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「あいつを今日で引退させたくない」…長崎工業が宿敵・瓊浦に雪辱、仲間と挑む“最後のウインターカップ”

全国大会への切符を勝ち取った長崎工業[写真]=高尾太恵子

 最大のライバルに走り勝った。24日に行われたウインターカップ2026 長崎県予選決勝で、県立長崎工業高校は瓊浦高校に86-64で勝利し、2年ぶり4回目の全国行きを決めた。

「正直、この点差で勝てるとは思っていなかったです」。そう語るのは、3年でエースの吉田颯志だ。それもそのはず。長崎工業は昨年のウインターカップ県予選決勝で1点差、今夏のインターハイ県予選決勝リーグ最終戦では2点差と、いずれも瓊浦に惜敗している。この日の対戦も第3クォーターを終えて58-51と、なかなか引き離せずにいた。それでも寺田祥ヘッドコーチからの「簡単に勝てる相手ではない。もう一度、0-0の気持ちで行こう」という声でギアをさらに一段上げると、第4クォーターで一気に突き放した。

 吉田は攻守にわたって持ち味を発揮した。スピードに乗ったドライブからレイアップを沈め、ディフェンスでは相手の留学生選手をブロックし、泥臭くリバウンドを拾う。特に光ったのは、要所での3ポイントシュートだ。「数日前から感触が良くて、今日は絶対に入ると思っていました」という言葉どおり、気持ち良くネットを揺らした。エースとしてプレーでチームを引っ張った実感は十分にあるようで、手応えを聞くと「はい、あります!」と元気な声が返ってきた。

チームをけん引した長崎工業の吉田(写真中央)[写真]=高尾太恵子

 これほど点差をつけて勝てた理由については、「走るバスケを体現できたから」と分析する。「40分間走るための練習はしてきたので、それを決勝でできたことがとてもうれしいです」

「走るバスケ」を掲げる長崎工業には、「2往復半」と呼ばれる練習がある。体育館の端から端までを2往復半走るもので、毎日最低でも4本、多いときは10本こなす。これがかなりきつい。「しかも、4本で終わるってときに、ゲームキャプテンの工村(祥元)が乗っちゃって『もう1本!』とか言うんですよ」と、吉田が苦笑いする。「みんな『えーーー』って言うんですけど、走るんですよ。ちゃんと。やっぱりそれが最後まで走ることにつながっているんだと思います」

 1点差に泣いたあの日から、「今年こそは絶対に勝つ」を合言葉に、厳しい練習から逃げずに走り続けてきた。あと1本、もう1本──。その地道な積み重ねが、苦しい場面でも足を止めない強さになり、勝利をたぐり寄せた。

■「12月までみんなでバスケしよう」交わしたもう1つの合言葉

 実は決勝に向けて、3年生はもう1つの合言葉を交わしていた。吉田が明かす。「(インターハイ予選後に)引退した3年生もいて、今残っているのは10人。そのうちの9人が今日の試合のメンバーに入って、1人だけ入れなかったんですよ。あいつを今日で引退させたくない。だから『12月までみんなでバスケしよう』って。それを合言葉にして、みんなで頑張りました」

 3年生は全員が卒業後に就職するため、実業団でプレーを続ける吉田以外は、高校で競技生活に区切りをつける。だからこそ、全国の舞台に立てることと同じくらい、仲間たちとプレーできる時間が2カ月延びたことがうれしかった。吉田は「高校バスケは、この時期しかないじゃないですか。この瞬間しかできない。それを長くできる喜びはあります」と目をきらきらと輝かせる。

 1年生で経験した初めてのウインターカップは出場機会が限られていたが、今回はエースとして迎える。「全国でも長崎工業らしい走るバスケを体現したいです。自分はどこからでも点を決めたいし、3ポイントだったり、ドライブで行ったり、アシストしたり。なんでもできるところを見せたいです」。はっきりとした口調で語る姿から、3年間の成長が伝わってくる。大切な仲間とコートに立つ時間を一日でも長くするために、高校最後の冬に挑む。

取材・文=高尾太恵子

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