2025.10.18

Wリーグ、次なるステージへ… 外国籍選手枠拡大で10月18日開幕

各国の代表クラスとのマッチアップが今季実現 [写真]=W LEAGUE
フリーライター

 Wリーグ2025-26シーズンがいよいよ10月18日に開幕する。富士通レッドウェーブが3連覇を達成するのか、または他のチームがそれを阻止するのかなど、いろいろと話題は尽きないが、その中で大きな変化といえるのが外国籍選手登録規定の改訂だ。

 これまで『通算5年以上日本国に在留』という条件を満たした外国籍選手のみ登録を認められていたが、今シーズンよりその条件を撤廃。多くの外国籍選手のWリーグでのプレーが可能となった。

 そのため、各チームが日本の中学、高校、大学でプレーしていた外国籍選手のみならず、新たな外国籍選手の入団を発表。190センチを超える選手が多く、代表暦のある選手もいれば、WNBA(アメリカ)経験者などキャリアも様々な選手たちが顔をそろえた。

 在留の有無に関係なく外国籍選手がプレーするのは日本リーグ時代以来、実に33年ぶり。今回は、日本女子バスケットボールの強化・発展につなげていくことを目的としたルール変更だが、高橋雅弘専務理事がこれに至る経緯を語った。

「(サイズの)小さいメンバーで銀メダルを取った東京オリンピックの印象があったのか、FIBA(国際バスケットボール連盟)から外国籍選手を入れて(よりバスケットを)極めてほしいというような、入れることが強化につながるといった話をいただきました。原田裕花会長は(外国籍選手がいた時代のリーグを)選手として経験されていて、『相当勉強になった』と当時のことを話しています。外国籍選手がいるからといってひるむような選手たちではないですし、(日本の女子バスケット界の)次のステージへとつながるのではないかということで各チームと話をし、決めました」

 その背景にFIBAの存在を明かした高橋専務理事は、さらにこう説明する。「(FIBAからは)東京オリンピックが終わってから話をいただきました。(以前登録が可能だったのが)33年前なので、どのチームも当時を知っているフロントの方々がいらっしゃらない。ですから、チームにはしっかりと説明して、理解を得るということで若干時間を要したところもありましたが、原田会長やチーム、選手たちの意見も聞きながら、関係各所と話をして進め、きちんとしたルールを作っていったのでこの時期になりました」

 一方で、外国籍選手についての議論はかねてからあったともいう。それこそ女子日本代表がオリンピック出場を逃したり、世界大会で思うような成績を残せなかったりしたころからで、「何で勝てないんだというところからスタートしていたと思います」と、日本バスケットボール協会の女子強化部長も過去に歴任した高橋専務理事は20数年前からのことを振り返る。「そうした長い間の議論があってここに辿り着いたと思っています」というように、今回の改訂は、長期で進めてきたものが、FIBAの提案が一つの転機となって実現へと加速したと言える。

「どのチームも日本人選手との組み合わせ、コンビネーションなども含めた上で新たに外国籍選手を獲得していると感じます。我々も楽しみですし、見ている方たちも(新たな)楽しみになるのではないでしょうか。それに選手たちが何より楽しみなのではないかと思います」と、新シーズンに向けて期待を寄せる高橋専務理事。

 現場の反応を見てみよう。日本代表で銀メダルを獲得した東京オリンピックをはじめとする国際大会の経験が豊富で、前回覇者・富士通レッドウェーブのキャプテンを務める宮澤夕貴は、「勢力図が変わる。どのチームにも外国籍のビッグマンが入り、マッチアップが大変になると思います」と、感想を述べている。

 なお、外国籍選手の登録期限はシーズンの3分の2の日程が経過するまでで、予定通りに試合が行われた場合は今年の11月21日までとなる。期限の設定は、「トータルしてチーム強化をしていくこと」が前提で、プレーオフのみ外国籍選手を登録するといった状況を避けるためもあるそうだ。

 また、外国籍選手に関しては金額は非公開だが、1人あたりの報酬上限が設定されている。これもWリーグはクラブチームと企業チームとが混在するリーグであるため、同一リーグ内でのサラリーの格差をなくすといったことを踏まえてだという。

 外国籍選手の登録は各チーム2名まで。オンザコート(試合でプレーするの)は1名で、帰化選手は外国籍選手との同時出場が可能だ。新規参入のSMBC TOKYO SOLUAを除く14チームが外国籍選手を擁する今シーズン、すでにユナイテッドカップグループステージでプレーした選手もいるが、新たに日本でプレーする外国籍選手たちの実力はまだ未知数。新戦力を加えたチームプレーなど、どのような戦いを繰り広げるのか、開幕からファイナルまで予断を許さないシーズンとなりそうだ。

文=田島早苗

【外国籍選手一覧】

※10月15日時点

▪️富士通レッドウェーブ
ジョシュア ンフォンノボン テミトペ(ナイジェリア/190センチ/センター/高知中央高→東京医療保健大)
アカトー オーサリテン エブリン(ナイジェリア/190センチ/センター)

▪️デンソーアイリス
アニマム ジャックダニエル(フィリピン/190センチ/センター)
シラ ソハナ ファトー ジャ(セネガル/188センチ/センター/開志国際高→白鷗大→トヨタ自動車)

▪️シャンソン化粧品シャンソンVマジック
カサンドラ ブラウン(カナダ/189センチ/センター)
ンウォコ マーベラス アダク ビクター(ナイジェリア/183センチ/センター/高知中央高→拓殖大)

▪️ENEOSサンフラワーズ
プレッチェル レイン アシュテン(アメリカ/196センチ/センター)

▪️トヨタ自動車アンテロープス
オコンクウォ スーザン アマカ(ナイジェリア/187センチ/センター/桜花学園高→白鷗大)
シュック カイリー アネット(アメリカ/196センチ/センター)

▪️トヨタ紡織サンシャインラビッツ
ディマロ ジェシカ ワリエビモ エレ(ナイジェリア/188センチ/センター/京都精華学園中→京都精華学園高)
チドム オデラ(アメリカ/193センチ/センター)※アメリカとナイジェリアとの国籍を所有

▪️アイシンウィングス
アミラ ジャネイ コリンズ(アメリカ/190センチ/センター)

▪️東京羽田ヴィッキーズ
イベエスターチカンソ(ナイジェリア/185センチ/センター/岐阜女高→東京医療保健大)
フルーカー シャノン ティアラ(アメリカ/193センチ/センター)

▪️日立ハイテククーガーズ
ファール アミナタ(ガンビア/198センチ/センター/東海大付福岡高→日本経済大)
デヴォス ローレ(ベルギー/185センチ/パワーフォワード)

▪️三菱電機コアラーズ
ジョセリン テイト(アメリカ/177センチ/パワーフォワード)
サイーシャ ゴリー(アメリカ/188センチ/Cセンター)

▪️山梨クィーンビーズ
ダラーメ マレム ドイ(セネガル/187センチ/センター/倉敷翠松高→日本経済大→日立ハイテク)
ダフェ ハディ(セネガル/188センチ/センター/岐阜女高→名古屋経済大→三菱電機)

▪️新潟アルビレックスBBラビッツ
デンベル サナタ(マリ/185センチ/センター/延岡学園高→共栄大)

▪️プレステージインターナショナル アランマーレ
ニアン ンディ クンバ(セネガル/190センチ/センター/一関学院高→日本経済大)
バイ クンバ ディヤサン(セネガル/187センチ/センター/岐阜女高→拓殖大→デンソー)

▪️姫路イーグレッツ
オドボ エンデュランス(ナイジェリア/181センチ/センター/明星学園高→武庫川女大→トヨタ紡織)
サンブ アストゥ(セネガル/182センチ/センター/開志国際高→江戸川大→アイシン)

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