2020.05.06
ユーザーが対象ショットの中からナンバーワンタフショット『MONTHLY BEST of TOUGH SHOT』を決める、バスケットボールキングとカシオ計算機株式会社による共同企画。第3回目(第10節~第15節対象)は前田悟(富山グラウジーズ)が最多票を獲得した。
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そこで今回、前田に受賞記念品のG-SHOCK『GA-2100-1AJF』を贈呈し、ビッグショットについて話してもらった。また、元日本代表の渡邉拓馬氏が、どのようにしてこのシュートが生まれたのか、相手やチームメートとどのような駆け引きがあったのかなどを解説してくれた。
――まずは受賞に対して、率直な感想を教えてください。
前田 まさか選ばれるとは思っていなかったので、とてもうれしいです。
――3点リードで残り約50秒でのオフェンス、チームとしては1点でも多く得点をしておきたかった場面かと思います。
前田 決めなければいけない場面だったのは間違いなくて、自分も空いていたら打とうという気持ちは持っていました。その中で、レオ(ライオンズ)からいいパスが来たので、思い切って打ちました。緊張とか、そういうものはなかったですね。
――シュートの瞬間、前方からはレバンガ北海道のマーキース・カミングス選手がブロックに迫ってきていました。
前田 ボールをもらった瞬間はカミングス選手との距離が結構あったので、打てるなと思って打ちました。だから焦りとかも感じていなかったんですけど、後から映像を見たらボールが(カミングスの)手の上ギリギリを通っていたのでビックリしました(笑)。
――前田選手は3ポイント成功率でリーグ上位にランクインしています。3ポイントを放つ際に心掛けていることはありますか?
前田 とにかく躊躇せず、ボールをもらったらまずはシュートを狙うことです。「外したら」とか「決めなきゃ」とか考えるとダメなので、何も考えず、躊躇せず、空いたら打つ、ということを心掛けています。
――贈呈されたG-SHOCKの印象はいかがですか?
前田 黒で統一されたカラーリングやデザインが男らしくてカッコいいです。遠征で移動するときなどに着けようかと思います。私服にも合うと思うので、オフの日に遊びへ行くときなどにも使いたいですね。
――ルーキーイヤーも折り返し地点、ここまでの自身のプレーをどのように捉えていますか?
前田 70点くらいですかね。コーチやチームメートからも「攻めていいよ」「シュート打っていいよ」と言われているので、そこは自分としても自信を持てています。ただ、その中でも大事な場面でフリースローを外したりしていて、メンタル面での甘さはまだまだあると感じているので、改善していきたいです。何よりもチームがあまり勝てていないので、僕自身チームの勝利に直結する活躍をすることが大事だと思っています。個人のスタッツよりも、チームの勝利を優先して戦っていきたいです。
――では最後に、応援してくれているファン・ブースターへのメッセージと後半戦に向けての意気込みをお願いします。
前田 前半戦はなかなか厳しい結果となりましたが、後半戦からは軌道に乗って“強い富山グラウジーズ”を見せていきたいと思います。その中で、ファン・ブースターの皆さんの後押しも必ず必要になってくると思うので、これからもぜひ応援してほしいです。その皆さんの応援を受けて、僕たちはチャンピオンシップ出場、そして優勝を目指してがんばっていきたいと思います。
試合時間残り47.4秒で88-85と3点リードしている状況、富山としては5点、6点くらいのセーフティリードが欲しい場面でスローインが入ります。チームとしての狙いはシンプルで、まずはレオ・ライオンズ選手にボールを入れて、彼の1on1からの得点を狙う。でも、恐らくそこにはヘルプが来るので、水戸健史選手、前田悟選手の2人がパスを受けて3ポイントを狙える位置に構えています。
その2人のうち、水戸選手はややディフェンスとの距離が近かったので、ライオンズ選手は前田選手にパスを出しました。この状況においてベストな選択だったと思います。ただ、前田選手がディフェンスから遠いところにいたのは決して偶然ではなくて、彼のスペーシングスキルがあってこそ。パスが出る直前、北海道の選手がライオンズ選手の1on1を警戒してダブルチームに行こうとしたことで、一時的にカミングス選手が富山のジョシュ・ペッパーズ選手と前田選手の2人を1人でディフェンスする状況が生まれました。そこで前田選手はライオンズ選手とアイコンタクトを取りながら、コーナーからウィングへと少しずつ移動して、カミングス選手との距離を空けているんです。
またこの時、水戸選手も前田選手の移動に合わせてポジションを修正し、前田選手がシュートを打てるだけのスペースを作り出しています。もし修正していなければ、水戸選手をマークしていた選手が前田選手へのディフェンスに間に合っていたかもしれません。前田選手のシュートはもちろん、富山のチームとしてのスペーシングの判断も素晴らしかったと思います。
そして肝心の前田選手ですが、シンプルに、よく自分で決めきったなと。この試合で前田選手は17得点、3ポイントやフリースローも高確率で決めているので、シュートタッチの感覚も良かったのではないでしょうか。
ルーキーは失敗を恐れずに思い切りプレーできる立場でもあると思います。今回はそういう面がプラスに働いたのかなと。ブロックが前から来ているときって、やっぱり怖さはあるんです。でも、ブロックされることを怖がって体が逃げてしまうとファウルはもらえない。ブロックを恐れない強気のメンタルとスペーシングの冷静さ、前田選手が持つ熱さと冷静さが両方出て、そこにチーム力が加わって生まれたショットだったのかなと。
ライオンズ選手が迷わずパスを出したことからも分かる通り、すでにチームメートからの信頼をしっかりと勝ち取っているみたいですね。ここまで非常に好調ですし、Bリーグ後半戦での活躍にも注目したい選手です。
写真=Bリーグ
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