2025.10.20

変化するWリーグで自分たちの基準を積み上げる…トヨタ自動車・大神HCが目指すもの

開幕節を終えたトヨタ自動車の大神雄子HCに今季の展望を語ってもらった [写真]=W LEAGUE
バスケットボールキング編集部

 今シーズンから、Wリーグは外国籍選手の登録規定を改訂。これまで「通算5年以上日本国に在留」という条件があったが、今シーズンよりその条件を撤廃し、リーグとして大改革のもと進化を目指すシーズンとなっている。

 この変化を受け、トヨタ自動車アンテロープスは若手中心のチームを昨シーズンから引き続き育成しつつ、「自分たちのスタンダードを築く」ため、“積み上げていく”姿勢を鮮明にしている。

 10月18日の開幕戦で、トヨタ自動車はトヨタ紡織サンシャインラビッツを68-46で快勝した。しかし翌日の第2戦では63-75で敗戦。1勝1敗で今シーズン最初の週末を終えた。試合後、大神雄子ヘッドコーチは「昨シーズンの苦しい経験を踏まえてスタートした。初戦をしっかり勝ちきれたことはチームの自信になった。周囲に今年のトヨタは違うという印象を与えられたと思う」と語った。

 昨シーズンはエースの山本麻衣が開幕直後にケガで離脱し、若手主体の布陣で戦う中、シーズン中に8連敗を喫してプレーオフ出場を逃した。大神HCは「昨シーズンの積み重ねをゼロにせず、スタンダードを上げていく」とし、チームスローガン「We Are Building The Standard」を掲げて今シーズンに臨んでいる。

 今シーズンは新戦力として、白鷗大学のインカレ優勝に貢献したオコンクウォ スーザン アマカ、アメリカ出身でヨーロッパやオーストラリアのリーグで実績を積んだシュック カイリー アネット、そして復帰の永田萠絵が加わった。大神HCは「新たなピースが入ったことで、よりスピーディーなトランジションバスケットが展開できている」と手応えを語った。

 山本については「気持ちの部分が一番変わった」と評価。「負けたくないという執着心、プレー中の“間”の取り方、出力のコントロールがうまくなった」と述べ、海外経験がチーム全体に良い刺激を与えているとした。

WNBAに挑戦したことで山本麻衣に変化を感じるという大神HC [写真]=W LEAGUE

 第2戦の敗因については、大神HCが「オフェンスリバウンドを許し、相手に流れを渡してしまった。3ポイントを9本決められ、勢いを止めきれなかった。エナジーや遂行力の差が出た」と分析。「勝ちにこだわるためには細部の徹底と継続が必要。新しいことを加えるよりも、ディフェンスとリバウンドを突き詰めたい」と語った。

 また、リーグ全体の変化についても「自分の現役時代から実はお願いしていたこと。各国代表経験を持つ選手やサイズのある外国籍選手が増え、間違いなく競争が激しくなっている。高さやフィジカルを日本のリーグで体感できる環境は貴重。世界とつながる機会を作ってくれているリーグに感謝している」とコメントした。

 さらに、試合会場となったTOYOTA ARENA TOKYO(TAT)についても「声がよく通って、スポーツに適している。観客の顔が見える距離感で気持ちよくプレーできる。動線も良く、スポーツに特化したアリーナだと感じた」と印象を語った。

WNBAでプレー経験を持つ大神HCもTOYOTA ARENA TOKYOには興奮気味 [写真]=W LEAGUE

 かつてないほどの改革で進化を目指すWリーグにおいて、トヨタ自動車は実績と経験を“積み上げていく”。どのような成長を見せるのか、大神HCと選手たちの挑戦が始まった。

文=入江美紀雄

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