Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
日本女子代表ポイントガードの町田瑠唯が今夏、加入することとなったワシントン・ミスティックスのオーナー企業は「モニュメンタルスポーツ&エンターテイメント(Monumental Sports & Entertainment)」といい、八村塁の所属するワシントン・ウィザーズや2017-18シーズンのNHL王者・ワシントン・キャピタルズも傘下に置く。
今回はクリーブランド・キャバリアーズやNHLフェニックス・コヨーテズなどでも要職を務め、現在はミスティックスとウィザーズでビジネス部門代表を務めるジム・バンストーン氏にインタビューを実施。八村がウィザーズからドラフト指名を受けて以来、SNSなどで日本語のコンテンツの充実や日本バスケットボール界との結びつきにも尽力してきたバンストーン氏に、町田という新たな日本人選手の獲得と彼女がもたらすインパクトなどを話してもらった。
取材・文=永塚和志(Kaz NAGATSUKA)
――マイク・ティボーヘッドコーチ兼ゼネラルマネージャーから町田選手獲得の意向を聞かされた時は、どのような反応をされたのですか?
バンストーン 最初にマイクからそのことを教えられたのは、キャピタルワンアリーナでウィザーズの試合をスイート席で見ている時でした。よく記憶しているのですが、彼が「いいニュースがある」と言ってきたのです。町田選手の獲得のことでした。この2年ほど、(八村のウィザーズ加入をきっかけとして)我々はバスケットボールという競技を通じて、日本のファンと良好な関係を築こうと努めてきました。町田選手については、私自身も昨年の東京オリンピックでの彼女の活躍を見ていましたし、日本代表を銀メダルに導くなど、本当に信じられない活躍を見せてくれました。
――日本のバスケットボールについてはどのように感じていますか?
バンストーン Bリーグを中心とした日本バスケットボール界の急激な成長にも感銘を受けています。そして今、日本では女子のバスケットボールリーグ(Wリーグ)も同様に大きな成功を収める可能性があります。ですので、その女子リーグから来る町田選手が我々のチームに加わってくれるという報せを聞いた時には、身震いがしたものです。そしてご存知のとおり、我々は日本語のメディアコンテンツ制作のために3人のフルタイムのスタッフを雇うなど、これまで多くの力を注いできました。お陰さまでこの2年、日本語のSNSのフォロワーを10万人以上、獲得することができました。また、コンテンツに対するインプレッションは4億500万に達していますし、映像コンテンツについては6100万の視聴回数と3000万のエンゲージメントを記録するに至りました。町田選手のミスティックス加入で同じような影響があるかもしれないと考えると、とてもワクワクします。今年の秋にウィザーズが日本でゴールデンステート・ウォリアーズとのプレシーズンゲームを行うことは、偶然とは言え、町田選手のWNBA入りと合わせて我々の組織にとってはとても素晴らしい機会になると思っています。町田選手が来てくれるのはマイクHCのチームにとって大きなことですが、球団としても興奮を隠せないところです。願わくは、今回のことで我々と日本のファンの関係性がより深まるといいなと思っています。
――それにしても、ワシントンD.C.で2人の「ルイ」がプレーするというのも、不思議なものですね。
バンストーン 最初、マイクが私に(ルイが来ることになったと)伝えてきた時は一瞬、何を言っているかと思いましたよ。私が彼に「どういうことなんだ」と聞いたら「いや、町田瑠唯のことだよ」と。そんなおかしな会話になってしまいました(笑)。
――町田選手のコート上での活躍もさることながら、ビジネス部門の代表としては彼女のオフコートも含めてのビジネス的影響も気になるところではないでしょうか?
バンストーン そのとおりです。今年はミスティックス創設25周年ということもあって、素晴らしい年となってもらいたいと願っています。ご存知かと思いますが、ワシントンD.C.は世界的な国際都市です。町田選手がオンコートで素晴らしい活躍をしてくれるだろうと思う一方で、オフコートでも、彼女がどんな人物なのかを紹介できればと思っています。しかし優先すべきは、彼女のオンコートでの活躍と成長を日本のファンたちにいち早くお届けすることです。その上で、彼女のライフスタイルや、新しい環境にどう順応していくかも紹介していきたいと思っています。ワシントンD.C.という街や文化は日本と密接なところがあります。今、こちらでも桜が咲き始めてお祭り気分が漂っています。我々には彼女を支える体制が整っていますし、彼女がこちらに来て、オンコートのみならずオフコートでどんなことを経験していくか、アメリカ、ワシントンD.C.という場所で彼女がどんなことを目にするのかといったところもお伝えしていきたい。そこについては、我々の日本語コンテンツチームが彼女のありのままの姿を伝えてくれるはずです。
――多くの日本人が八村選手、町田選手の活躍を期待しています。
バンストーン 我々の組織は女子のプロスポーツに対して、とても熱心かつ献身的な姿勢で取り組んできました。そして今、町田選手が日本から来てくれることに対して、大きな責任を感じてもいます。ですから、彼女が活躍できるように、できるだけのことをしてあげあたいと思っています。そこについて、我々は八村選手がウィザーズに入ってくれた時にすでに経験済みです。彼の入団会見には100名以上の日本人記者がワシントンD.C.に駆けつけてくれましたが、町田選手の入団会見の際にも、いいプレゼンテーションができればと思っています。数週間ほど前に行われた日本での町田選手の(ミスティックス入りの)記者会見には80ほどのメディアが集ったと聞いています。こちらの日本大使館の大使もすでに、我々へアプローチをしてくれていて、彼女のことを気にかけてくれていますし、こちらの日本人コミュニティからも町田選手の加入で「自分たちも関わらせてもらいたい」というような声を寄せてくれています。我々としてはそういった方々の期待にできるだけ応えていけるようにしたいと思っています。