2019.07.30

優勝候補の桜花学園が快勝で初戦突破、名将井上コーチは「決勝戦までしっかりと勝ちあがる」

桜花は小林の足を使ったディフェンスを攻略[写真]=兼子慎一郎
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

「令和元年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」は7月29日に大会2日目を迎え、この日からは男女ともにシード校が登場。いちき串木野市総合体育館では第1シードの桜花学園高校(愛知県)が小林高校(宮崎県)と対戦した。

 試合結果から先に伝えると104-55と桜花が快勝したのだが、ティップオフ直後は小林の繰り出すディフェンスに女王・桜花も一瞬ひるむ場面もあった。試合後、取材に応じた桜花の井上眞一コーチは「(小林は)何かディフェンスでやってくると思っていた。過去のビデオを確認して、2-2-1のゾーンプレスで来ると予想していたが、オールコートのマンツーマンでボールマンに2人でプレッシャーをかけるトラップを仕掛けてきた」と、試合開始直後のもたつきの原因を明かしてくれた。

1対1から活路を見出そうとした小林のフェスターガード・ヤヤアマンドラ(写真左)[写真]=兼子慎一郎

 しかし、この日の桜花の立て直しは早かった。「セットして攻めることができなくなったので、まずゴール下の(オコンクウォ・スーザン)アマカにボールを入れるように指示した」(井上コーチ)という。それが功を奏した桜花はアマカの連続得点で9点ものリードを奪うと、小林は開始4分過ぎに早々とタイムアウトを請求。小林はディフェンスを2-2-1のゾーンプレスから2-3のハーフコートゾーンにチェンジするが、これはもともと準備していただけに、桜花は攻撃の手を緩めることはなかった。

 リバウンドではボックスアウトを徹底してゴール下で踏ん張り、攻めてはこの試合で12得点を挙げたフェスターガード・ヤヤアマンドラの1対1で対抗しようとする小林だったが、次第に点差が開く展開となる。

 一方の桜花は後半、アマカを休ませ、1年生センターの朝比奈あずさをコートに送り出し、全国大会デビューをお膳立てした。

将来が嘱望される桜花のルーキー、朝比奈あずさ[写真]=兼子慎一郎

 これまで多くの代表選手を育てた井上コーチが「将来の代表候補」と太鼓判を押すのが朝比奈だ。「とにかくまじめで、セットオフェンスもすぐ覚える」と井上コーチは評価。182センチのサイズだけでなく、性格や頭の回転の速さについても未来の大器としての片りんを見せているという。

 さて、桜花と言えども大会の最初の試合で満足のいくプレーができず、井上コーチの雷が落ちることが度々あるのだが……。ただ今回に関しては「まあまあ」と、これは厳しい井上コーチからすれば、お褒めの言葉に近い評価を得て、順調にスタートを切ったと言える。

 そして見据える先はもちろん優勝の二文字。「決勝戦までしっかりと勝ち進む」と、井上コーチは力強く答えた。

文=入江美紀雄

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