2025.07.14

「夢を持てない子どもたちに夢を」…日本財団・笹川理事長が期待するBリーグの“熱”と“可能性”

会見には島田チェアマン(写真右)と日本財団の笹川順平理事長(写真左)が登壇[写真]=バスケットボールキング
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 7月8日、Bリーグ日本財団が「スポーツ × 地域課題解決」の新展開を記者会見で発表した。総額約2.8億円の支援枠のうち、取り組みの第1弾として10クラブによる“まちづくり”事業に約1.1億円を投じて、地域の核となる活動を全国各地で推進する。

 本プロジェクトはBリーグが目指す「2050年感動立国」の実現に向け、「すべての地域」で“ワクワクの発信地”となる街づくりを進めるもの。「アリーナで試合やコンサートがある日だけ賑わうのではなく、『非日常を日常に』、普段からワクワクするような街づくりにリーグとしては取り組んでいきたい」と島田チェアマン。今回の連携は、そのために不可欠な一環として、日本財団の支援に深く感謝の意を示した。

 日本財団・笹川順平理事長は、年間1,000億円規模の社会貢献活動を展開する同財団ならではの視点で、Bリーグとの連携の意義を強調。「日本全国に40クラブ、500万近いファンの皆様がいる。そして、そのファンの皆さんが平均年齢35歳という若い人たちであるということは、地域の活性化において非常に大きなポイント」と話す。

 また日本財団としては特に格差の問題解決に向けて取り組んでいきたいという。経済格差や教育格差解決に向けた取り組みを紹介する中、Bリーグには「子どもの体験格差、スポーツをする機会がかなり地域によって差が出てしまっているという現状を一緒に解決していきたい」と期待を寄せた。

 会見では取り組みの第1弾として実施される、10クラブによる“まちづくり”事業の概要についても説明された。笹川理事長は改めて「スポーツの熱量をそこだけで終わらせず、さらに広げていくことが地域活性化には重要」とコメント。さらに各クラブの事業に対しては、「子ども支援ということを柱に置かれているように見えるので、我々としても未来を担う子どもたちに投資することで地域の活性化につながればうれしく思います」と印象を語った。

 60競技以上のアスリート達が参加する、アスリートの社会貢献活動を推進するプロジェクト「HEROs」をはじめ、日本財団はバスケットボールのみならずさまざまなスポーツと連携している。そのなかで、笹川理事長はバスケットボールに他のスポーツにはない大きな可能性を感じている。その魅力を次のように語った。

「あれだけのスピード感で、展開も激しくて、気づいたら終わっていて、どちらが勝者かも明確になる。なかなかそんなスポーツってないんです。野球やサッカーにはない面白さがある」

 笹川理事長は、実際にBリーグ選手と共に小学校を訪れた経験を振り返り、子どもたちの熱狂ぶりをはっきりと記憶しているという。

「ダンクシュートを決めると子どもたちが熱狂するんです。今の日本の問題は子どもたちが夢を持てないことだと思います。2、30年前とは大きく違って経済的困窮世帯も増えていますし、パスポートの保有率が10パーセント台ということで、なかなか海外に足を伸ばすことも難しい。基本は地域の中でしか動けない。そんな中でプロの大きい選手が来て『うわ2メートルくらいある!』って、もうそれだけで子どもたちは熱狂する。そういったちょっとしたきっかけだけでも、将来の目標みたいなものができたりして、それが夢に変わってくる。Bリーグの選手は特にそういった要素を持っているんじゃないかと思います」

Bリーグは地域に根ざしているし、試合も面白いし、選手たちの特徴もわかりやすいし、社会貢献に非常に合っているリーグ・団体なんじゃないかと思います」。あらためてリーグへの機会をそのように語った笹川理事長。Bリーグ日本財団による取り組みは、スポーツと社会課題をつなぐ大規模プロジェクト。地域と共に歩み、熱狂と笑顔を生む日常を広げていくそのチャレンジは、まさに「感動立国」の本質に迫る道でもある。今後展開される各クラブの具体的活動と成果に、引き続き注目が集まりそうだ。

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