい、めちゃくちゃハードでした。
特に中学ではずっとゴール下にいたので、あまり走っていなかったんですよ。高校になってインサイドの選手もこんなに走るんだって。何かにつけてとにかく走らされるので、それがキツかったです。
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