2019.04.22
Bリーグ2018-19シーズンよりスタートした、ユーザーが対象ショットの中からナンバーワンタフショット『MONTHLY BEST of TOUGH SHOT』を決める、バスケットボールキングとカシオ計算機株式会社による共同企画。記念すべき第4回目(第18節~第22節対象)は遠藤祐亮(栃木ブレックス)が最多票を獲得した。
そこで今回、遠藤に受賞記念品のG-SHOCK『GW-B5600-2JF』を贈呈し、ビッグショットについて話してもらった。また、青野和人ヘッドコーチ(越谷アルファーズ)が、どのようにしてこの一発が生まれたのか、相手やチームメートとどのような駆け引きがあったのかなど、指揮官ならではの視点で解説してくれた。
――まずは受賞おめでとうございます。
遠藤 このような賞に初めて選ばれたので素直にうれしいです。いただいた時計はすごくシンプルで、様々な場面で使っていきたいと思います。
――このほかにG-SHOCKを持っていますか?
遠藤 2年前の優勝時にいただいたG-SHOCKを普段も使っていて、そのほかにも何種類か持っています。
――今回のシュートを振り返ってください。
遠藤 昨シーズンはアルバルク東京から1勝もできず、今シーズンもアーリーカップの決勝で負けていました。この節も初戦で負けて、何としても勝ちたい試合でした。追いかける時間が続く中、第4クォーターに自分たちの流れが来て、最後は自分のシュートで突き放すことができたのでうれしかったです。あの場面では自分のマークマンがよりインサイドをカバーしていて、そこを見逃さずに鵤(誠司)選手がパスを出してくれました。
――シュートを打つ場面では馬場雄大選手がブロックに来ていました。焦りはありませんでしたか?
遠藤 自分のタイミングでシュートを打ちましたが、映像を見直したら思ったよりも詰められていました。1個前のプレーでブロックされたので、率直にブロックされなくて良かったです。
――シュート後のパフォーマンスも派手でした。
遠藤 会場の雰囲気やシュートの場面、強い相手ということもありとっさに出ました。馬場選手にオフェンスでもディフェンスでもやられていたので、最後にやり返すことができて良かったです。
――今回のように、重要なショットを託された時はどういった気持ちですか?
遠藤 昨シーズンまでは重要な場面で自分に来ることがなく、来たとしても「決めなきゃいけない」と思って外してしまうことが多かったです。今シーズンは「入れば良かった、外したら自分の責任」だと思うようにしています。決まったか、決まらなかったにかかわらず、強いメンタルで試合に臨めていると思います。
――Bリーグ初年度から比較すると、1試合平均得点が7.6得点、8.2得点、11.9得点(第24節終了時点)と大幅にアップしています。
遠藤 オフェンスでは強気に行こうと思っていましたが、どう得点を取ればいいか悩み、なかなかアベレージも伸びてきませんでした。ただ今シーズンは自分の得点パターンが見えてきて、さらに田臥(勇太)選手、喜多川(修平)選手がケガで離脱したことで、より多くのシュートを打たなきゃいけないなと思うようになりました。
――日頃の練習で変えたことはありますか?
遠藤 量を増やすというより、1本1本の質を上げ、外す本数を減らすように意識していて。より集中して取り組むようになった結果、試合でもスタッツを残せていると思います。
――現在、3ポイント成功率はリーグ2位の46.2パーセントです。
遠藤 数字はあまり気にしていません。打つべき場面で打って、今のところはいいパーセンテージを維持できています。ただ、シュートが落ちるようになっても、打つべきシュートは打っていかなきゃいけないなと思います。
――Bリーグ初年度にベストディフェンダー賞を受賞したように、守備面でフォーカスされることが多いと思います。
遠藤 チームもディフェンス第一で、ディフェンスが良くないとオフェンスでもいい流れになりません。全員がディフェンスからのオフェンスを心掛けていると思います。
――レギュラーシーズンは残り20試合になりました。今後についての意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
遠藤 ここまでタフなスケジュールをこなしてきて、首位の千葉ジェッツまで1ゲーム差に迫っています。チャンピオンシップをホームでやるために1試合1試合を大事にして、自分たちらしさを存分に出せるように体、メンタルの準備をしなければいけません。ファンの皆さんの声援を背にがんばりたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします。
ライアン・ロシター選手のバックスクリーン後に外でボールを受けると、馬場雄大選手のブロックにも慌てずにキレイなフォームで打ちきったシュートはリングの真ん中を射抜いた。このシュートが決まって17秒を残すが、シュートを2本決めないと追いつかない点差へと突き放した。
お互いの激しいディフェンスによってロースコアの展開。第4クォーターオフィシャルタイムアウト明け、A東京はジワジワと8点差まで広げる。210センチを超えるツインタワーに対して栃木はオンザコート1で、2-3ディフェンスで相手の動きを封じる作戦。これが功を奏し、ボールスクリーンからのシュートにはすべてコンテストができ、止めることができた。オフェンスではロシター選手の3ポイントで同点に追いつき、竹内公輔選手のボールスクリーンからのダイブで逆転に成功する。もう一度守りきったあとに今回のシーンに突入。渡邉裕規選手がゲームをコントロールし、攻めどころをうかがっているとパスが相手の手に当たりベースラインを割った。ゲームクロックは17秒だがショットクロックはわずか3秒。
ここで栃木はタイムアウトに頼らずにコート内選手のコミュニケーションでセットプレーを作る。パスが入るまでに3名が同時に動いた。竹内選手がビッグマンを外に引っ張り、ロシター選手が渡邉選手にフレアスクリーン(フリーになるためにかけるスクリーン)を掛けに行き、遠藤選手が一度ペイントに入る。そこから渡邉選手にフレアスクリーンを掛けたロシター選手に対し、遠藤選手がバックスクリーンを掛ける。マッチアップした馬場選手は飛びこんでくる竹内選手を警戒したため、遠藤選手がトップでフリーとなった。一瞬の出来事だが、5人が非常に緻密で正確に実行して作られたセットだった。
ここでは2つ。一つはこの緊迫した場面で下手にタイムアウトを使うと、相手にも作戦を立てられてしまう。しかし、安齋竜三ヘッドコーチから指示された選手が冷静にコミュニケーションを取り、こういったオープンショットを作れるレベルのチームに仕上がっていること。もう一つはディフェンスマンとして頭角を現し、今では高確率の3ポイントを武器にオフェンスでも信頼を得られている遠藤選手に、チームが勝負を委ねているところが素晴らしい。
シュートを託された選手が決めて大騒ぎするベンチ。そして駆けつけた栃木ブースターが、今季の分かれ目ともいえる決戦を制した、1本のショットに酔いしれた。
インタビュー=酒井伸
解説=青野和人
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