Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「昨シーズンもそうでしたが、周りの選手が点を取れない時にルイ(町田瑠唯)とシィ(篠崎澪)が点を取ってくれました」
「第88回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会ファイナルラウンド」(以下、皇后杯)の準々決勝、富士通レッドウェーブは、前回大会で準優勝のトヨタ自動車アンテロープスに勝利。試合後、BTテーブスヘッドコーチは、長きに渡りチームを引っ張るキャプテンの町田瑠唯と篠崎澪の活躍を称えた。
試合は、第1クォーターで5-15といきなり10点ビハインドを負う展開に。長岡萌映子や馬瓜エブリンをはじめ、得点力の高い選手が多くそろうトヨタ自動車を相手に2ケタ得点のリードを奪われ、重苦しい空気が漂った。だが、それを一変させたのが町田だ。
「ディフェンスは悪くなかったけれど、オフェンスのところでアタックしきれていませんでした。シュートを決め切れないところがあったので、第2クォーターは、個人的にもまずはリングにアタックすることを意識しました。そこから流れがくればいいなと思ってプレーしました」(町田)と、第2クォーター開始早々に3ポイントシュートを沈めると、再び3ポイントシュートを決める。
一時はトヨタ自動車に引き離されたものの、終盤に自らのジャンプシュートやドライブで追い上げると、最後は残り2秒で中村優花のスクリーンを利用してのドライブで得点。これには会場も沸き、2点差に詰めて試合を折り返した。
篠崎は、第3クォーターの序盤に3連続得点などで逆転に貢献すると、第4クォーターではスティールからの速攻に3ポイントシュート、合わせのプレーなどからシュートを決めてチームをけん引。地力のあるトヨタ自動車が幾度となく逆転のチャンスを得るのだが、その芽を摘むような働きで、勝利を引き寄せた。
札幌山の手高校から富士通に入団し11年目の町田。金沢総合高校から松蔭大学を経て入団8年目の篠崎。ともにWリーグでは新人王のタイトルを獲得するなど、1年目から主軸としてチームを引っ張ってきた。
皇后杯でも5大会前にファイナルの舞台に立ったが、この時は準優勝。Wリーグでも同様に、優勝にはあと一歩届いていていない。もちろん、「このメンバーで最後まで戦い抜いて優勝に向かっていきたい」(篠崎)と2人の日本一に懸ける思いは強い。
それでも、勝つ喜びや負ける悔しさを幾多も味わってきたリーダーたちは、準決勝、決勝の戦いがいかにハードなものかを知っている。だからこそ、「目標は優勝ですが、まずは一戦一戦。次のデンソー戦を勝ち切れるようにチーム全員で頑張りたいです」(町田)と、気を引き締め直す。
町田は5人制で、篠崎は3人制と東京オリンピックでも躍動した2人。富士通の“顔”である彼女たちの戦いぶりは、準決勝でも大きなカギを握る。