2020.09.28

正智深谷が10度目のウインターカップへ、全試合完勝で埼玉予選を制す

9年連続ウインターカップ出場を決めた正智深谷 [写真]=小沼克年
フリーライター

王者・正智深谷が9年連続の優勝

 9月27日に最終日を迎えた男子の「令和2年度 全国高等学校バスケットボール選手権大会 埼玉県予選会」は、正智深谷高校が9年連続の優勝を飾った。

 この日、越谷市立総合体育館で行われた準決勝、決勝はともに試合開始からエンジン全開。準決勝の春日部高校戦では第1クォーターを33−13、決勝の西武学園文理戦でも34−16と、相手よりも「走って、走って、走って」(成田靖コーチ)あっという間に得点を重ねた。太田誠、藤平皓成、大滝唯人(いずれも3年)ら昨年から主力を務めていたメンバーが残る今年のチームは、この予選では戦った5試合全てで100点ゲームを記録。ある程度余力を残してウインターカップへの切符を手にした。

「今日は試合の入りからチーム全体でディフェンスを頑張って流れを掴めました」。今年キャプテンに就任した太田はこの日のチームとしての出来には手応えを感じていた。だが、自分自身へは「もっともっとチームメートへの声かけやディフェンスでも自分を出せると思う」と課題を口にする。

 昨年のウインターカップでは、関西大学北陽高校(大阪府)に70−76で敗れて初戦で大会を去った正智深谷。高校生活最後の全国大会へ向けては、太田はこう意気込み、今後を見据えた。

「去年はほとんどの大会で不甲斐ない負け方をしたイメージがあります。今年はそうならないよう、これからも楽しみながら、しっかりと練習に取り組んでいきたいです」

 チームはこれから約3カ月、ウインターカップのメインコートへと駆け上がるべく、アグレッシブな守備から走るバスケットにさらなる磨きをかける。

全国へ向け意気込みを語った太田 [写真]=小沼克年

西武文理、準優勝も「出し切った」

 今年の埼玉県のウインターカップ出場枠は男女とも1校ずつ。つまりは優勝チーム以外の3年生は事実上、部活動を引退することになる。

 この日の最終試合まで残った西武文理は、決勝では王者の前に55-113と力の差を見せつけられた。試合後は大久保英人コーチも「ウインターカップを目指してやっていたので残念でしたけど、決勝は力負けでした」と完敗を認める。

 それでも、チームは準決勝で埼玉栄との接戦を70-64で制し、準優勝という1つの結果を残した。「新人戦では昌平高校に負けて5位でした。でも今大会は(準々決勝で)昌平に勝って、今日は埼玉栄にも勝ちました。そこはステップアップしてチーム力が上がった証ですね」。

 高校最後の公式戦を1試合で終えるのではなく、たとえ大差で敗れようとも、もう1試合戦える権利を得られたこと――。これについては選手たちも「胸を張るべき」と大久保英人コーチは言う。

「決勝は点差が離れましたけど、子どもたちは出すものを出し切りました。最後ここまで来れたのは、お父さんやお母さん、スタッフを含めて周りの方々のサポートがあってのこと。だから色んな人たちへの感謝を忘れないでほしい。今年の3年生は、ほとんどの選手が大学でもバスケットを続けるので、この悔しさを忘れずに頑張ってもらえたらなと思います」

 試合後、コートの外で行われた西武文理の“ラストミーティング”。3年生たちの表情はとてもスッキリしていた。

惜しくも決勝で敗れた西武文理 [写真]=小沼克年

ウインターカップ2020のバックナンバー