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大会3日目を迎えた7月29日の「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」は、男女ともに上位シードの一角が崩れた。
高松市香川総合体育館での第1試合では、第1シードの桜花学園高校(愛知県)が京都精華学園高校(京都府)に敗戦。時を同じくして、高松市総合体育館で開催された男子の部では第4シードの仙台大学附属明成高校(宮城県)が藤枝明誠高校(静岡県)に敗れた。最終スコアは79-93。仙台大附属明成は試合開始から0-10とペースを握られ、後半に入っても藤枝明誠の速い展開と思い切りのいいアウトサイドシュートを止めきれなかった。
「あれだけいいリズムでアウトサイドを決められてしまうと、ちょっと太刀打ちできなかったですね。ディフェンスをマンツーマンにすることも一つの手だったと思いますけど、ゾーンにこだわりすぎてしまいました。指導者として先を見る目がなかったです」
佐藤久夫コーチは「私の指導力のなさ」と試合を総括しつつも、これからのチーム作りに向けて、3人の3年生の名前を挙げて奮起を促した。その3人とは先発でコートに立ち、チームの柱となる片原飛斗、内藤晴樹、八重樫ショーン龍のバックコート陣。「この3人にすべてをかけてきたような感じでした」とも明かし、敗因についてこう言及した。「片原、内藤、八重樫という、この3人の弱点がもろに出てしまいました。私もそれを修正できなかったです」
指揮官が指摘する弱点とは、「お互いが支え合う“結びつきの強さ”はあるとしても、一方で誰かに頼ってしまうこと、責任から遠ざかって逃げてしまうこと」。佐藤コーチは「今までの彼らは、何かができなかった時でも、ただ『はい、はい』と返事をして逃げていたような感覚があります」とこれまでの日々を思い返し、こう続けた。「でも、今日の試合で学んだことは大きいと思いますので、この敗戦を無駄にしないように、次に活かせるように一歩前進してほしいです」
「悔しいというより、情けない」。佐藤コーチから信頼を寄せられ、「自分がチームを勝たせるという思いでプレーした」という内藤は、そんな言葉で試合後の気持ちを表現した。内藤とともに得点源を担う八重樫は、積極性を貫いて29得点をマーク。自身が得意とする3ポイントシュートは合計7本沈めたが、第4クォーター終盤には5つ目のファウルを宣告されてコートを去った。八重樫は最後までコートに立てなかった悔しさ、責任感から自分を責めた。
「全体的には内藤がリーダーシップを取っていて、それを支えるのが自分ですし、人任せにしないことを意識してプレーしました。でも、最後までコートに立ってなかったことが本当に悔しくて、自分を含め内藤、片原がコートに残っていなければダメです。これからこういうことがあってはいけないと感じました」
インターハイを終えた佐藤コーチは「やっぱりまだまだ個人の力をつけていかないとダメです」と、まずは選手たち一人ひとりのレベルアップを掲げる。
「これからも『自分がチームを引っ張る』という気持ちは変えずに、もっとシュート精度を上げて、ウインターカップではゲームを支配できるプレーヤーになりたいです」(内藤)
「ディフェンス面でスティールする場面をもっと増やしていきたいですし、今日の試合では最後の方は声も少なくなってしまいました。チームとしても最後まで元気良くプレーし続けるよう、これから意識していきたいです」(八重樫)
今年の夏は無念にも2試合で終わり、仙台へ戻ることとなった。しかしその歩みは、着実に前へと向けられている。
文=小沼克年