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福大大濠9年ぶりVの舞台裏…「圧倒的なチーム」への第一歩、代表組と黒子が築いた結束

9年ぶりにインハイを制した福大大濠のメンバー [写真]=吉田孝光
フリーライター

■8大会ぶりの頂点に…もう1つのサプライズ

 8月2日、Asueアリーナ大阪で「令和8年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)バスケットボール競技大会」の男子決勝戦が行われ、福岡大学附属大濠高校(福岡県)が北陸高校(福井県)に85-62で勝利。昨年のウインターカップから“冬夏2冠”を達成した。

 福大大濠にとってインターハイでの優勝は実に9年ぶり。昨夏は八王子学園八王子高校(東京都)に屈してベスト8で大会を去っただけに、価値ある優勝を手にした。

「去年の八王子戦は人生の中でも本当に悪いゲームでした」。白谷柱誠ジャック(2年)はそう言って苦い笑みをこぼした。今大会は準決勝で26得点、決勝で24得点といずれもチーム最多得点の活躍。エースの本田蕗以(3年)とともに相手の脅威となり、福大大濠を優勝へ導いた。

準決勝、決勝で合計50得点をマークした白谷 [写真]=吉田孝光

 5度目のインターハイ王者に輝いたこの日は、本田の誕生日でもあった。「ぜひ会場の皆さんもHappy birthdayを歌いましょう!」。優勝後、白谷がコート上のインタビューでそう呼びかけると、優勝の余韻に浸るアリーナは温かい拍手と歓声に包まれた。

「あの瞬間はジャックが気を利かせてくれました」。サプライズの裏側を教えてくれた廣田翼(3年)は、「大会前から蕗以の誕生日と重なることは分かっていましたし、そういった意味でもチーム全員で優勝することができて本当にうれしいです」と笑顔を見せた。

「優勝できたこともそうですし、会場の皆さんにもお祝いしていただいて最高の誕生日になりました」

もう1人のエース、本田にサプライズのプレゼント [写真]=吉田孝光

 特別な1日となった本田はそう喜びを表現。優勝の要因を問われると、「トーナメントの序盤はやっぱりかみ合わない部分があったんですけど、試合を重ねていくごとにしっかり修正していけたことが優勝できた要因だと思います」と振り返った。

■代表組との共存に欠かせなかった黒子たち

主力だけでなく指導者も不在の中、頼もしい3年生が存在が優勝の原動力に(写真は片峯コーチ) [写真]=吉田孝光

 今大会を制する最大のポイントは、アンダーカテゴリーの日本代表組が他のメンバーと共存できるかだった。

 今年2月に片峯聡太コーチがU18男子日本代表のヘッドコーチに就任し、6月にはU17男子日本代表HCとの兼任が決定。選手では本田や白谷をはじめ、中村文哉、 櫻井照大(ともに3年)、山元珠來、栗本富美也(ともに2年)が代表活動によりチームを離れる日々が続いた。

 なかでも本田、中村、櫻井、白谷はU18代表でも切磋琢磨しており、現在の福大大濠でスタメンを担う存在。自身も慌ただしい日々を送る片峯コーチは、どのようにしてインターハイに照準を合わせたのか。指揮官に問うと、「いやいや」と特別なことはしていないという様子を見せながらも、3人の名前を挙げた。

「やっぱり永善と栗本、あとは廣田がすごく献身的にチームを支えてくれています。彼らとU18の代表4人をどうつなげるかが難しいと感じました。代表選手たちは昨年の冬から定期的に(東京都内の)強化合宿に呼ばれているので、なかなか走り込みや体づくりができていません。そういった意味では、先ほど挙げた3人の方がしっかりできていますし、試合でも力を発揮してくれています」

 キャプテンを務める永善元希(3年)は「代表組がいない中でも、しっかりと自分と廣田が中心になって高いモチベーションを持って練習に取り組んでいました」と胸を張る。U18とU17の代表メンバーに選出された櫻井は、「一緒に練習できる機会が少なくて難しい部分もあったんですけど、チームの雰囲気を良くするために元希が一番コミュニケーションを取ってくれた」と主将への感謝を述べた。

 今大会を振り返っても、決して簡単な試合ばかりではなかった。「代表組の力は本当に素晴らしいので、自分はエゴを捨てて泥臭いプレーを徹底しました」。廣田の言葉どおり、華やかなプレーの裏にはスコアシートに残らない数々の泥臭い働きがある。

 廣田を筆頭につなぎ役として各々の仕事を全うした永善、栗本、平良孔龍(2年)といった選手の活躍がなければ、頂点に立つことはできなかっただろう。

 1つ目の全国タイトルを獲得し、「ほっとしています」と指揮官は胸をなでおろした。目指すはU18日清食品トップリーグ、ウインターカップを含めたチーム史上初の3冠達成だ。

「圧倒的なチームを目指していきたい」(永善)。未完成のタレント集団は、これからも勝ち続ける。最強の証明は、まだ通過点にすぎない。

主力が不在のチームを支えた福大大濠の永善 [写真]=吉田孝光

文=小沼克年

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