2025.12.29
12月28日、東京体育館で「SoftBank ウインターカップ2025 令和7年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子決勝が開催。大阪薫英女学院高校(大阪府)が、インターハイ王者の桜花学園高校(愛知県)を破り、ウインターカップ初優勝を果たした。決勝までにインターハイ準優勝の日本航空北海道高校、ウインターカップ3連覇中の京都精華学園高校も連破し、まさに”真の日本一”を手にした。
前半は激しい点の取り合いが続く中、スピードを活かしたドライブで得点を重ねる桜花学園に押され、一時は2ケタのビハインドも追った大阪薫英。なんとか1ケタの点差に抑えて迎えた後半、ゾーンディフェンスに切り替えたことが功を奏し、後半の失点をわずか17点に留めてみせた。

[写真]=伊藤大允
初優勝の歓喜も冷めやらないまま取材に応えた安藤香織コーチはその采配について「このままマンツーマンで行ってもズルズルすると思ったら、本当にギャンブルじゃないですけど、何かを変えないと」、そんな思いで指示を出したという。「自分たちが仕掛けるんだっていう気持ちを持つことで、あまり余計なことをごちゃごちゃ考えないようにしたかった」と説明した。
脳科学が好きで、そういったアプローチも行うという大阪薫英の指揮官。「結果を意識すると、勝手に脳の血流も減少して消極的になる」。本で得た知識を活かし、”楽しむ”を今年のテーマとしてきた。真面目故に固くなってしまいがちな選手たちの緊張をほぐすために「もう楽しもうぜと。勝とうじゃなくて。いつも勝ちたいと思って失速するので(笑)。最後はもう負けてもいいから楽しもうっていう方に持っていったっていう感じです」と、笑顔とともに振り返っている。
その言葉通りプレッシャーのかかる決勝の舞台でも、大阪薫英の選手たちはお互いに笑顔で声を掛け合い勝利を掴んだ。この”楽しむ”のはコートの上でだけではなく、「ハロウィンもするし、クリスマスもするし、豆まきもやるし。ポッキーの日もやるんで。多分、全部の行事、お花見もするしスイカ割りもするし、多分全部の行事をやってると思うんですよ。で、学校の行事も楽しむし、修学旅行も遠足も、むちゃくちゃいつも楽しむので」と、何事も全力で楽しんでいる学校生活の様子を明かした。

[写真]=伊藤大允
満面の笑顔とともに高校バスケ”真の日本一”ともいえるウインターカップ優勝を果たした大阪薫英だが、来る冬に備えた腕試しとも言える『U18日清食品トップリーグ』への出場を逃していた。『U18日清食品ブロックリーグ』では7戦中4戦で100点ゲームを展開し全勝優勝。全国トップレベルとの実力差がわからない不安もある中で、大阪薫英の併設校でもあり、関西1位でインカレにも出場した大阪人間科学大学と頻繁に合同練習を行った。「いつも結構かなりやられるんですけれども、今年は結構勝ったり負けたりというようなところもあったので、力がないとは思ってなかった」と、同じく日本一を目指す大学生との研鑽が自信に繋がっていた様子。
大阪薫英でのコーチに就任して11年目。留学生のいないチームを全国制覇に導いた安藤コーチだが、前任の公立高校を「170センチ台がいないっていうメンバーで戦ってた」と回顧。練習時間も限られる中で「効率の良い練習」を意識し、そんな経験が今に活きていると語る。
「薫英を倒したいと思って頑張ってきて。前監督の長渡(俊一)先生にお声掛けいただき、妥倒・薫英から日本一という風に目標を変えて、本当に、薫英の日本一を目指している素晴らしい選手たちとここまで歩んできました」
留学生のいないチーム、立ちふさがる強豪校をなぎ倒し、初の優勝を手にした。間違いなく今大会の”主人公”と言える大阪薫英を率いた安藤コーチは、これからもきっと壮大な物語を紡いでいくに違いない。
2025.12.29
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