2019.09.11

バスケ日本代表が帰国。「悔しさをバネに成長していくのかが大切」渡邊雄太

男子日本代表チームは帰国してすぐに記者会見に臨んだ
バスケットボールキング編集部

 9月10日、「FIBAワールドカップ2019」に出場していた男子日本代表が全日程を終えて帰国。羽田空港で待ち構えた約200名のファンの前に現れたメンバーは、その後、メディア対応を行い、フリオ・ラマスヘッドコーチ、東野智弥技術委員長、篠山竜青渡邊雄太の両キャプテンが登壇、記者会見に臨んだ。

 席上、ラマスHCは「このような結果でもファンに出迎えていただけてうれしい。一生忘れない」と感謝の言葉を述べた。続いて、「ワールドカップの結果に関して満足はしていない。せめて1勝したかったし、世界レベルを思い知らされた大会になった。試合の中でも結果に結びつかないのは私にも責任がある。この結果を受け止めて、東京オリンピックまでの11カ月の間に、課題を修正して臨みたいと思う」と前を向いた。

 篠山は「日本一丸のスローガンはこれからも続きます。すべてのカテゴリーで勝つには何をしなければいけないのか。一枚岩になってやっていかなければいけないと感じました」とコメント。さらに「また自分たち現役選手が行動で伝える、言葉で発信することも仕事だと思います。オリンピックに向けて一人ひとりがレベルアップして、Bリーグの底上げも含めてやっていければと思う」と、自身たちの役割について言及した。

「今の日本なら世界と戦えると思って大会に入りましたが、5連敗という結果で終わりました。僕だけでなく、選手全員は悔しい思いをしたはずです」と語ったのは渡邊。「それでも東京オリンピックは1年以内に行われます。オリンピックはワールドカップの上位チームが出場する大会。だから今の日本では勝てない。一人ひとりがこの悔しさをバネに成長していくかが大切です。とはいえ、これが現状。この悔しさを忘れずに、自分も日本に帰った時に成長した姿を見せたいと思います」と今後を見据えた。

突き付けられた課題を東京オリンピックまでどれだけ克服できるか⁉

渡邊雄太は「FIBAの大会の方がよりNBAよりフィジカル」と感想を持ったという

 今大会で突き付けられた男子日本代表への課題が「フィジカル」についてだ。これについて、篠山、渡邊の両選手はそれぞれの感想を語っている。

「世界と戦う時にフィジカルという言葉がついてきます。これは何十年前から言われていた言葉です。対応するために体重を増やせばいいのか、ウェイトトレーニングをすればいいのか。僕が感じたのはぶつける、自分で当てにいく慣れであったり、そんな技術が僕らにはないということです。厚み、体重、筋力ではなく、僕の体格でもしっかりと準備をすれば、吹っ飛ばすことができなくても、彼らのスピードを止めることはできる。ですからもっと若い時からぶつけることに慣れる、使い方、身のこなしを覚えればいいと思いました」(篠山)

「フィジカルに関しては(篠山)竜青さんと同じ意見です。海外の選手はフィジカルが強いうえに、向こうから当ててきました。僕はアメリカでもそれはしていましたが、ヨーロッパ勢の体の使い方は違うと感じました。日本のチームは僕も含めて体の弱さがあるのに後手になってしまう。自分たちが先手を取るのが大事です」(渡邊)

 また篠山は「(渡邊)雄太に当たりの強さのことを聞いたのですが、彼は『FIBAの大会の方がNBAよりフィジカルです』と言っていました」と、大会中のエピソードを披露してくれた。

 東野委員長は「結果は結果であり、自分たちの実力。分析は必要だが、実力不足を感じたと思う。経験不足を変化していなかなければいけないと感じた。東京五輪に向けて、この大会で洗礼を受けてよかったと思う。(東京)オリンピックまで時間が足りないかもしれないが、ラマスHCと一緒にやっていく」と、今後もラマス体制を続けることを示唆。「Bリーグのチームや審判とも国際大会の当たりや笛についてコミュニケーションを取りたい」と、今回体感したものを代表チームだけでなく、バスケ関係者に伝えることも約束した。

 思いどおりの成績が残せなかったにせよ、13年ぶりに直に体感した世界のバスケ。世界に通用するパスやボールハンドリングなどのファンダメンタル、ぶつかり合いにも負けないフィジカルなプレースタイル、そして3Pシュートを含めた世界に勝つための戦術、戦法など、きっちりと総括して今後に生かさなければいけないだろう。ただ、これまではヘッドコートが代わるたびにその方針が変わっていった、ぶれてしまった印象はぬぐえない。改革が進む日本協会であるなら、来年の東京オリンピック、その後、23年のワールドカップ、さらにその先につながる財産に昇華してほしい。

文=入江美紀雄

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