2018.09.08
今季B2昇格初年度で優勝を成し遂げたライジングゼファー福岡はB3のレベルをファンに知らしめたが、それを裏づけたのがB3勢として初めて「B2・B3入替戦 2017-18」の大舞台に立った東京八王子トレインズだ。
この試合では、B3で認められていた帰化申請選手枠を活用できず、オンザコート1のクォーターで高さのアドバンテージを生んでいたエドワード・モリスが登録外。加えて、シーズンMVPの大金広弥が負傷欠場という緊急事態も発生した。それらの不利な条件を抱えていたにもかかわらず83-55という大差で勝ったことは、チームはもとよりB3リーグ全体のポテンシャルをアピールする上でも十分すぎるものだった。
その裏には、対戦相手の岩手ビッグブルズをしっかりとスカウティングし、チームのスタイルや状況も踏まえて周到に準備した石橋貴俊ヘッドコーチのゲームプランがあったことを見逃してはならない。
「入替戦の出場がほぼ確定して、最後の6試合はあえてモリスを第1、第3クォーターで使わずに浅野(崇史)を入れました。最初はちぐはぐしたがなんとかフィットして、今日も浅野がリバウンドをがんばってくれてゲームになった。(モリスを外すことは)最後まで迷ったが、アレクサンダー・ジョーンズとジョエル・ジェームスはインサイドの要で外せないし、ブレナン・マッケルロイはボールを運べてスピードに乗れる選手。ディフェンスから走る我々のスタイルと、岩手があまりトランジションが良くないことを考えてマッケルロイを選びました」
また、明らかに気負いのあった岩手に比べ、臆することなく戦うことができたのは、横浜アリーナにも多く駆けつけたブースターの存在もあったに違いない。入替戦出場が現実味を帯びるにつれてホームゲームの観客数が伸びていき、ホーム最終節は2戦ともクラブ初の2000人動員を達成。八王子に根づいた活動とB2昇格の機運がブースターの熱を生み、その熱がチームを押しあげるという相乗効果につながったはずだ。
「お客さんあってのプロだから、バスケットだけできてもしょうがない、プレーしていない時も笑顔を振りまいてこのチームを好きになってもらおうということは選手にも言ってきました。トレインズはプロチームとしてファン対応も素晴らしいと思います」(石橋HC)
チームの強さも運営面も、すでにB2レベルにあることを証明。来季、新たなステージでどのような姿を見せてくれるか、今から楽しみだ。
文=吉川哲彦
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