2019.10.30
「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」での戦いを終えた男子日本代表。結果は、計5試合を戦って0勝5敗。親善試合では味わえない、真剣勝負の場での世界レベルをまざまざと見せつけられる形となったが、選手たちに落ちこんでいる暇はない。10月3日からは4年目のB1リーグが幕を開けるからだ。
今シーズンのB1開幕戦は、川崎ブレイブサンダースvs宇都宮ブレックスによる「B.LEAGUE OPENING GAME 2019 -B1 “the” GAME-」と銘打たれた一戦。会場は2季連続でファイナルの舞台となっている横浜アリーナだ。
「今から開幕が楽しみです。昨年のチャンピオンシップ(クォーターファイナル)で大敗した宇都宮ブレックスさんなので、『絶対に負けない』、『リベンジする』という気持ちで、宇都宮さんよりもタフに、ハードワークをして戦っていきたいなと思います」
ワールドカップ前に行われた8月27日の「B.LEAGUE TIPOFF カンファレンス2019」にて、そう意気込みを述べたのは川崎の藤井祐眞。自らが会見で述べた「タフ」、「ハードワーク」という言葉を川崎で最も体現しているのは、藤井自身と言えるだろう。
主に篠山竜青のバックアッパーとしてプレーする27歳は、ゲームコントロールも自ら得点もできるコンボガード。攻撃だけにとどまらず、攻守においてコート狭しと走り回る。タイトなディフェンスでプレッシャーをかけ続け、ルーズボールにも一目散に飛びこんでチーム、そして会場にも勢いを与える。また、昨シーズンはレギュラーシーズン全60試合に出場した。
篠山、ニック・ファジーカス、辻直人の“日本代表トリオ”に加え、シューターの大塚裕土、長谷川技のようにオールラウンドにプレーできる熊谷尚也が加入し、より選手層が厚くなった川崎。「外国籍選手も走れるのがそろったので、今シーズンはチーム全員でハードに戦えるチーム。ファンの皆さんにはそこを見てほしいです」と、藤井も確かな手応えを感じているようだ。
2018-19シーズン、川崎にとってはオーナーが東芝(東芝ビジネスアンドライフサービス株式会社)からDeNA(株式会社ディー・エヌ・エー)に変更され変革のシーズンとなったが、今季はさらに変革の時を迎えた。前述した大塚、熊谷のルーキー以外の日本人選手の獲得に加え、ヘッドコーチが交代。2011年から指揮を執っていた北卓也氏がゼネラルマネージャーに就き、新たに佐藤賢次氏がアシスタントコーチからHCに昇格した。
佐藤HCの脇を固めるのは、勝久ジェフリーACと穂坂健祐ACというBリーグでHC経験のある2人だ。また、来シーズンには記念すべきチーム創設70周年を迎え、今季は『伝統と変革』を掲げ悲願のBリーグ優勝を目指す。
2014-15シーズンから川崎一筋でプレーし、今年で在籍6季目を迎える藤井は、現在のチーム状況を「今までの川崎にはない雰囲気」と表現する。「賢二さんも東芝の選手からACになって、東芝での経験しかなかったコーチ陣でした。でも別のチームでHC経験のある2人が入ってきたことで新たな発想も生まれているので、そこは僕たちにとって強みだと思います」。
宇都宮との開幕戦は、ワールドカップで負傷したキャプテンの篠山をケガで欠く可能性も大いに考えられる。そうなると、今季副キャプテンを務める藤井の活躍に、一層期待せずにはいられない。
文=小沼克年
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