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12月12日に行われた「第91回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンド・準々決勝。アイシンウィングスがシャンソン化粧品シャンソンVマジックを破り、チーム史上初となるベスト4入りを決めた。
この試合のMVPは30得点7リバウンド3ブロックを記録し、相手の得点源であるイゾジェ ウチェを7点に抑えるディフェンスを見せた渡嘉敷来夢だろう。だが、渡嘉敷、野口さくらに次ぐ33分の出場を果たした岡本彩也花の存在も欠かすことができなかったと言える。
「皇后杯の1点、2点(を争う)大事な試合というのをENEOSでは結構あったんですけど、アイシンに入って久しぶりで。すごく緊張して、フリースローもとりあえず1本1本という感じでいました。最後は絶対に勝つ、まずは1勝という気持ちでいました」と、試合を振り返った岡本。
「(Wリーグの)リーグ戦では最近はあまりシュートの調子が上がっていなかったので気持ち的に少し落ちていたのですが、もうそんなことを言ってられないと思って。とりあえず今までの試合はいったん置いといて、切り替えてやろうと思っていました。新たな気持ちというわけではないですが、1勝は絶対するという気持ちで打っていたので、それが入ったかなと思います」と、試合では11得点8リバウンド5アシスト1スティールをマーク。中でも相手に引き離されそうな場面で幾度となくシュートを沈めるなどさすがの働き。チームに良い流れを引き寄せていた。
「シャンソンは3ポイントシュートが入ったら乗ってくるので、まずはそこを止めよう、それとボックスアウトをしっかりしようということで臨みました。タク(渡嘉敷)がインサイドでウチェを抑えてくれたのが一番大きかったと思います。最後の方は相手の得意とする3ポイントシュートをポンポンとやられてしまったのですが、しっかりリバウンドを取って、全員がルーズボール拾ったので自分たちのボールになった。そこはみんなが我慢してやれたと思います」
このように勝因を語った岡本は、オフェンスだけでなく、数字に表れないディフェンスも光った。加えて、「オフェンスは入らなくてもシュートを打つ、チームとしての(打つべき)シュートだったら絶対に打つこと。あとは焦らない。こういうゲームは焦ったらミスにつながってしまうので、そこは気をつけようと思っていました」という言葉通り、緊迫した場面でも常に落ち着いた様子でプレーし、チームに安心感を与えていた。
「冷静でいなくちゃって思っていましたね。自分がバタバタしちゃうとみんなもバタバタしちゃうし、相手にもそういったことは伝わってしまうので。特にガード陣は冷静に平常心を保って。そこは自分の今までの『経験』だったのかなと思います」
桜花学園高校(愛知県)を卒業後、ENEOSサンフラワーズ(当時はJXサンフラワーズ)に入団。3年目でスターターの座を勝ち取り、皇后杯、Wリーグと多くの優勝に貢献した。一方でその分、数え切れないほどの修羅場もくぐってきた。15シーズン目となる今シーズンはアイシンに移籍し、渡嘉敷や吉田亜沙美らとともにチームを引っ張っているが、新天地で迎えた皇后杯の大一番では、そういったこれまでの経験を生きたのだろう。「ベテランというところを少し見せられたかなと思います」と、本人は少し控えめに笑顔で語る。だが、準決勝に向けて問われると、「ディフェンスとリバウンドがカギになると思います。そこができれば相手の得点も抑えられるし、自分たちの流れも来ると思います。チャンスはきっとあると思うので、チャンスをつかみに行きたいです」と、語気を強めた。
文=田島早苗