2026.05.13
5月13日、日本バスケットボール協会(JBA)は、元職員によるコンプライアンス違反事案について説明する会見を開き、島田慎二会長、渡邊信治事務総長、調査を担当した岸郁子弁護士が出席した。
JBAは12日、海外チームを国内に招聘する際に相手国のバスケットボール協会または連盟へ支払う遠征補助費をめぐり、不適切な経費申請および金銭管理が行われていたことを発表。2024年から2025年にかけて開催された日本代表国際強化試合のうち4件、3カ国分について、相手国へ支払う目的で出金された計1400万円が交付されていなかったことを明らかにしていた。
遠征補助費は、国際試合のために海外チームを日本へ招聘する際、対戦国の代表チームの航空費や選手・スタッフの日当などに充てられることを想定して支払われるもの。通常は事前に振り込みで支払われるが、来日時に日本円の現金で相手国側へ渡すケースもあったという。
JBA側の説明では、当時担当していた元職員は、相手国との間では「現金の支払いのない覚書」を締結する一方で、JBA内の仮払い申請時には「現金の支払いの合意がある契約書」を作成。そこにデータ化されていた渡邊事務総長のサインを貼り付けるなどして申請し、現金を引き出していたという。

会見に出席した岸弁護士
また、渡邊事務総長は、コロナ禍で出社が難しかった時期に、JBA名義で発信する書類などに使用するため、事務総長のサインがデータ化されていたと説明。そのサインデータが複数部署で保管され、元職員が独断で使用できる状態にあったとした。JBA内の承認ルートで承認された契約書と、相手国側に渡されていた契約書の内容が異なっていたことも明かした。
元職員は、引き出した1400万円について「自宅に保管していた」と説明しているという。JBAの内部調査の範囲では、1400万円が流用された事実は確認されておらず、すでに全額がJBAへ返還されている。また渡邊事務総長は、元職員が深く反省し、バスケット界に迷惑をかけたことを後悔していると話していることも明かした。一方で、元職員の動機については「返すタイミングを逸してしまった」といった説明があったものの、動機の詳細は不明だとした。
内部調査を担当した岸弁護士は、元職員が「自宅に保管していた」と説明している点について、本来返還すべき時期に返還していなかった場合には「犯罪が成立する可能性はある」と調査報告書に記載したと説明。そのうえで、犯罪の有無は警察、検察、最終的には裁判所が判断するものだとし、現時点で「犯罪であった」とは言えないとの見解を示した。告訴などの対応について、JBAは捜査当局と相談しながら判断していくという。

会見に出席したJBAの渡邊事務総長
調査対象は、2021年以降に現金での遠征補助費の出金が確認された全25件。渡邊事務総長は、JBAとして確認できている範囲で、同年から遠征補助費を現金で支払う運用があったためだと説明した。そのうち、実際に現金支払いがあったものは7カ国12件で、JBA側の調査の結果、4件、3カ国に対して遠征補助費として出金した計1400万円が交付されていなかった事実が判明したという。
発覚から公表までに約半年を要した理由について、島田会長は「海外のかなりの国にまたがり、海外のNF(各国のバスケットボール協会・連盟)に裏取りを取る作業に相当時間を要した」と説明。渡邊事務総長も、海外とのやり取りや本人の通信記録など1万件以上の確認が必要だったとし、JBA側は、調査報告書が4月にまとまった後、再発防止策などを整理したうえで公表に至ったと説明した。

会見に出席した島田会長、渡邊事務総長、岸弁護士
JBAは再発防止策として、遠征補助費の現金交付を今後行わない方針を示したほか、現金での支払いを極めて例外的な場合に限定すること、サインデータなどの印章管理に関する規定の見直し、経理処理に関する規定類や運用ルールの再点検、複数職員によるチェック体制の整備、コンプライアンスやガバナンスに関する研修の継続実施などを掲げた。
島田会長は会見で「バスケットボールを応援してくださるファンの皆様、そして関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪。続けて、「貴重な活動資金の一部に不適切な扱いがあったことは、弁解の余地もございません。中央競技団体として参加団体を指導・けん引すべき立場でありながら、自らの業務体制やガバナンスの脆弱さを露呈する結果になりました」と述べ、「私自身が先頭に立って再発防止に邁進してまいります」と話した。
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