川崎フロンターレ（Jリーグ）と川崎ブレイブサンダース（Bリーグ）は、ともに神奈川県川崎市を本拠地として活動するプロスポーツクラブだ。両者は度々コラボレーション企画を実施しており、2023－24シーズンも早速コラボが発表された。11月11日、12日に川崎市とどろきアリーナで開催される試合ではコラボTシャツ付きチケットが販売される他、11日は川崎Fのマスコット『ふろん太』と『カブレラ』が来場。12日は両クラブの試合を“はしご観戦”できる特別な1日となっている。両クラブを代表して、川崎F・瀬古樹、川崎・納見悠仁の対談が実現。1997年生まれの2人がざっくばらんにトークを展開した。後編では競技間の違いについてのトークで大いに盛り上がった。

インタビュー＝三島大輔
文＝酒井伸
写真＝金田慎平

――せっかくの機会なので、お互いに聞いてみたいことはありますか？
瀬古　バスケットボールはすごく近い距離で試合を見られるじゃないですか。ベンチの真裏にもお客さんが座っていて、臨場感がすごいだろうなと思っています。どの席で見るのがいいんですか？
納見　人によると思います。例えば、写真を撮りたいなら、できるだけ前のほうがいい。シンプルにバスケットボールを楽しみたければ、コート全体を見渡せる席を選べばいいのかなと。一番前は選手が立つと、被って見えないこともありますから。
瀬古　大学時代、他の部活を応援しに行く企画があって、バスケットボールの試合を見に行きました。ゴールの真後ろでイスに座って見たのですが、選手が突っ込んでくるし、ボールも飛んでくるし（笑）。
納見　一番前は大きなカメラを持っている人とか、昔から応援してくれているコアなファンが多いですね。真ん中のほうが見やすいし、危なくない。

――観客との距離は気にならないものですか？
納見　そこまで気にならないです。ただ、いつもいる人だとか、今日はすごく派手な服着ているなというのはありますね（笑）。
瀬古　バスケットボールはコーチや選手の言葉も聞かれちゃいますよね。ワールドカップの時、（日本代表のトム）ホーバスさんがすごい口調で指示しているなと思いましたもん。

――サッカーとは違う部分ですね。
瀬古　ただ、そういった熱い部分を見られるのはいいことなのかなと。サッカーのロッカールーム内は一切見えないじゃないですか。そういった姿を見ると本気度も伝わってきますから。

[写真]＝金田慎平

――納見選手から瀬古選手に聞きたいことはありますか？
納見　僕もどこで試合を見るべきかということ。あんなにも広いグラウンドで、下から上までいろいろな席種があるじゃないですか。
瀬古　僕のオススメは少し上のほうの席。ボールだけを追いかけるなら、ピッチに近い席でいいと思います。ただ、サッカーは11人でやるスポーツで、それぞれの役割を見たいなら上のほうかな。陸上トラックがないスタジアムなら別ですね。下のほうでも同じような感覚で見られると思います。スポーツ観戦の仕方は人それぞれだと改めて気づかされました。
納見　サッカーのサポーターは熱いですよね。選手がサポーターの方と話し合っているのを見たことがありますが、バスケットボールではまずありえません。あれくらい熱くなったらすごいだろうな。

――バスケットボールとサッカーでは応援の仕様も違いますよね。
納見　ブーイングには、いいブーイングとあまり良くないブーイングがあると考えています。愛のあるブーイングもありますから。サッカーで、あの人数でブーイングするのはすごいですよね。
瀬古　雰囲気が違いますよね。プレッシャーを感じるというか。あとサッカーは環境や応援面において、ホームとアウェーを感じやすいのかなと。先日のACLで（マレーシアの）ジョホールに行った時、フロンターレのサポーターは一番上に押し込まれていました。Bリーグのホーム感、アウェー感は違うものですか？
納見　ホーム感はあるけど、相手チームによっては「あれ、どっちのホームだっけ？」と感じることがあります。例えば黄色のユニフォームで半分ぐらい埋め尽くされるとか。アリーナによってすごくアウェーを感じる場所があれば、そんなに感じない場所もあります。新アリーナが続々と誕生していて、そういった場所ではアウェーを感じますね。

――サッカーはコールリーダーが応援を主導していますが、バスケットボールではアリーナDJが応援を盛り上げています。
瀬古　サッカーは自分たちの好きなタイミングで歌っているけど、バスケはどうなんですか？
納見　攻めている時はオフェンスの音楽、守っている時はディフェンスの音楽があって、それぞれに合わせて声援や手拍子などで応援しています。フリースローの時に大きな音を出されることがありますけど、基本的にはホーム主体です。
瀬古　すごくいい。サッカーも試合中に音楽を流してくれたらいいのに（笑）。
納見　ところで、あんなに広いコートで声は通るんですか？
瀬古　声を張り上げないと、味方同士でコミュニケーションを取れない時がありますね。自分の近くにいる選手には何かあったらすぐ話して、周りに伝えてもらうようにしています。応援が途切れる時間はなかなかないですからね。
納見　ホーム、アウェーのサポーターがいて、声を出し合っていますもんね。
瀬古　試合中にシーンとする時間は全然なくて。駆け寄ってでも近くで話すことがありますよ。バスケットボールは逆に距離が近すぎて、相手に聞かれてしまいそうですけど。何かサインとかはあるんですか？
納見　サインはありますよ。あとは試合が止まった時、一瞬だけ5人で集まって話し合うこともあります。応援や声援で声をかき消されるのは大変ですよ。伝わりませんから。GKは大変ですよね。一番後ろにいるから。
瀬古　絶対に聞こえていないと思います（笑）。僕は中盤の選手なので、前後の声はそれなりに聞こえています。聞こえていないだろうなという時は、中継役として声を掛け合っています。一つひとつのプレーで状況が変わるし、声を掛けずに後悔するのは嫌なので。
納見　バスケットボールの場合、声で伝えると相手に戦略がバレちゃいますよね。
瀬古　サインの種類も多いんですか？
納見　多いチームは30個以上あると思います。主に使うサインを確認してから試合に臨んでいます。

[写真]＝金田慎平

――Jリーグは終盤戦、Bリーグは序盤戦になります。お互いに意気込みを聞かせてください。
瀬古　自分たちの思うような順位ではありませんけど、残りの限られた試合を無駄にせず戦っていきたい。そして、少しでも上の順位でシーズンを終えられるようにしたいです。
納見　ニックのラストイヤーということで、新シーズンに懸ける思いは例年よりも強いです。チームスローガン「All-In この場所 この瞬間に すべてを懸ける」を体現できるように、序盤戦からエンジン全開で頑張っていきます。

――両クラブへのエールをお願いします。
瀬古　ワールドカップの熱量を維持し、ブレイブサンダースさんがリーグを引っ張っていく1年にしてもらいたいです。僕も会場に足を運び、応援したいです。
納見　ありがとうございます。シーズン中にうまくいかないことがあったと思いますけど、シーズンの締めくくりは翌シーズンに向けてすごく大事だと思います。勝って終わるとファンの人たちもうれしいはずです。ACLという意味ではJリーグはもちろん、日本を背負っているので、代表戦と同じような経験だと思います。自分、チームが持っているものをすべて出しきって、悔いのない終わり方にしてもらいたいです。そして、サッカーをどこかのタイミングで現地観戦したいです。
瀬古　ありがとうございます。ぜひ、観戦に来てください！

【前編はサッカーキングで公開中】瀬古 樹×納見 悠仁
〜フロンターレとブレイブサンダース、川崎を代表して〜