2023.01.25

夢のプロ選手となるも現実を受け止めて新たなチャレンジに邁進…茨城ロボッツ浅井修伍

茨城に特別指定選手として契約した浅井修伍。まずはロスター入りを目指す [写真]=鳴神富一
スポーツジャーナリスト

「高校生のときからプロ選手を目指すことを目標にしていた中で、第一歩となる特別指定選手としてロボッツと契約できて、率直にうれしかったです」

 インタビューの冒頭で胸の中にある喜びを語ってくれたのが、特別指定選手として茨城ロボッツと契約を果たした浅井修伍だ。197センチという高身長から繰り出される3ポイントシュートが武器とする期待のオールラウンドプレーヤーだ。

 大学1年生次には全国制覇を果たし、ラストイヤーで再び栄冠を……そう願って臨んだ集大成のインカレ(第74回全日本大学バスケットボール選手権大会)で、2回戦に中京大学に敗退という結果となった。

「あの結果で終わるというのは、チームとして誰も想像していませんでした。今年から大会方式が変わり、相手の中京大学さんは明らかに勢いに乗っていました。相手へのリスペクトを持って気を引き締めて臨んだけど、完璧に飲まれてしまって、そのまま試合が終わった形でした」と、浅井は無念を口にする。

「全てが終わって、本当に負けたのかっていう……これがインカレなのか、これで引退なのか。達成感もなく、正直言うと現実を直視できない感じになって。言葉にならない気持ちが1週間から2種間くらい続きました」とカレッジバスケ生活が終わり、しばらく虚無感の中にいた。

 その浅井にのもとにインカレ終了直後に特別指定選手としてのオファーが茨城から届いた。「悔しさを引きずって、落ち込んでいても仕方ないと感じて。ここからは自分の人生や夢に向かって、決断をしないといけない。だから時間は掛かったけど、気持ちを切り替えることができました」。

 実際、2チームから正式オファーをもらっていた中で、茨城でのプレーを選択した理由には「自分自身の成長とコンバート」というキーワードが潜んでいる。

「今までは4番ポジションでプレーしていたけど、プロとして戦っていくうえで3番にコンバートしたいという気持ちが大きく心の中にありました。マーク貝島GMやリチャード・グレスマンヘッドコーチから『3番や将来的には2番でのポジションで成長させていきたい』という言葉をもらいました。それを受けて自分自身がここで成長できるんじゃないかと感じて決断しました」

 人生の岐路に立ったとき、福岡大学附属大濠高校時代の恩師である片峯聡太コーチ、そしてもう1人の恩師、筑波大学の吉田健司HCにも相談した。その2人から共に「いいんじゃないか」という言葉をもらったと話してくれた浅井。

 そうして恩師たちからの後押しを受けてチームで奮闘はしているが、現状はBリーグのコートにはまだ立てていない。グレスマンHCは「高さやシュート力など能力がしっかりあって、経験も備わっているし、彼を我々は長期的に成長させていきたい。現状は全員がハードワークしている中で、公平に競争をさせています。ロスター入りするためにはシステムを理解し、日々努力することでチャンスが生まれてくると感じています」と浅井への期待感を口にする。

 厳しい現実を突きつけられている状況であるが、浅井本人もそれを理解している。

「ロスター外であることや自分の思ったように行かないことも含め、Bリーグという世界の厳しさを感じています。3番へコンバートをしている中で、持ち味の3ポイントシュートには自信を持っていますが、攻守両面でまだまだ成長しないといけない。今の実力ではまだ厳しいのも理解しているけど、絶対負けたくないです。今はいち早くチームに慣れて、ロスター入りしたいです」

 今シーズン、高校時代の後輩でもある湧川颯斗滋賀レイクス)が高卒プロという決断をした。「自分自身が同じ立場だったら、その覚悟を持てない。彼に対しては素直に尊敬しています。ゲームにも出ていて、堂々と戦っている姿を見て、自分も早くコートでプレーしたいと感じています」と、気持ちを奮い立たせている様子をうかがえた。

 続けて、「今後は3番として、佐藤卓磨選手(千葉ジェッツ)のようなプレーヤーを目標にしています。3ポイントシュートが打てて、ディフェンスもできる。そして、チームメートから多くを学んで、リーグを代表するスコアラーになれるように突き進んでいきたいです」と自分自身の理想像も語ってくれた。

 インタビューが終わり、すぐさま再びワークアウトに戻っていった浅井。彼のその実直なバスケへの想いと行動が実る日は近いだろう。前進する彼の姿にこれから期待したい。

取材・文・写真=鳴神富一

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