2020.10.15
Bリーグが3月14日から無観客試合という形で再開した。B1に関してはFIBAアジアカップ2021予選での中断も含めると、約1カ月の中断期間となった。再開をしたものの普段アリーナにいるファン・ブースターがいない中でのゲーム開催、選手やコーチたちは率直に何を感じたのであろうか。3月15日に青山学院記念館で行われた、サンロッカーズ渋谷と秋田ノーザンハピネッツのチャンピオンシップ出場を争うライバル同士の対戦後に話を聞いた。
NBAを経験し、昨シーズンから活躍の舞台を日本に移したサンロッカーズ渋谷のライアン・ケリー。今シーズンは大黒柱としてチームの躍進を支えている中で、世界最高峰の経験をした一人のプロ選手が今回の事態をどう感じたのか。不安と疲弊という言葉を使いながらも、何とか自分を奮い立たせて戦おうとしていた。
「まず約1カ月ほどリーグが中断ということになって、その期間はゲームから離れていたということで身体的な疲れが大きかったです。土日連続という試合も久しぶりでした。その次に来るのが精神的な疲れですね。やっぱりいつ中止になるか分からない、そういう中で準備をしなければいけないというのは、本当に精神的に擦り減っていくものがあると思っています。3つ目は自分には家族がいるので心配は拭えないですし、そこは自分だけではなくて、みんなが辛い状況の中で精神的に葛藤があって……。大好きなバスケットボールを仕事としてできているという風に思いながらも、正直、どこかで自分に言い聞かせようという部分があったと感じています」
その中でNBAの延期やNCAAトーナメントのキャンセル、そしてヨーロッパを中心とした主要リーグの延期等の措置が行われている中でのBリーグの再開。その状況を率直にどう思ったのか、驚きを感じながらも冷静に彼はプロとしての役割をまっとうしようとしている。
「率直な感想として再開に関しては、正直ちょっと驚いた部分はあります。ただ、そこはそれぞれ国が違いますし、リーグももちろん違います。問題が起きた時に何かをハンドルする方法というのは国も違えばリーグも違いますし、そこは仕方ないというのはおかしいかもしれないですけど、自分に何かできることはないと思っています。その中で、自分はプロとしてコートに立った時にやるべき事をやれるように準備をしないといけないと感じていました」
その中でファン・ブースターがいない状況でも存在を感じ、ゲームがプレーできることへの感謝を最後に言葉にしてくれた。
「まず、ファンの皆さんが会場には居ない中でも、立派なホームコートをしっかりと立ててくれたボランティアの方を含めたスタッフに感謝しています。お客さんは入っていなかったですけど、画面上で自分たちへの声援を送ってくれていることを感じています。こういった難しい状況の中、自分たちだけが辛いのではなく、みなさんも一緒です。そのみなさんのために試合があれば戦っていくだけだと感じています」
取材・文・写真=鳴神富一
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