2018.06.28
5月6日、いよいよ迎えたレギュラーシーズン最終ゲーム。座席数約1600席と“日本一小さなホームアリーナ”である、長野県千曲市の千曲市戸倉体育館で戦い続けているのが信州ブレイブウォリアーズ。この日がチーム創設から7シーズン、使用したこのアリーナでのラストゲーム。相手は圧倒的な勝率で東地区を制覇し、B1復帰に向けた「B2 2017-18 PLAYOFFS」進出を早々に決めた秋田ノーザンハピネッツ。歴史の節目を迎えたものと、B2リーグ最強との戦いとなった。
ゲームは序盤から秋田が持ち味の激しいプレッシャーディフェンスを展開し、相手にリズムを全くつかませない。相手に気持ち良くオフェンスをさせず、タフショットを打たせ、オフェンスではリングに向かって強くアタックしていく。中山拓哉や谷口大智を中心に、ゲームスタートから6分間で20-3のランスコア、あっという間に点差が広がっていった。選手も次々と交代していくが、そのトーンが落ちることはない。28-10で最初の10分間が終了した。
第2クォーターは信州も相手ディフェンスに慣れ始め、一進一退の攻防に。中盤の時間帯には武井弘明が持ち味のスピードで流れを変えようとしていく。それでも秋田は全く動じない。自分たちのやるべきバスケットを継続させていく。点差をキープした中で残り1分を切ってからは大黒柱の田口成浩が連続スコアを挙げ、51-30と大差で後半へと進んでった。
第3クォーターに入ると今度は信州が秋田のお株を奪うようなタフなディフェンスを展開、徐々に点差が縮まっていく。このゲームで引退となる齊藤洋介の3ポイントシュートでスタートすると、連続して和田も決めてゆき、会場全体が追いあげムードに包まれる。そのムードに乗ったチームは、攻守にリズムを取り戻し、猛攻を仕掛けていった。その主役が先ほども挙げた、和田だった。彼の持ち味でもある鋭いドライブが秋田ディフェンスを豪快に切り裂き、ファールも誘い、相手を混乱に陥らせていく。このクォーターだけで13得点と大活躍を見せ、69ー58と一気に点差を縮めていった。
第4クォーターも信州の流れは継続、鈴木大の3ポイントに古橋広樹のバスケットカウントと2プレーで7点差。ここでさらに勝負を仕掛けたかった信州だったが、再び秋田がディフェンスから流れを引き寄せていった。小野寺祥太のスティールからのファストブレイクで息を吹き返すと、ここから3連続得点で点差を17得点に広げ、オフィシャルタイムアウトに突入。この一連のゲーム展開で勝負は決まった形となった。最終的には94ー76と秋田が快勝。来週からスタートするプレーオフに向けて弾みの付くゲームとなった。
チームで19個のスティール、相手のターンオーバーが24個。超攻撃型のアグレッシブなディフェンスでペースを握り続けた秋田。ジョゼップ・クラロス・カナルスヘッドコーチは「自分たちらしいバスケットが40分間展開できて良かった。ハードな1週間が続いたので、まずは休ませながらフレッシュな形でプレーオフに臨みたい」と試合後、語ってくれた。一方、信州の小野寺龍太郎HCは「今日は色々な意味を持ったゲームだったので、どうしても勝ちたかった。しかし、追いあげた後のターンオーバーでリズムを崩し、そこで勝負が決まってしまった」と悔しい表情を見せた。
最終戦でも変わらないスタイルで勝利を収めた秋田が、全てを掛けて勝負の時に出る。
写真・文=鳴神富一
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