2023.07.25

横浜BCが新体制発表会見で新ユニやスローガンを披露…河村勇輝「タイトルはすべて取れるように」

新ユニフォームを身に纏って登壇した河村と森井[写真]=永塚和志
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019ワールドカップ等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。

 昨シーズン、Bリーグに入って初めてのポストシーズン進出を果たすなど躍進を遂げた横浜ビー・コルセアーズが25日、2023-24シーズンの新体制発表会見を開いた。

 会見には球団代表取締役の白井英介氏、竹田謙ゼネラルマネジャー、青木勇人ヘッドコーチ、そして新加入を含めた8名の選手が登壇し、新たなシーズンへの意気込みを述べるとともに「新B1 」入りを見据えたクラブビジョン等が発表された。

 昨シーズンは33勝27敗で中地区2位となり、チャンピオンシップ(CS)ではセミファイナルまで進出した横浜BC。「海賊」の旗の下に集まった仲間たちとともに一番高いところにその旗を掲げるといった意味を込めた”FLY THE FLAG”の新スローガンの下、2023-24はさらに天皇杯やリーグ優勝といったタイトルを狙い、かつ名実ともに「ビッグクラブ」となることを目指す。

 会見では、キャプテンは昨シーズンに引き続き森井健太が担うことになったことや、その他、新ユニフォームデザインが発表された。

 オフにはエース・河村勇輝の3年契約が発表され、杉浦佑成(前・滋賀レイクス)や西野曜(前・サンロッカーズ渋谷)、外国籍ではジョシュ・スコット(前・宇都宮ブレックス)、ジェロード・ユトフ(前・京都ハンナリーズ)らが新加入し、層の厚さを増した。

「昨シーズンはCS出場という大きな目標を掲げそれを達成することができましたが、中地区でも準優勝、天皇杯、CSでもベスト4ということで、目指すべきものは一つしかないと思っています。日本一や、中地区優勝といったタイトルはすべて取れるようにチームで頑張って行きたいと思っています」

 勝ち越したシーズンさえないどころか残留争いをしてすらいた以前までの横浜BCにとってCS進出は大きな目標だった。だが、それを成し遂げさらにファイナル進出手前まで迫った今の彼らにとって目指すべきはもはや頂点しかないと、河村は力強い言葉を口にした。

 もちろん、飛躍を受けて昨シーズンを下回る成績など残せないという周囲からかかる重圧もぐっと大きくなる。しかし、青木HCはそれもチームを成長させるためのに避けて通れないものだと述べた。

「そのプレッシャーさえも自分たちの糧にして、勝てないのであればそれをバネにして上に行けばもっと強くなると思います。そういう意味ではプレッシャーのないところでは絶対に成長はできない。いいプレッシャーがクラブ全体にかかっていると感じますし、ありがたいことだと思います」

さらなる成長に向け、新シーズンへの思いを熱く語る青木HC[写真]=永塚和志


「育成型」のクラブを謳う横浜BCは、昨シーズンから8人の選手が残留し今シーズンに臨む。そのなかの1人は河村だが、青木HCは3年という契約年数でこの先も横浜BCというチームで前に進むことを決めた彼については「本当に男気がある彼らしい決断をしたというのがすごく嬉しかった。感動した」と振り返る。

 2022-23の横浜BCは河村、森井というスピードが売りのポイントガードを中心にトランジションの速いオフェンスと、強度の高いディフェンスをアイデンティティとしてやってきた。今シーズンは各所を「ブラッシュアップ」(青木HC)しつつ、低かった3ポイントとフリースロ-成功率を上げるなどで得点効率を上げていきたいと同HCは言う。

 新天地の印象を問われた新加入の西野は「若くて楽しそう」と半ば冗談めかしながら答えたが、青木HCはこのチームが「来たい」と思うチームになってきたことについて誇らしげに話し、新シーズンの陣容を「楽しみなキャラクターが揃ってきた」と付け加えた。

 チームの成績のみならず、昨シーズンはビジネス面でも売上ベースでは約12億円と前年の約8億円から当初の想定から大幅に数字を伸ばした。また有料ファンクラブ会員数も7月25日の時点で4080人と、2022-23の1464人からすでに179パーセントもの伸び率を示している。

 これによりクラブは中期事業計画1~2年前倒し、あらたに計画を引き直したと白井氏は話している。新B1参入には23-24から2シーズン連続で売上14億円を超えることがライセンス獲得要件の1つとなるが、そこへ向けて「高い位置から発射できる」(白井氏)とオフコートの面でも上昇気流に乘りつつある。

 チームは今シーズンの売上で16億円、ホーム試合の平均観客動員は4200人と、新B1の参入基準を上回る数字を到達目標として打ち立てている。

 会見ではまた、今シーズンは横浜国際プールでのホーム試合開催時に使用されてきたスポーツコートに代わって、他チームと同様、ウッドコートを敷いて行うことと、横浜文化体育館跡地に建設中の横浜BUNTAIでの試合開催を同4月以降に予定していることを発表した。

厚みを増した選手層で横浜BCはさらなる飛躍を目指す[写真]=永塚和志


文・写真=永塚和志

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