2022.05.19

【新卒ルーキーが語る大学時代とこれからの未来】サンロッカーズ渋谷・井上宗一郎

現在サンロッカーズ渋谷でプレーする井上宗一郎に大学時代を振り返ってもらった[写真]=小沼克年
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 今春に大学を卒業し、Bリーグへ活躍の場を移した選手に大学時代を振り返ってもらうインタビュー企画、『新卒ルーキーが語る大学時代とこれからの未来』。

 第5回は現在サンロッカーズ渋谷でプレーする井上宗一郎。福岡大学附属大濠高校時代に日本一を経験し、筑波大学で飛躍を遂げた井上に4年間を振り返ってもらった。

インタビュー・文=岡本亮
取材日=2022年4月12日

――まずは筑波大学へ進学を決めた理由を教えてください。
井上 高校時代にお世話になった牧(隼利/琉球ゴールデンキングス)さんや増田(啓介/川崎ブレイブサンダース)さんがいらっしゃったのと、筑波大が文武両道を掲げていたので選びました。

――井上選手は1年次のリーグ戦から出場機会を得ましたが、下級生ながら試合に出られた要因は?
井上 僕は一生懸命頑張っただけで評価したのは吉田(健司)先生なのですが、ルーキーらしくがむしゃらに頑張っていたのを評価してもらえたのかなと思います。

――高校バスケと大学バスケはレベルの差があると思いますが、どういうところに苦労しましたか?
井上 高校と大学では求められていることは違いますし、レベルの高いものを要求されるので、それをクリアするのはすごく大変でした。

――具体的にどんなことを求められていたのですか?
井上 ゴール下やリング付近で体を張ることはもちろんですが、筑波は戦術を多用するので細かい位置どりやスクリーンの位置、タイミングだったり…。すごく事細かく言われましたね。

――1年次から出場機会をつかみ、2年次のインカレでは優勝。下級生ながら優勝できた経験は大きかったのではないでしょうか。
井上 日本一になるのは自分としては2回目で、大学バスケで1番になれたのはうれしかったです。また、牧さんと増田さんが1回も優勝したことがなく、絶対勝ちたいという思いがあったのでとてもうれしかったですね。

――下級生のころはどういう意識でコートに立っていましたか。
井上 勝負どころは先輩が引っ張ってくれるので、それまで思いっきりプレーすることですね。弱いプレーをしないようになるべく強気で、自分らしいプレーを出していこうと考えていました。

「大学では他人に気を配ることの大切さを学んだ」

――3年次は新型コロナウイルスが感染拡大。具体的にどのような影響がありましたか。
井上 毎年夏に合宿を行っていたのですが中止になり、自宅待機となってしまいました。なので家の近くでトレーニングできる場所を探したり、ランニングしたりと、バスケは全然できていませんでしたね。

――3年次のオータムカップ、インカレではバスケができていない影響は大きかったですか?
井上 オータムカップの時にケガをしてしまったのですが、コンディションが整っていなかったからこそのケガだと思いますし、ドリブルやシュートができなくて感覚もうすれてしまっていたので、すごく影響が大きかったと思います。

――大学最後の大会であるインカレは3位で終えました。試合が終わった瞬間どんなことが頭に浮かびましたか?
井上 半澤(凌太/三遠ネオフェニックス)や二上(耀/千葉ジェッツ)ら同期と一緒にバスケができなくなるっていうのが悲しかったですね。

――筑波大では濃密な4年間を過ごされたと思いますが、4年間で成長できたことは?
井上 1〜3年生の時は自分がどうすればチームに貢献できるかというのが大事だったのですが、4年生は下級生や一緒に出ているメンバーにどうアドバイスするかが大事なんです。4年生は積み上げてきた知識や考えがあるので、それを後輩にアウトプットしないといけない。なので他人に気を配ることが大切だと思いました。

――大学で印象に残っている対戦相手は?
井上 大東文化大学のモッチ・ラミン選手ですね。大学で当たった相手だと一番体が強かったですし、すごくハッスルしてくるので大変でした。

――井上選手は留学生とマッチアップすることが多かったと思いますが、対抗するためにどんなことを意識していましたか?
井上 技術的なことやシュートはもちろんのこと、気持ちで負けたら絶対に勝てないと思っていたので、気持ちを毎回(相手に)ぶつけるというか強い気持ちを持ってやっていました。

――筑波大を率いる吉田監督は井上選手から見てどんな方ですか?
井上 マスコットキャラクター、優しいおじさんみたいな感じです(笑)。吉田先生は自主性を尊重してくれるので選手の話をよく聞いてくれますし、その中で困っている時には的を射ていることを言うので、そういう時はすごいなと感じます。

強靭なフィジカルを有する留学生とマッチアップする際は「強い気持ちを持ってやっていた」と振り返る[写真]=小沼克年

「外国籍選手に負けないようシュートやディフェンスで頑張りたい」

――昨年12月にサンロッカーズ渋谷とプロ契約を締結。SR渋谷を選んだ理由を教えてください。
井上 いろいろな選択肢があったのですが、ゼネラルマネジャーと話したり練習を見学したりしたなかで一番プロを感じたんです。チームの体制がしっかりしていますし、木下(博之)さんがアシスタントコーチを務めていらっしゃるのが大きかったです。

――なぜ木下ACの存在が大きいのですか?
井上 木下さんが現役の時のプレーを見ていてすごい選手だったというのを知っていましたし、西野(曜)さんや盛實(海翔)さんをワークアウトで成長させているというのを聞いていたので、木下さんの存在が自分のためになると思ったんです。

――SR渋谷で出場機会を得るために伸ばしていかなければいけない部分は?
井上 サンロッカーズはディフェンスのチームで練習からすごくハードに取り組んでいるのですが、その中で自分がシュートを打てなかったり決めきれなかったりという場面が目立つので、そういう部分がまだまだ足りないなと思っています。

――プロとしての今後の目標や目指す選手像を教えてください。
井上 僕は主に4番(パワーフォワード)で出ることになるのですが、そのためには外国籍選手よりもシュートを決めて、ディフェンスで頑張らなければいけません。身体能力では劣ってしまうことのほうが多いと思いますが、それをカバーできるくらいシュートやディフェンスで頑張りたいと思います。

――最後に、大学入学直後のご自身にアドバイスを送るとしたらどんな言葉をかけますか?
井上 入学直後に大きなひざのケガをしてしまったので、『ケガには気をつけろ』と言いたいですね。スキル面で言うとしたら、ドリブルは上手い人に聞いて教えてもらったりしていたほうがプレーの幅が広がっていたのかなと思います。

プロの舞台では「外国籍選手よりもシュートを決めてディフェンスを頑張りたい」と意気込んでいる[提供]=サンロッカーズ渋谷

PROFILE
井上宗一郎(いのうえ・そういちろう)サンロッカーズ渋谷
福岡大学附属大濠高校を卒業後、2018年に筑波大学へ進学。1年次のリーグ戦から出場機会をつかみ、2年次のインカレでは優勝に大きく貢献した。最終学年ではトーナメント・インカレで3位という成績を収め、昨年12月にSR渋谷とプロ契約を締結。SR渋谷でのデビュー戦となった1月26日の京都ハンナリーズ戦では11得点を挙げるなど早速インパクトを残している。

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