2026.02.13
今週末、NBAでは年に一度の祭典「NBAオールスター2026」がいよいよ開催されます。普段はBリーグをメインに追いかけているファン・ブースターの中には、「NBAのスター選手は凄すぎて、どこか遠い世界の存在に感じる」という方もいるかもしれません。しかし、プレースタイルやその背景を紐解けば、私たちが日々アリーナで声援を送るBリーガーたちと共通するエッセンスが数多く見えてきます。
今回は、NBAをはじめとするバスケカルチャーを軸に、ファッションや音楽などの周辺領域まで横断的に手がけるクリエイティブプロデューサーのMeiji氏を招聘。同氏とバスケットボールキングの入江美紀雄元編集長が、独自の視点で「NBAオールスターのスターター10人の凄さをBリーグの選手で例えるとどうなるか」を考察しました。
※1月20日(現地時間19日)にNBA公式で発表された先発メンバーが対象
協力=Meiji
構成=バスケットボールキング編集部

[写真]=Getty Images
Meiji ヤニスを例えるなら、まずはその圧倒的な身体能力を分解して考えるのが分かりやすいですね。一番近いのは、とにかく前へ“バン!”と行く推進力。三遠ネオフェニックスのデイビッド・ヌワバがゴール下にアグレッシブに突っ込んでいくフィジカルな感じは、かなりヤニスの輪郭に近いです。
入江 ヌワバもヤニスと同じくディフェンスでハッスルできるタイプなので、攻守両面で重なりますね。
Meiji そこに長崎ヴェルカの馬場雄大が持つ『一歩出たらもう止められない』スピード感を足したいです。ヌワバの強靭なフィジカルで、馬場のようなスピードあふれるアタックを実現しちゃうのがヤニスという選手です。
入江 それと、ヤニスはNBAの舞台で実の兄弟とチームメートとして共演したり、家族の絆を誰より大切にする『兄弟愛』の象徴的なスターでもあります。そういったパーソナルな面も含めると、Bリーグで切磋琢磨する西田3兄弟(優大、公陽、陽成)のような深い絆にも通じるものがありますね。
Meiji 西田3兄弟! それめちゃくちゃいいですね。兄弟で高みを目指すストーリー性は、Bリーグファンもシンパシーを感じやすいはず。プレースタイルだけでなく、キャラクター性まで含めてヤニスの例えとしてぴったりです。

[写真]=Getty Images
Meiji ブラウンはまさに仕事人。アルバルク東京の小酒部泰暉や、三遠ネオフェニックスの吉井裕鷹のような、エースを黙らせる守備強度と万能性を兼ね備えています。点も取れるエースキラーな雰囲気が2人と似ていると思います。
入江 吉井と小酒部のディフェンスはエグいですからね。一方で、小酒部が時折見せるアスレチックな動きもブラウンと重なる部分がありますね。得点面でも2人はエース級の力を持っています。
Meiji ブラウンは22歳の時に最年少でNBAの選手会の副会長に選出されたことでも有名です。非常に頭が良いインテリでもあり、チェスや歴史を好むキャラクターの持ち主でもあります。
入江 チェスを将棋に置き換えると、川崎ブレイブサンダースの岡田大河は将棋好きを公言していますよ。ヨーロッパに渡る前は、進学校にも通っていました。
Meiji ちなみに、ブラウンは日本のアニメが大好きで親日家としても知られます。Bリーグファンの皆さんにもぜひ注目してほしい選手です。

[写真]=Getty Images
Meiji ブランソンはスキルの結晶。あの独特の間合いでズレを作る感じは、まさに『比江島ステップ』の比江島慎(宇都宮ブレックス)と似ています。派手な身体能力に頼らず、テクニックで翻弄するスタイルはBリーグファンにも馴染み深いはず。
入江 ブランソンはまさに「上手い」選手ですよね。でも、見た目はかなりガッシリしています。体格だけで言えば、同じ宇都宮の鵤誠司の小型戦車のようなフォルム。あのフィジカルでコンタクトを厭わずゴール下まで侵入していくイメージです。
Meiji そこに、今季長崎ヴェルカでスコアリング能力を開花させている熊谷航の爆発力を足すと、ブランソンのイメージにかなり近い気がします。何気なく点を取り続けるので、スタッツを見て『えっ、もうこんなに取ってるの?』と驚く怖さがありますね。
Meiji 比江島のスルスル感に鵤の体格、そして熊谷の爆発力。Bリーグのテクニシャンとパワーを掛け合わせた究極の『上手い』ですね。

[写真]=Getty Images
Meiji カニングハムは、若いのにどこかベテランの風格があり、オフェンスの『交通整理』が上手いガードです。群馬クレインサンダーズの中村拓人が持つ、ピックから上手にゲームを作っていつの間にか点も取っている、あの落ち着いた雰囲気に似ています。
入江 華のあるルックスと統制力という点では、アルバルク東京のテーブス海も重なりますね。カニングハムは支配力のあるドラフト1位のエリートですし、テーブスの持つエリート感とゲームコントロールの巧みさは共通しています。
Meiji カニングハムは10代でパパになったというエピソードもあり、その内面の成熟さがプレーに影響していると言われています。中村も20代半ばながら非常に落ち着いていますし、年齢が近くても『マエストロ感』があるのは共通点ですね。
入江 テーブスと中村、この2人を合わせるとカニングハムのリーダーシップが見えてきますね。若くしてチームの看板を背負う、理想のガード像です。

[写真]=Getty Images
Meiji マクシーはとにかくスピードがあるタイプで、ピックから前に入っていくプルアップシュートが非常に上手いです。
入江 その特徴を持った選手となると、京都ハンナリーズの小川麻斗はどうでしょう。あのシュートリリースの速さと、鋭い感覚は近いものがある気がします。スタイル的には、琉球ゴールデンキングスの崎濱秀斗も含めた『福岡第一高校出身』のガードたちが持つ、独特の爆速感と強気なパッションを感じますね。崎濱もピックからのプルアップが上手いですし、強気なプレーが持ち味です。
Meiji マクシーは若いけど強気に、エナジー全開でプレーする選手です。人に吠えたりはしないけれど、内側に秘めた熱さは第一のガードたちの魂に通じるものがありますね。
入江 『第一のガード』という共通項、面白いですね。小川や崎濱がさらに得点力を高めた進化系がマクシー、と考えると、Bリーグファンにもそのエナジーが伝わりそうです。

[写真]=Getty Images
Meiji カリーはもうシンプルに『富永+富樫』で異論なしでしょう。レバンガ北海道の富永啓生のあのリリースが速くて、距離に関係なく決めてくる3ポイントはカリーそのもの。
入江 それに、千葉ジェッツの富樫勇樹のスピードと運動量を足した感じですかね。カリーの特徴は、ディフェンスが付くのを一番嫌がるほどコート中を走り回ること。富樫もよくマークマンとコート上で“鬼ごっこ”をしています(笑)。
Meiji サイズを補って余りある技術と走力。日本を代表するガード2人の長所を、最高純度まで高めた存在がカリーと言えます。
入江 まさに日本人が目指すべき究極のスタイル。この2人を掛け合わせた先に、NBAの頂点があると思わされます。

[写真]=Getty Images
Meiji ドンチッチはとにかく『自分でゲームを動かしている感』が凄いです。今シーズン横浜ビー・コルセアーズへ移籍した安藤誓哉が持つ、良い意味での『玉離れの悪さ(笑)』というか、ユーセージ(占有率)の高さが似ていますね。高い判断力でピックを使い、フェイクを入れて翻弄しながら自分で決めきる。あの支配感は安藤からも感じるものです。
入江 安藤は新天地でも強烈なリーダーシップを発揮していますからね。勝負どころでのゴールへの執念、そして何よりあの『勝負強さ』はドンチッチのプレースタイルと見事に重なります。ドンチッチは2メートルを超えるサイズがあるので、「20センチ身長が高くなった安藤誓哉」といったところでしょうか?
Meiji あとは、宇都宮ブレックスのD.J.ニュービルとも共通する部分があると思います。ニュービルもスピードで抜くのではなく、圧倒的な駆け引きとチェンジオブペースで点を取ります。サイズがあって勝負強いところはニュービルのそれですね。ただ、193センチのニュービルよりもさらに8センチ大きい身長でガードを務めるのがドンチッチの恐ろしいところです。
入江 『2メートルの安藤誓哉』か『さらに支配感を増したニュービル』。この2人の才能を合体させてようやく例えられるのが、ドンチッチという異次元の司令塔ですね。

[写真]=Getty Images
Meiji ヨキッチといえば唯一無二のポイントセンター。センターなのにガードのようにパスを供給する。Bリーグでその役割を長年こなしているのは、アルバルク東京のライアン・ロシターでしょう。あのパスセンスとバスケIQの高さは重なります。
入江 肉弾感のあるどっしりした体格や、今やアウトサイドもバシバシ決めるプレースタイルは、佐賀バルーナーズのジョシュ・ハレルソンにも近いですね。ヨキッチの『シロクマ感』はまさにハレルソンです。
Meiji そして何より、ヨキッチは大の競馬好き。Bリーグで競馬といえば、スポーツ新聞でビッグレースの予想が掲載される大阪エヴェッサの竹内譲次をおいて他にいません。ポジションも一緒ですしね。
入江 ロシターのセンスに、ハレルソンのパワー、そして竹内譲次の競馬愛。この3つの要素が組み合わさった時、ヨキッチという多才なキャラクターが立体的に見えてきます。

[写真]=Getty Images
Meiji シェイは、サンロッカーズ渋谷の田中大貴がアルバルク時代に見せていたような、正確なストップ&ジャンプシュートの美しさを感じます。あのミドルレンジの安定感と、当たられてもブレないフィジカルは近いですね。
入江 物静かながら冷静なコントロールを見せるアルバルク東京の大倉颯太の雰囲気とも重なります。シェイのように緩急の上手さで、いつの間にかゴール下に侵入している感じですね。スピードではなくタイミングで抜く上手さです。
Meiji 派手に動いているように見えないのに、終わってみればスタッツが凄い。物静かながらゲームを支配する感じは、まさに田中や大倉の系譜にある、スタイリッシュな強さですね。
入江 テクニシャンで、落ち着き払ったプレースタイル。Bリーグの職人系ガードたちを凝縮したような存在ですね。

[写真]=Getty Images
入江 シェイ・ギルジャス・アレクサンダーを紹介しましたが、彼はケガのため、オールスター出場を辞退しました。替わりに出場すると発表されたのがアルペレン・シェングンです。スタメンではありませんが、せっかくなので彼もBリーグの選手で例えてみましょう。
Meiji “ベイビー・ヨキッチ”と言われているシェングンですが、川崎ブレイブサンダースのレジェンド、ニック・ファジーカス氏の柔らかいタッチとポストワークのイメージと結びつきます。
入江 ディフェンスを背負って終わりじゃなくて、その瞬間に周りが動き出すタイプ。シュート力もあってハイポストやローポストが司令塔の位置になっていますね。ヨキッチほど重量級じゃない分、もう少し動きが軽い。ターンも速いし足さばきが細かい。パワーというより技で崩すビッグマンですね。
Meiji 子ども時代、両親は競泳の選手にしようと思っていたようですね。体幹の強さとかバランス感覚はここから来ているようです。
入江 Bリーグの選手ではシーホース三河のシェーファーアヴィ幸樹も昔水泳をやっていたそうですよ。コンタクト受けても姿勢が崩れにくい。ポストで当たられても体が流れないのは水泳で鍛えた体幹があってこそですね。

[写真]=Getty Images
Meiji ウェンビーの愛称で知られる彼のフォルムとリムプロテクションを国内の選手で例えるなら、越谷アルファーズの大黒柱であるカイ・ソット一択です。あの規格外の腕の長さから繰り出されるブロックもまさにエイリアンです。
入江 でもウェンビーは外からも打てるし、自分でボールを運べる。そうした特徴は千葉ジェッツの渡邊雄太かなと。サイズがあるのに何でもできてしまう多才さを、あの身長でやるから意味不明なんです。
Meiji カイ・ソットの高さに、渡邊のスキルとボールプッシュする破壊力を足す。Bリーグファンなら、そのヤバさが想像できるはずです。
入江 もはや『勝てるわけない』という絶望感そのもの。Bリーグの最高到達点を合体させて、ようやく見えてくるのがウェンビーという存在です。
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